ただどうやらこの事件、嘱託殺人容疑者である2名の医師達に(法律でいう)“悪意”があった事実が明らかな様子だ。
その前に昨日の朝日新聞夕刊より、被害者であるALS女性(Yさんとする)に関する情報の一部を紹介しよう。
(このYさんに関する記述を読むと、何だか若き時代の我が生き様を彷彿とさせられる。)
京都市に生まれたYさんは幼稚園の頃から多くの友達に恵まれていて、喧嘩があれば仲裁に入った。
学生の頃から海外や留学に行くなど活発だった。 イタリアやネパール、フィリピンなどへ出かけては、「タクシーでぼったくられた」等の大変そうな話を楽しそうに聞かせてくれた。
同志社大卒業後、デパートに就職。 その後建築を学ぶため米国に留学し、帰国後東京の建築設計事務所でも働いた。 これだ!と決めたことは実践してやり遂げる性格だった。
10年ほど前に脚に違和感があり、京都府内の病院で精密検査を受けALSと診断された。 余命は5年ぐらい、と医師から告げられ、「なんで自分がこんな病気になるんや」と号泣した。 その後も車椅子でハワイにも旅行した。
Yさんが弱音を吐くのを家族はみたことがない。 「実家のお父さんに迷惑を掛けられない」と実家近くのマンションで一人暮らしを始めた。 快活な性格はALS宣告後も父の目には変わらないように見えていた。
(以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)
そんなYさんがたとえ「死」を望んだとはいえ、何故ネットのSNSなどで不審な医師達と交流せねばならなかったのか?
原左都子の経験から思うに、適齢期を過ぎて快活に活躍を続け飛び回っている女には、女性の親友が出来にくいものだ。 周囲の皆が“結婚”を目指して躍起になった挙げ句、亭主・子どもとの家族が出来る。 そんな身で独身を貫き自由奔放にしている女などにかまっている暇がないのであろう。
私の場合はラッキーにも、30代後半期に同じく女性にして独身を貫く“腹心の友”と出会えた。 (無情にも彼女は7,8年前に自室にてくも膜下出血で倒れ、帰らぬ人となった…)
もしも私が4,50代にALSを発症したとして、その腹心の友の存在が大いに心の支えとなったことであろう。 それが証拠に私が40歳時に皮膚癌を患って手術入院した際には、真っ先に病院に駆けつけてくれた。😥
Yさんにもしも(SNSで知り合った不審な医師達ではなく)“腹心の友”が存在したならば、たとえ難病であろうがもっと命を永らえることが叶った気もする…
その不審な嘱託殺人容疑者の医師達に関してだが。
その後ネットを見聞する都度、その医師達に対する不信感に拍車がかかるばかりだ…
ネット情報より、その中から一部を引用しよう。
ALSの女性患者を殺害したとして、嘱託殺人容疑で京都府警に逮捕された山本直樹容疑者(43)が、海外の大学の医学部を卒業したことにして、医師免許を不正に取得した疑いがあることが捜査関係者らへの取材でわかった。 府警が大学に確認したところ、卒業を確認できなかったという。 府警は厚生労働省に連絡した。
捜査関係者らによると、山本容疑者は東京都内の医科大学に一時在籍した後、約10年前に海外の大学の医学部を卒業したとして医師国家試験を受験し、医師免許を取得したという。
厚労省によると、日本の大学の医学部を卒業していなくても海外の医学校を卒業していれば医師国家試験を受験できる。 ただ海外の医学校の卒業者には、日本の大学の医学部の卒業者と同等以上の教育を受け能力を備えていることが条件とされており、書類審査などをへて受験資格の認定を受ける必要がある。
一緒に逮捕された大久保愉一容疑者(42)は厚労省で医系技官を務めていた。
(以上、ネット情報より一部を引用したもの。)
私自身が医学部(パラメディカル分野)出身であるため、医師になるに際しその種の“逃げ道”がある事実を以前より認識している。
これ、実に怪しい。 何も海外の信憑性無き医学部へ大金叩いて行かずとて、国内の医学部にて真面目に学び日本の国家試験を受験して「医師免許」を取得すれば済む話だ。
要するに“そういうこと”なのだろう。
この山本容疑者へYさんから130万円が振り込まれた事実を既に警察は調査済みのようだが。 医師としての実力無き容疑者にとっては、そうでもせずして稼ぎようがなかったのかもしれない。
ただ、Yさんのこの容疑者2人に関する死に際の機敏な行動に驚かされる。
当該朝日新聞記事によれば、Yさんはどうやら容疑者2名に関して不信感を抱いていた様子でもある。
Yさん自身が山本容疑者の口座に振り込んだ130万円が“だまし取られる”ことを警戒して、そのやりとりの記録をパソコンに保存し知人に送っていたらしいのだ!
結局Yさんは「死にたい」と心の隅で迷いつつ、実はもっと生きたかったのではなかろうか?!!
そうであったとすれば、そんなYさんを一体誰が救えたのだろう??
(主治医にこそもっとしっかりして欲しい思いもあるが。 おそらく数多くの患者を抱え、日々四苦八苦しているのであろう……)
今後に及ぶ、難病患者に関する大きな課題だろう。