AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

5898:世代交代

2022年04月25日 | ノンジャンル

 Ge3はとてもユニークなオーディオアクセサリーを開発・製造・販売しているメーカーである。その多種類の製品の中で、長い期間愛用しているのが「雷智(らいち)」である。

 「雷智」は電源ケーブルに巻き付けることによって電源に混入してくるノイズ成分を軽減する効果があるとのことである。

 この「雷智」、数年ごとにモデルチェンジしてきていて、現在販売されている最新バージョンは「雷智9.3」である。

 私は何世代か前の「雷智」を壁コンセントから電源ボックスに繋がっている電源ケーブルに撒いて使用していた。

 写真の左に映っているのが何世代か前の「雷智」で、右に映っているのが現在販売されている「雷智9.3」である。最新型は随分とスマートになった。

 古い世代の「雷智」は10年以上前から使っている。これを電源ケーブルに巻き付けると音に「コク」が出る。「だし」の味わいが深くなったように感じ、音楽が耳に心地良くなった。

 旧型と比べると随分と見た目的にスマートにそしてコンパクトになった「雷智9.3」が手元に届いたので、「世代交代」とばかりに、従来の古い「雷智」から最新型のものに交換してみた。

 「果たして最新型は進化してるのか・・・?もしかして古いものの方が良かったりして・・・」と少々斜に構えて聴き始めた。

 すると最初の一音が出た瞬間からしっかりとした「進化」を感じた。斜に構えていた体はすっと正面を向いた。「音抜けが良いな・・・すっとストレスなく音が立ちあがる・・・サウンドステージも高さが出ている・・・」と感じた。

 古い「雷智」のコクも魅力的ではあるが、最新型の「雷智9.3」はひっかかりのないシャープネス感が実に気持ち良い。

 この両者、いずれも良い効果をもたらすが、最新型の方が「進化」と「Modern」を感じさせてくれる。

 旧式の「雷智」がクリス・バングルがデザイン責任者であった時代のBMW 6シリーズクーペ(E63)であるとしたら、最新の「雷智9.3」は、デザイン責任者がエイドリアン・ファン・ホーイドンクになって設計された6シリーズクーペ(F13)といった印象を受けた。


 上の写真がE63であり、下の写真がF13である。E63のまったりとしたコクは、今見ても魅力的ではあるが、F13の方がシャープですっきりと抜けきった感覚がある。

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5897:ヨハンナ

2022年04月24日 | ノンジャンル

 シューベルトのヴァイオリンとピアノのための幻想曲ハ長調が流れ出して数分した時、小暮さんが「あれっ・・・これCOLOMBIAカーブじゃなかったっけ・・・今EMIカーブにしてない・・・?」と言って、一旦針先をレコードから上げた。

 そして、Zanden Model120のイコライザーカーブを「COLUMBIA」に変更した。極性は「R」のままで、4th t/cは一旦「Middle」にしたが、「1955年か・・・じゃあ・・・」と呟いて「Low」に戻した。 

 そして再度MC20の針先を盤面に戻した。「あっ・・・やっぱりこっちだよね・・・」と小暮さんは呟きながら、頷いた。

 そして、再度最初から幻想曲を聴いた。この曲の初演は1828年2月7日にウィーンで行われたと伝えられている。しかしその初演は大変な不評に終わったようである。当時のウィーンの聴衆や批評家はこの曲の長大さに耐え切れなかったようである。

 シューベルトが自ら「幻想曲」と名付けたことからも分かるように、自由な構成を持つこの曲は、現在ではシューベルトの傑作のひとつに数えられている。

 幻想曲を聴き終えた後「できれば、ソナチネの第2番も聴きたいですね・・・」と私はリクエストした。

 ヨハンナ・マルティのオリジナル盤は目が飛び出るほどに高価である。CDや再発盤なら手頃な価格で入手できるが、やはりオリジナル盤には独自の魅力があることは否定できない。しかも、イコライザーカーブや極性も最適になっているのでなおさらである。

 ソナチネ第2番も聴いた。こちらも素晴らしい。特に第2楽章がぐっとくる。「いいな・・・マルティ・・・」と、いつの間にか「オーディオなんてどうでもいいや・・・」状態に陥っていった。

 その後2枚ほどクラシックのレコードを聴いてから、Zanden Model12は元箱に丁寧に収められた。躯体はコンパクトであるが元箱はそれなりの大きさである。

 その箱を両手に抱えて「オーディオショップ・グレン」を後にした。そしてその箱は慎重にBMW iX3の荷室に移された。

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5896:イコライザーカーブ表

2022年04月23日 | ノンジャンル

 1週間前にも来たばかりであるが、再び中野坂上にある「オーディオショップ・グレン」を訪れた。今日はとても暖かく、スーツを着用していると汗ばむようである。

 三日程前に私の携帯に小暮さんから連絡が入った。いつもはメールで連絡を取り合っているので少し訝しく思いながら出てみると、「先日聴いてもらったZandenのフォノイコライザーだけど、実はキャンセルされてしまってね・・・どう、まだ買う気ある・・・?」とのことであった。

 「あっ・・・そうなんですか・・・もちろん買いますよ・・・」と返答した。その流れで今日、ショップに向かったのである。

 先週聴かせてもらったのは、Zanden Model120である。Zandenは日本のメーカーであるが、国内では無名に近い。Zandenはフォノイコライザー、プリアンプ、パワーアンプを製造していて、「Modern」と「Classic」という名称で二つのシリーズをラインナップしている。

 魅力的に感じたポイントはイコライザーカーブを5種類選択でき、さらに極性も変えられる点である。1950年代に録音されたクラシックの古いレコードの場合、イコライザーカーブがRIAAではないケースがとても多いので、この機能はありがたい。

 さらに付属品としてレーベルごとに推奨されるカーブと極性の組み合わせを一覧表にしたものがついてくる。そのイコライザーカーブ表を見ながらレーベルごとに異なるカーブと極性を選択できる。

 

「オーディオショップ・グレン」のリスニングポイントに置かれた3人掛けソファに座った。そして、改めてそのイコライザーカーブ表を見ながら、1枚のレコードをかけてみた。

 私の愛聴盤であるヨハンナ・マルツィのシューベルトのヴァイオリン曲集のレコードをROKSAN XERXES 10のターンテーブルに乗せた。

 イコラーザーカーブ表を確認して、Model120のイコラーザーカーブは「EMI」に、極性は「R」に、そして4th t/cは「Low」に設定した。

 ROKSAN  Artemizのリフターを操作した。ortfonのMC20の針先がゆっくりと盤面に達した。かけたのは「ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 ハ長調 D.934(Op.159)」であった。

 ソナスファベールのエレクタ・アマトールから流れ出した幻想曲に耳を傾けた。ソファテーブルには小暮さんは淹れてくれた珈琲が置かれていた。その黒い液体からは緩やかに芳香が立ち上がっていた。
 
 ジャン・アントニエッティの繊細でしっとりとしたピアノ演奏による導入部の後に、ヨハンナ・マルツィのヴァイオリンが流れ出した。録音年月日は1955年11月26日である。67年前の空気がイタリアのスピーカーからさらっと流れてきた。

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5895:カオナシ

2022年04月22日 | ノンジャンル

 4月20日、BMWはフラグシップである「7シリーズ」のニューモデルの詳細を発表した。事前の予想CGをインターネットで見ていたので、大きな驚きはなかったのであるが、「やはり、この顔で出してきたか・・・かなり大胆に変えてきたな・・・」と感じた。

 エクステリア・デザインで否応なく目につくのは、フロントマスクの大胆な造形であろう。上下2段にわかれた水平のLEDライトは、シトロエンなどのメーカーも採用しているが、最近のカーデザインにおける一つの流行なのかもしれない。

 このヘッドライトのことを、BMWは「スプリットヘッドライトユニット」と呼んでいるようである。この2段にわかれたLEDライトは好悪がはっきりと分かれるであろう。個人的には今のところ目が慣れていないこともあり「ちょっとね・・・これは・・・」というのが正直な第一印象である。

 そしてBMW伝統のキドニーグリルは、かつての7シリーズとは比べようがないほどその面積が大きくなった。これは最近のBMWのデザイン変遷を見てみると予想がつく範囲内であった。

 きっと賛否両論が巻き起こるであろう新型7シリーズのフロントマスクをじっと眺めていると、どういうわけか映画『千と千尋の神隠し』に出てくる「影の主人公」とも言える「カオナシ」のことが思い出された。

 そのどこを見ているが分からないような上段のLEDライトからくる印象であろうか・・・新型7シリーズは、とらえどころのない妖怪感が漂っているのかもしれない。
 
 インテリアに目を向けると、「BMWカーブドディスプレイ」と呼ぶ、湾曲した大型液晶パネルがインパネ上部に設置されている。

 これも今までのBMWには見られなかったインテリアデザインで、今後フルモデルチェンジされるBMWの各モデルに順次採用されていくであろう。またギアセレクターは、従来の手で握るタイプのものではなく、小さなスイッチタイプに変更されている。

 こういった大型プレミアムサルーンに対する需要は日本では相当に縮小しているので販売数はあまり期待できないが、この分野における王者であるMercedes-BenzのSクラスにどれだけ肉薄できるのであろうか・・・

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5894:苦行

2022年04月21日 | ノンジャンル

 「七福」のほうとうを完食すると、お腹はパンパンになった。「これから長いヒルクライムコースを走ることになるが、ちょっと体が重くなりすぎたかも・・・」と危惧しながら、会計を済ませて店の外に出た。

 塩山駅に立ち寄って信玄公の像の前で記念撮影をして、ヒルクライム後に補給するものをセブンイレブンで購入した。

 空は灰色に染まっていた。スマホの雨雲レーダーによると、この後雨に降られる可能性が高かった。「柳沢峠へ向かわずに引き返しても雨に濡れるのであれば、上りますか・・・」ということになり、ヒルクライムを開始することになった。

 塩山側から上る柳沢峠のヒルクライムコースは約17km。かなり長く、そして厳しい。ここまで既に相当な距離を走ってきているので、無理はできない。「あまり高くない一定の負荷で走り続けよう・・・」と心に決めていた。

 「180ワット程で走ろう・・・その程度の負荷であればペースを崩さずに最後まで走れるであろう・・・」と思いながら走り始めた。

 ヒルクライムコースを走り始める頃合いから小雨が降ってきた。サイコンの10秒平均パワーの数値を注視しながら、ゆっくりと距離と獲得標高を稼いでいった。

 走り始めは脚にまだ余力があるので、10秒平均パワーの数値が200ワットぐらいまで上がることがあると「抑えて・・・抑えて・・・」とクランクを回すペースを落として、じっくりと走った。

 10kmほど走ってヒルクライムの後半に入ってくると脚が随分と重くなってくる。ついつい体は楽をしたがる。10秒平均パワーが180ワットを切ってくると、「さぼるな・・・」と脚に鞭を入れた。

 幾つかのトンネルを潜り抜けていった。道は時折大きく曲がる。頂上までの残り距離が少なってくると、雨の勢いが増してきた。

 その雨のなか峠道を我慢強く走り続けていくと、ようやく峠の頂上にある峠の茶屋の建物が視界に入ってきた。「やっと終わった・・・」とほっとしながら、最後の行程を走り切った。どうにかこうにかほぼ均一ペースで走れた。

 雨は本降りになってきた。峠の茶屋は営業をしていなかった。その軒先にロードバイクを立てかけて雨宿りしながら、メンバーが上り切るのを待った。

 待っているうちに寒さで体が小刻みに震え始めた。気温は5度ほど。雨に濡れたので、体感気温はもっと低い。寒さにいたって弱い私にとって、「これは最悪の状況になるかもしれない・・・」と相当に不安になった。

 全員が上り終えてトイレを済ませてから奥多摩湖目指して長い下りを下り始めたのであるが、その下りは私にとって「地獄の苦行」そのものとなった。

 あまりの寒さに体の震えが止まらない。筋肉は硬直してロードバイクを上手くコントロールできない。濡れた路面は落車の危険性が高い。

 「どうにか落車だけは避けなければ・・・」と、濡れた路面を下っていった。「下っていって標高が下がれば気温も上がってきて、状況は良くなる・・・」と心に小さな希望の灯りをともしながら走ったが、寒さは止まず体の震えはいつまでも続いた。

 ようやく奥多摩湖の駐車場まで下ってきた。ここでトイレ休憩をした。体の各部をさすって冷え切って硬直した体を少しでも暖めようとした。

 ひと時の休息の後、さらに下っていって、古里駅近くのセブンイレブンでコンビニ休憩をした。ここで暖かいかき揚げ蕎麦を胃袋に入れて、体を内部から暖めた。

 少し人心地ついた。「どうにか大丈夫そうだ・・・」と思った。そして最後の行程を走っていった。JR青梅線に沿って続く商店街を走る頃になってから、ようやく体の動きが通常のものになってきた。

 夜の9時ごろに自宅に帰り着いて、サイコンに記録された走行距離を確認した。走行距離は211kmであった。「こんなに寒く辛い下りは初めてだったかも・・・」と思いながら「ただいま・・・」と告げた。

 出迎えた妻は「なんでこんなに遅いの・・・心配したでしょう・・・もう歳なんだからいい加減にしなさい・・・」としこたまたしなめられた。

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