夢見る乙女心も
繊細な乙女の感性も端的に表現するレースの神様。
縫い目の一目にすら気を配り、可愛いを追い求める探求者。
大森佑子はいつだってそうだ。
大森佑子がディレクションする世界観を好きか嫌いかは別として
ただ、圧倒されてしまうのは彼女のファッションにかける執念深さ。
徹底的に作り込まれ、生み出されるのは見事なまでの調和。
余分なものはない
足りないものもない
あるべきところにあるべきものがおさまった
完璧な調和。
積み重なった本の地層からでてきた雑誌。
なかなか興味深い内容が詰まっていて保存版の栄誉を与えられた一冊。
クウネル
その中の特集記事。
そこにはあたしが大森佑子に抱いていた印象が見事に彼女自身の言葉を持って語られていた。
彼女のファッションに対する姿勢はまさに職人。
大森佑子の全身全霊をもって作り出されたファッションは
人を選びすぎてあたしなんて手の届かない高みにあるけど、
いつも見るたびに心がざわざわする。
そのざわざわの正体はあたしももっとストイックに着飾りたいと思わせる何か。
とりすました冷たさとか
完全ゆえの静寂さとか
乙女の理想とか
可愛さの真髄とか
不変の美しさとか
耽美的とも言える甘さとか
ファッションはつきつめると過剰さや熱心さとは裏腹に冷たいほどの静寂を帯びる不思議。
ソニヤ・パーク、トム・ブラウンにも通じるその静かさは
完璧だからこその境地。
それでも大森佑子はまだまだこう祈る。
「ファッションだけ、どうか力をお与え下さい。」
ファションだけとびぬけたいびつなペンタゴングラフと続くその言葉。
唯一の願いとしたらあたしは何を願うんだろう。
今は天気。
「どうぞ神様、良い天気に恵まれますように」
灼熱、晴天に願うことではないけど今の願い事。