日々草

「つれづれなるままに・・」日々の事を記す。

とらやの甘いねこ

2017-10-22 | トラットリア
とらや 「甘いねこ展」
六本木 とらやミッドタウン店のギャラリーで猫をモチーフにした和菓子がお披露目されて早、幾年。
この度、目出度く再販の運びとなりまして、お目当のねこを飼いに、いや買いに。

東京ミッドタウン店ギャラリー10周年記念 特別展「ギャラリーの記憶 2012-2016」


どの猫も甘い。
ひだまりでふわふわと丸くなる三毛猫はきんとん製になって「うたたね」



白猫のひくひく動く小さな耳は外郎で「すませば」
誰だったか、小さな耳をパリパリのせんべいにしてと書いていたけど、同じ猫の耳ならあたしはこちらがよい。
白いつややかな和菓子。
しっとりとしてひくひくとして、歯を立てかじるように大切に食べる。
猫の耳とはそういう食べ物であろうよ、きっと。




そして猫が沢山、ねこ羊羮 「にけ」
切るたびに猫が増え、2匹、4匹、8匹
黒と白の二毛ねこと見ればねこにしか見えないけど、スタイリッシュすぎる意匠に和菓子の奥深さが覗く。



三毛ではなく二毛
枕草子の一節、「猫は 上のかぎりくろくて、腹いとしろき。」
黒と白のニ毛柄の猫を、煉羊羹と道明寺羹で表しましたとさ。


このどれもを愛でたくて、味わいたくて、でも空想。
甘いねこは日だまりに丸まった幻の御菓子で、食感を想像しては溜め息をつき、猫を見ては口いっぱいに頬張って、甘さにきゅんきゅんしたかったこの四年。
特に『にけ』
今まではNI KEと聞いていの一番におもいだすのはサモトラケのニケ
NIKE(ニケ)とくればNIKE(ナイキ)ね。
NIKE社の由来はこの勝利の女神 ニケに由来するとか。
ギリシャの女神、ニケの彫像。
絶世の美女に違いない女神様ではあるがサモトラケのニケ 首なし。



ニケときいて、サモトラケのニケなんて思い出しもせず、この羊羹のみがどーんと登場するようになって、思い起こせば四年がたった。
不完全だからこそ完全なニケとはサモトラケのニケだけでなく、この和菓子にも言えることで、味わうことができなかったからこそ、私的垂涎の逸品の座に君臨していたともいえる。

口の中の大きなキャラメルをみたいな「に」と、ぺっと吐き出すような音、「け」
みけより甘さと投げやり感が混在していて白黒がはっきりついている。
唯物的な可愛らしさよりグラフィカルなツートンをもってくるあたりが虎屋の意匠の本領。
だからこそあたしは虎屋の和菓子に絶大なる信頼をおく。
いつの頃か、にけ
NIKEより羊羹。
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栗の物語

2017-10-08 | トラットリア
秋は夕暮れ。
否、秋は食欲、秋の栗。
夕日の差して山の端いと近うなりたるところに、三つ四つ、二つ三つなど。まいて栗の連ねたるが、見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、夜の酒(ささ)にほっこりとした味わい、はた言ふべきにあらず。

と清少納言も書き残こしているとか、いないとか。


今年はまさかの栗ざんまい。
江戸の時世から芋・栗 ・南京は女子衆の好物で、季節を味わうものだから、せっかくだから頂いとくの体で食してみれば喰わず嫌いであったようで、栗がこんなにも美味しもので季節のお楽しみであったことにしみじみ。
でんぷん質は酒(ささ)に合わないとは思い込みで、旬の味覚がきりりと冷えはじめた空気に、冷酒にぴったりでねえ。
いとおかし、いとおかしと鹿に紅葉、菊に盃、栗に酒。

でも、栗は甘い菓子より、お出汁と塩味で頂きたい。
ないしは栗本来の甘味のみで。

季節先取りで出かけた長野 小布施の小布施堂。
栗の時期になると栗菓子 朱雀を求めて朝4時から並んで50人待ちなんてひょえ〜な状況を回避して、甘い栗は興味ないとばかりにお目当は小布施堂の長月のお膳。
栗の茶巾 餡掛け。
栗本来の甘味がお出汁の旨味とよーく合って辛党も満足。
ほのかな塩味が栗の甘味をひきたてて「塩梅」は「塩栗」と書き換えてもよいんじゃないかと思うくらい。







ここまで栗が美味しいと、朱雀食べてみたくなる。
故に、今日の栗。 栗菓子。
秋の夜長にちょうどよい物語のような味わい。

今は昔、おじいさんは山に栗を取りに、おばあさんは川のそばの栗拾いに行きました。
その栗を蒸して、そーっと取り出して、きんとんに仕立てて、一粒一粒、鬼皮に戻しましたとさ。









食欲の秋であり、読書の秋であり、栗の秋。


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上野の熊猫 岡埜栄泉でパンダ

2017-09-24 | トラットリア
熊のようで猫のようで。
漢字の国から来た彼らには絶妙な漢字があてられていてニュースの一瞬では飽き足らず、ネットでその姿を再確認してさらにもう一回と念の入れよう。
熊であり、猫でありをチェックするのが最近の日課。





ライオンに感じるしなやかな猫の要素とはちょっと違うけど、白熊とか〇〇熊(ツキノワグマとか・・・俗にいう熊一般)より猫的器用さを感じるから見飽きない。
画像のみで腑抜けにされる仕草の愛らしさと、目があったからと薯蕷饅頭一個を食べる食べないで悩ましい気持ちにさせるパンダにはやはり『熊猫』の文字がふさわしい。
上野の岡埜栄泉総本家の薯蕷饅頭は熊猫型。


パンダと書かないのは、ブームではなく定番なんですウチは!という上野に根ざす老舗の矜持か。
上野といえばパンダであり、上野みやげといえばパンダであり、上野の和菓子といえば岡埜栄泉あるから上野に寄った時は岡埜栄泉でパンダ和菓子を買うのも楽しみなんである。





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かわいいパンダ おいしいパンダ

2017-07-12 | トラットリア
パンダ 1/12歳
生まれて一カ月たったそうな。



わーい。
バンザーイ!

体長測定すらかわいいのである。



いやはや、ぬいぐるみのようでとはまさにこの事。
パンダは絵になる、金になる。
上野駅周辺にあつまるパンダグッツをみると、一匹ぐらいは連れて帰りたいよね欲がぐわんぐわんと渦巻いちゃう。
パンダのカワイイ光線は人をダメにする。

上野駅構内で見つけたパンダ懐紙。
ここぞで使うんだーとかってみたけど、天ぷらの折敷にもなれず、引き出しの奥でじっくり出番を待っていったのをパンダ誕生 一カ月記念にあわせて蔵出しました!




お菓子は桃林堂の和菓子 パンダ
パンダ尽くし。
パンダとは罪つくりないきものである。
深夜の和菓子。
和菓子なだけ、罪悪感はすくなめであるが。







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油揚げの缶詰

2017-02-21 | トラットリア
おもちゃの缶詰もびっくり、油揚げの缶詰を手に入れたのだ!

讃岐罐詰株式会社
いなり 寿司の素 田舎風味





油揚げの防災意識が高くなっていて驚く。
味付けいなりの缶詰 16枚 280g入
油揚げですらこのような危機管理をしているのにあたしときたら・・・・・あれ?
地震やら天災は忘れた頃にやってくるという言葉を思い出して防災用品のチェックと非常時における心得を復唱する。油揚げの缶詰を非常食として備蓄すると共に。



油揚げ好きが油揚げが手に入らないなんていう状況におかれても、これさえ確保してあれば油揚げを欲する如何なる時でも大丈夫という画期的なものをみつけてウホウホ。
常温で製造から3年の賞味期限
問題はこんな緊急事態に油揚げを欲するかということであるが・・・・。
パーティーや行楽のお弁当にも是非ご利用下さいとのことだから、保存食的常備菜いや常備菜的備蓄食として油揚げマニア宅には買い置き決定品。

あそうそう、防災グッツの中に缶切り入れとかねば!
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売り文句、買うこととしたり

2017-02-07 | トラットリア
基本、売り文句はすべて買うことをスタンスに生きている。
まるっと受けてたつ覚悟。
真っ向勝負の上段の構えでゆくのか、声高に名乗りあげて肩透かし、売られたなんとやらに、瞬時に作戦を練るの一興であるが、逃げるは恥だか役に立つからの恋ダンスも一手だから、血の気が多いはずのあたしにむやみやたらに売り文句、云わないでよね。恋ダンスしだすよ!

さて、今日の売り文句、
売られたら、そりゃあ勿論、買います!買わせて頂きますとも。
ワイン売場にてのシーン。


「ロマネコンティの比ではないほど、希少です。」


いやあ、こんなこと言われたら買うしかないだろう。
ここで買わねば、女がすたるってなもんで、ていっと、買ってやったわ。
ワイン畑の特別な一区画、そこのブドウのみから作られたワイン。

ワインにとってこの樽、この年、この農園、この畑、希少価値の上げかたなんて方法はいくらでもあって、さらにはロマネコンティのように超有名ワインじゃないかぎり、ワインとの出会いなんて男と女のようなものだからさ。目の前の男がすべて運命なわけないじゃないか。金持ちだからといって運命ではなく、貧乏だといってもねえ、ピンときちゃうこともあるわけで。


なかなかお育ちがよさそうなくだんのワイン。
華やかな香りがかろやかで売り文句はウソではなかったのだなぁ。
ロマネコンティの名前を出すあたりで店員の完璧な売り文句が勝ちの気がしないでもないが、いつだって買ってやるぜという心意気の勝利ということにして、ワイン一本をあける口実にした、してやったぜ!


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COOKIEBOYのHappy holiday

2016-12-25 | トラットリア
カラフルで、スペシャル。
浮き足立つクリスマスのようなCOOKIEBOYのアイシングクッキー クリスマスver.






Merry christamas!
さて、今夜はどんなチキンを食べる?
昨日は焼き鳥クリスマスイブで、鳥型クッキーを前にしてクリスマス本番。



すごーく気になっていたCOOKIEBOYのクッキーを年内に手に入れることができてホクホク。
食べちゃうのが勿体無いくらいの可愛らしさ。
でも、オウムの鳴き声ってホラー映画の叫び声みたいなのよ、ギョェ〜
ぎょ、もう食べちゃうのと家人からいわれながらも、頭からバリバリと美味しく頂いて、明日からはもう年越し準備にて。
時の流れの早さに仰け反ってあたしもオウムのようにギョェ〜ですわ。


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神田 藪そばの「しー」

2016-12-10 | トラットリア
神田 藪そばに行くと岡本かの子の「家霊」という作品を思い出す。



「せいろ〜 いちま〜い おふたりさぁ〜ん」
「ありがとうぞんじま〜す」


帳場からきこえる女将の独特なあの節回しのせい。
お帳場という存在が、そして何よりも女将という存在感が「家霊」にでてくるあの店を彷彿とさせるからだ。

今時の店でお帳場という存在が稀有ですからね。
しかもそこに座るのが店をビシッと仕切る女将であるのがなおのこと。
女将にはマネージャーとか横文字で表せないような仕切り感が漂い、給仕役とは違う圧倒的な存在感で店を束ねているのである。
その声のみにより。(実際には違うのでしょうけど。)
姿は見えずとも帳場からきこえるその声によって店はうごいているのである。
その様は岡本かの子の家霊にでてくる「いのち」という屋号の店を想像させるのだ。
今でこそ小綺麗な藪そばだが、あの昔の店舗なら岡本かの子が恋人と蕎麦を手繰っていてもおかしくないからなあ。BGMはものを食う人々のさざめきと、ゆっくりとした節回しで女将の声。
その声に「いのち」の新米女将 くめ子の声が重なってきて調理場へ通される注文の品。
そして、次々とお客は暖簾を潜りやってくるのであるみたいな・・・・・。



「いらっしゃぁ〜い」
「し〜」



ここは「藪」か「いのち」かと板わさと天たねで冷酒をやりながら耳をすませば給仕役の女性たちが「しー」「しー」言ってる。
なぜに「しー」なのだと思考が現実に引き戻されれば

女将:「いらしゃぁ〜い」 間(ま) 店員:「しー」


つまり、「いらっしゃいまし」いうことに気がついて、思わず膝を打つ!
何かの判じ物かと思ったけど、なんだか粋なのねと思うのはあたしだけであろうか。
店は新しくなれども、どこか骨董品のような佇まいでありつづけるのことが神田 藪そばが名店と云われる所以であろ。


さて、もう少し呑みたい。
冷酒をもう少し、ビールをもう一杯。
はて、お帳場の女将はその良い声でどうオーダーを通してくれるのだろうか?
蕎麦屋で耳をすます。
すると、いくつもの「しー」の間から「ビー」が聞こえてくるのであった。














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コートと本と

2016-11-14 | トラットリア
コートは私の身を暖めるが、よい本は私の魂を温める。





防寒として本を一冊。
インフルエンザも流行の兆しをみせている。
疲れているとインフルエンザや風邪にもかかりやすい。
心も同じだと言っていい。
きちっと季節にあった装いとケアが必要なのである。
そう、コートはその身を暖める。
暖めるべきは身だけよいのか?
弱った寒い心も風邪をひく。
温めるべきは心である。
よい本は己の心を、ひいては魂を温めるのである。



柴田錬三郎が描く「うろつき夜太」
幕末の日本を闊歩し、さらに島国 ジャパンを飛び出してフランス革命に巻き込まれる自由人である剣豪「夜太」の生き様を描いた異色の時代小説。
週刊 プレイボーイで連載され、しかも挿絵は横尾忠則。
どんだけ異色な作品か容易にご想像いただけるはずである。
闊達で妖艶で奇想天外。
物語もどこへたどり着くのか先が読めない展開で、装丁も黒字に水色の活字で初期老眼には目を凝らさないと先が読めないなんてところやら、柴錬先生すら夜太に翻弄されて原稿が間に合わないという言い訳が連なるクダリまであって、なんじゃこりゃな摩訶不思議な一冊。





絵草紙 うろつき夜太 初版本。
本を開けばぷんと古書独特の黴くさい匂いがして、それだけで、容易ないものが詰まっていると期待ができる本なのである。
古書店の片隅にひっそりと置かれていた本は冬の防寒具より高価で、買うことを躊躇わせる価格と妖気をまとって鎮座していた。
コートのように冬の寒さから私の身を守ってはくれないけど、この奇譚はなまじっかなコートなんかよりあたしを熱くさせるのである。寒さを吹き飛ばすぐらいに!











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今度は竹徳かまぼこの栃尾揚げ(蒲)

2016-09-26 | トラットリア
せっせ、せっせと油揚げをコレクションしては、写真を撮り、食す日々が続いている。
体系的にコレクションとしてお披露目したいのだが、何をどう盛り込んでいいのか収拾がつかず、もう暫し、時間が欲しいところ。
油揚げ伝道師として、美味しいところはきちんと世に広めていかねばならない使命があるからコレクションとしてしまいこまず、美味しさが新鮮なうちにご披露せねばと焦るのである。


さて、今回の油揚げはなかなかの変わりダネ。
かまぼこ屋さんの油揚げなのである。
説明をどうするか?
油揚げ寄りでいくのか、かまぼこ寄りでいくのか。
というのもまさかの油揚げとかまぼこが合体した一品なのである。
君の名は

竹徳かまぼこ 栃尾揚げ蒲

油揚げ目線で説明すると
新潟 栃尾の有名油揚げ 栃尾揚げの上にすり身のせ、蒲鉾とし、おかかをまぶした油揚げ。
カマボコ目線でいうと
蒲鉾の板の部分がお揚げだと想像してもらうのがはやい。
栃尾揚げ大の板なし蒲鉾という想像が正しい。
まさにハイブリットなお揚げさんなのである。





これを適当に切って、いつもの印判鳥獣五画のお皿に盛り付る。



森羅万象も日進月歩で移ろいゆくが、まさかの油揚げまで、進化して、変貌を遂げるとは露ほども思わず、ハイブリットお揚げの美味しさを確かめつつ、油揚げはどこへ向かい、どの分野に進出していくのだろうかと蒲鉾部分がを噛み締めながら暫し、油揚げ界の未来をおもう。


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