日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

栗の物語

2017-10-08 | トラットリア
秋は夕暮れ。
否、秋は食欲、秋の栗。
夕日の差して山の端いと近うなりたるところに、三つ四つ、二つ三つなど。まいて栗の連ねたるが、見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、夜の酒(ささ)にほっこりとした味わい、はた言ふべきにあらず。

と清少納言も書き残こしているとか、いないとか。


今年はまさかの栗ざんまい。
江戸の時世から芋・栗 ・南京は女子衆の好物で、季節を味わうものだから、せっかくだから頂いとくの体で食してみれば喰わず嫌いであったようで、栗がこんなにも美味しもので季節のお楽しみであったことにしみじみ。
でんぷん質は酒(ささ)に合わないとは思い込みで、旬の味覚がきりりと冷えはじめた空気に、冷酒にぴったりでねえ。
いとおかし、いとおかしと鹿に紅葉、菊に盃、栗に酒。

でも、栗は甘い菓子より、お出汁と塩味で頂きたい。
ないしは栗本来の甘味のみで。

季節先取りで出かけた長野 小布施の小布施堂。
栗の時期になると栗菓子 朱雀を求めて朝4時から並んで50人待ちなんてひょえ〜な状況を回避して、甘い栗は興味ないとばかりにお目当は小布施堂の長月のお膳。
栗の茶巾 餡掛け。
栗本来の甘味がお出汁の旨味とよーく合って辛党も満足。
ほのかな塩味が栗の甘味をひきたてて「塩梅」は「塩栗」と書き換えてもよいんじゃないかと思うくらい。







ここまで栗が美味しいと、朱雀食べてみたくなる。
故に、今日の栗。 栗菓子。
秋の夜長にちょうどよい物語のような味わい。

今は昔、おじいさんは山に栗を取りに、おばあさんは川のそばの栗拾いに行きました。
その栗を蒸して、そーっと取り出して、きんとんに仕立てて、一粒一粒、鬼皮に戻しましたとさ。









食欲の秋であり、読書の秋であり、栗の秋。


コメント (2)
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