Con Gas, Sin Hielo

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「夢売るふたり」

2012年09月09日 22時08分53秒 | 映画(2012)
詐欺とは、騙されたという人の主観でのみ成り立つもの。


西川美和監督の作品は、視点に興味をそそられ、配役に期待を膨らませるのだが、結果的には何処か釈然としないものを残しつつ映画館を後にするというのがパターンのようだ。

事故で焼失してしまった小料理屋を何とか再開させたいという思いで一致していた夫婦が、急ぎのアプローチの過程で微妙なすれ違いを見せ始める。

きっかけは嘘。

突然大金を手にした夫がついた嘘を妻はすぐに見破る。ただし、そこから妻は金策の妙案を思いつく。

結婚詐欺は犯罪だ。でも騙す騙されるの関係は、必ずしも加害者が嘘を信じ込ませなければいけないわけではない。女性の心理を突いて、嘘をつかずにお金を拝借する方法があるはず。

この辺りは女性監督ならではの視点なのかもしれない。お金を取られてなお男性をかばう女性が結構出てくる。女ごころは難しい。

但し、夫が短期間に多方面に手を出し過ぎたことだけは間違いなかったようで、結末はあっけなく驚きの程度も大きくない。

常に司令塔であり続けた妻が本当にしたかったことは何だったのか。実は彼女自身分からなかったのかもしれない。

嘘をつきようにも本当の自分が分からないから動き続けるしかなかった。いつも怖いくらいに迷いのない松たか子の表情と百八十度逆だが、そう捉えるとようやく少し状況が見えてくるような気がした。

(65点)
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2 コメント

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松たか子さん (mezzotint)
2012-09-25 19:06:43
クラムさん

西川ワールドに松たか子さんは素晴らしくハマって
いましたね。
あの優しい表情の裏にはあんな恐ろしい一面を
持っているというところが何とも言えず、、、、。
本当に怖いくらいの演技でした。
今回も色々考えさせられるラストでした。
人間の心の隙間に上手く入る人間。やっぱり一番
怖いものは人間ですね。
返信する
もともとこわいひと (クラム)
2012-09-30 00:09:39
私は、松たか子って元々結構怖そう、というか
気が強そうな印象を持っていました。
そういった意味では、「告白」はなかなかのハマり役だったし、
現実にありそう、いそうという観点から見れば、
本作の役は更に彼女のイメージに近い役柄に思いました。

心の隙間は怖いですね。
誰しもふっと弱くなる瞬間がありますから。
まずは周りにいざという時に頼れる人を確保しておきたいものです。
返信する

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