過敏と不感の間の無神経。
実は他人に触ることができない。決して潔癖症というわけではないのだが、触れようとすると目まいでくらくらしてくる。
昔は触れたこともあったし、今はまったく必要なくなったから、悩むようなことでもないけれど、年齢を重ねてもスキンシップを欠かさない夫婦の話を聞くと、少しうらやましいと思うこともある。
絵本作家の良城は強迫性障害による潔癖症を患っていて、手には常にラップを巻き、触れるものや口に入れるものすべてを丁寧に拭かなければ済まない生活を送っている。彼には付き合って数年になる恋人の月菜がいるが、もう長いこと彼女と手をつなぐこともできずにいる。
月菜のバイト先は絵本の専門店で、そこのオーナーの孫が良城という関係でもある。良城が書いた絵本の主人公・モジャは、空を飛ぶことができない鳥。ほかの鳥のようにできないモジャは、良城自身を落とし込んだキャラクターでもあった。
病気をどうにもできずに焦りともどかしさを感じる日々に加えて、二人それぞれに新しい人との出会いがあり、改めて二人の関係を見直さざるを得ない状況に直面する。二人が取った選択肢は果たして・・・。
こうまとめると何か感情を揺さぶられる物語を期待してしまうのだが、期待は残念ながら外れた。
月菜の前に現れたのは、絵本の専門店に訪れたお客さんのジェホン。彼は絵本を買った後に携帯電話を店の中に置き忘れていくのだが、これに気付いた月菜、保管したまでは普通なのだが、この後に女性の名前でかかってきた通話を受けてしまった。相手は「もう別れましょう」と言うだけ言って電話を切ってしまう。なんだこの展開?
翌日携帯電話を受け取りに来たジェホンは、お礼にと月菜を食事に誘う。不自然なまでの強引さの理由は後で明らかになるのだが、食事の場で彼は「自分は電話の女性を愛していなかった。これまで女性に心を動かされたことがない」と激白。それを誘った女性の前で言うって、どういう感覚なのか?
一方の良城が病院のカウンセリングで出会ったのは、同じ潔癖症の症状を持つ女性・千春。自分を理解してくれる人に初めて会えたことに喜ぶ良城に露骨に嫉妬の態度を見せる月菜。良城よかったね、じゃなくてそっちが優先するんだ。
良城は良城で、月菜の嫉妬心に気付いているはずなのに、自宅を訪ねてきた千春を勝手に家に上げてしまう。知らずに帰宅した月菜に対して「3人でごはん食べたら、きっと楽しいと思って・・・」と話す良城に、これはどっちもどっちなのかもしれないと思い直す。
月菜が部屋を飛び出すと、そこにいたのはジェホン。「あなたのせいでこうなった」と責める月菜に、「もう会いません」と告げるジェホン。最後の思い出にしようと思ったのかどうか分からないが、ジェホンが月菜を抱きしめると、その様子を後から追ってきた良城が見てしまう。
いやもう、ここまで立て続けに「こうしちゃいけない」が続く脚本はどうなってるの?と言いたい。いや、言わないでいいや。たぶん根本の感覚が違っている気がするので。
みんな一生懸命やってるし、あまり酷いこと言うのもどうかと思うけど、最後に登場する数年後の良城の姿を見ると、この二人の関係って結局何だったのかとなおさら疑問を持たざるを得ないのである。
(30点)
実は他人に触ることができない。決して潔癖症というわけではないのだが、触れようとすると目まいでくらくらしてくる。
昔は触れたこともあったし、今はまったく必要なくなったから、悩むようなことでもないけれど、年齢を重ねてもスキンシップを欠かさない夫婦の話を聞くと、少しうらやましいと思うこともある。
絵本作家の良城は強迫性障害による潔癖症を患っていて、手には常にラップを巻き、触れるものや口に入れるものすべてを丁寧に拭かなければ済まない生活を送っている。彼には付き合って数年になる恋人の月菜がいるが、もう長いこと彼女と手をつなぐこともできずにいる。
月菜のバイト先は絵本の専門店で、そこのオーナーの孫が良城という関係でもある。良城が書いた絵本の主人公・モジャは、空を飛ぶことができない鳥。ほかの鳥のようにできないモジャは、良城自身を落とし込んだキャラクターでもあった。
病気をどうにもできずに焦りともどかしさを感じる日々に加えて、二人それぞれに新しい人との出会いがあり、改めて二人の関係を見直さざるを得ない状況に直面する。二人が取った選択肢は果たして・・・。
こうまとめると何か感情を揺さぶられる物語を期待してしまうのだが、期待は残念ながら外れた。
月菜の前に現れたのは、絵本の専門店に訪れたお客さんのジェホン。彼は絵本を買った後に携帯電話を店の中に置き忘れていくのだが、これに気付いた月菜、保管したまでは普通なのだが、この後に女性の名前でかかってきた通話を受けてしまった。相手は「もう別れましょう」と言うだけ言って電話を切ってしまう。なんだこの展開?
翌日携帯電話を受け取りに来たジェホンは、お礼にと月菜を食事に誘う。不自然なまでの強引さの理由は後で明らかになるのだが、食事の場で彼は「自分は電話の女性を愛していなかった。これまで女性に心を動かされたことがない」と激白。それを誘った女性の前で言うって、どういう感覚なのか?
一方の良城が病院のカウンセリングで出会ったのは、同じ潔癖症の症状を持つ女性・千春。自分を理解してくれる人に初めて会えたことに喜ぶ良城に露骨に嫉妬の態度を見せる月菜。良城よかったね、じゃなくてそっちが優先するんだ。
良城は良城で、月菜の嫉妬心に気付いているはずなのに、自宅を訪ねてきた千春を勝手に家に上げてしまう。知らずに帰宅した月菜に対して「3人でごはん食べたら、きっと楽しいと思って・・・」と話す良城に、これはどっちもどっちなのかもしれないと思い直す。
月菜が部屋を飛び出すと、そこにいたのはジェホン。「あなたのせいでこうなった」と責める月菜に、「もう会いません」と告げるジェホン。最後の思い出にしようと思ったのかどうか分からないが、ジェホンが月菜を抱きしめると、その様子を後から追ってきた良城が見てしまう。
いやもう、ここまで立て続けに「こうしちゃいけない」が続く脚本はどうなってるの?と言いたい。いや、言わないでいいや。たぶん根本の感覚が違っている気がするので。
みんな一生懸命やってるし、あまり酷いこと言うのもどうかと思うけど、最後に登場する数年後の良城の姿を見ると、この二人の関係って結局何だったのかとなおさら疑問を持たざるを得ないのである。
(30点)