AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

5881:Gimpel

2022年04月08日 | ノンジャンル

 このスコット・ロスの演奏によるラモー『クラヴサン作品全集』のレコードは、1975年にアサス城にて録音された。

 アサス城はフランス南部モンペリエ近郊にある古城である。スコット・ロスはこの城にあるチェンバロに触れたことがきっかけでオリジナル楽器への興味と理解を深めた。それ以降アサス城は彼にとって特別な場所となり、一室を借りて住んでいたこともある。

 クラブサン曲集 第1巻の「前奏曲」から「サラバンド」まで6曲を聴いた。この第1巻は、ラモーがパリに意気揚々と出てきて、自信を持って発表したのであったが、当時のパリでは全く評価されなかったようで、ラモーは大いに失望して故郷のディジョンに戻ってしまった。

 スコット・ロスの演奏で聴くこの最初のクラブサン曲集は実に見事である。「なんで当時のパリでは受けなかったんだろう・・・」と思ってしまう。

 6曲のクラブサン曲を聴き終えた。FMさんは「やはり、新しい音ですね・・・フレッシュな感じで・・・Marantzの真空管アンプでは古酒のような佇まいですが、CHORDとJeff Rowlandでは、新しい趣向の日本酒のような味わいです。最近、『大信州』という長野の日本酒を飲んだんですけど、その味わいを思い出しました。甘口ではなくすっとしたのど越しなんです。」と感想を述べられた。

 少し気を良くして次のレコードをOracle DELPHI 6のターンテーブルにセットした。次のレコードはセザール・フランクのヴァイオリンソナタがそのA面に収録されている。

 ヴァイオリンはBronislaw Gimpelである。ピアノ伴奏はWiadyslow Szpilman。1978年の録音で、レーベルはポーランドのMuzaである。

 Bronislaw Gimpelは、ポーランドのヴァイオリニストである。1911年生まれで、亡くなったのは1979年である。このレコードは亡くなる前年の録音ということになる。

 「う~ん、深いですね・・・この音楽性・・・」とFMさんはその演奏に耳を傾けられていた。A面を通して聴いた。

 「渋いけどダイナミックで、その音楽性の高さが胸に迫りますね・・・こういったレコードを聴くと、オーディオなんてどうでもよくなりなりますね・・・安いレコードプレーヤーだって全然平気っという気がしてきます。」とFMさんは話された。

 「そうなんですよね・・・時々レコードマニアの方でいらっしゃいますよね・・・オーディオ機器には全くとっていいほど気をかけない方・・・そういう方の気持ちもわかります・・・そういった方の話のほうが正論じゃないかという気もします・・・」と、私は答えた。

 「でも、『それを言っちゃおしまいよ・・・』ですね・・・」と、FMさんは笑われていた。「このレコードB面はドビッシーのヴァイオリンソナタですよね・・・そちらも聴いてみたいですね・・・」と続けられた。

 そこでレコードを裏返して、再度カートリッジの針先をレコードの盤面に下した。「オーディオのOFF会ではなく、レコードのOFF会の様相を呈してきたな・・・」と思いながら、Gimpelのヴァイオリンの音色に耳を傾けた。

 

 

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