原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

STAP騒動、私なら未熟者扱いされるより捏造を認めたい

2014年04月03日 | 時事論評
 元々医学関係の職に就いていた原左都子だが、私がしたためた医学論文が一番最初に日の目を見たのは1970年代後半の事である。
 学生時代に卒論課題として1年程の年月をかけて実施した医学研究成果をまとめた論文を、私の卒業後に担当教官が「BIOMEDICAL JOURNAL」なる医学雑誌に投稿してくれたのだ。

 既に上京して医学専門職社員として民間企業に勤めていた私の手元に、指導教官からその小冊子が届いた時には驚き、感激した。
 添えられていた手紙によれば、地元病院に就職する卒業生がほとんどの中、単身で上京して民間企業なる新天地で頑張る私にエールを贈る意味合いで今回医学雑誌に我が卒論を投稿してくれたとの事だ。 しかも、私の卒業研究にかける熱意の程が半端でなかったことが十分に伝わっていた、とも記して下さっていた。

 確かに、そうだったかもしれない。
 たかが学生の卒論であり、その内容たるやまさか当時の医学トピックス的な斬新なものではあり得ない。 私が取り上げた題材とは、結果を導くために地道なサンプリングを繰り返す等々、多大な時間を要するテーマだった。 そのサンプリング試験を来る日も来る日も夜遅くまで学内実験室で実施していた姿が、おそらく教官の記憶に刻まれた事であろう。
 しかも厳しい実験の合間に大学図書館へ通い、国内外医学論文を紐解き参照する事にも時間を割いた。
 更にはデータ解析時点での統計的処理にも十分に留意し、自分が納得出来る形に論文が仕上がった記憶もある。
 それでも、まさか指導教官が私の卒業後にそれを医学雑誌に投稿して下さるとは夢にも見ていなかった。 別に何らのトピックス性もなく、単に我が氏名(及び共同研究者と指導教官の氏名)及び論文内容が当時の医学雑誌の数ページに掲載されたのみだが、担当教官の“粋な計らい”に感激したとの話である。


 その後私は民間企業医学専門社員として、国内医学学会への研究発表機会が何度かあった。 私が発表者として壇上に立った経験もあれば、共同研究者の立場で名を連ねた事もある。
 そのすべてに於いて、世から「捏造」と騒がれる程の話題性のある発表をしていないことが幸いしているのであろうが、私の場合、何処からもその種のクレームを受けた経験はない。

 そもそも民間企業の立場で医学学会へ発表をエントリーする場合、(正直に言うと)“企業の知名度を上げる”事が社員の第一命題として発生する。 要するに、私の発表を見聞した医学諸機関が我が企業に興味を持ってくれるならば、それこそ我が使命を果たせるとの論理だ。
 その効果の程もまんざらではなかったようで、学会発表後、各医療機関より我が民間企業へ問い合わせが相次ぎ、それにも応える機会があった私だ。

 もしもこの場面に於いて私の学会発表に“捏造”があった場合、その責任の程は如何ばかりだったのだろう。 そんな事態を一末端民間社員が担えるはずもない。 少なくとも我が民間社員としての医学学会発表内容には“嘘偽り”はなかったものだ。

 片や、「未熟」観点に関してはどうだろう。
 まさか大学生の卒論でもあるまいし、一旦民間企業専門職と成った場面に於いて、「私は未熟でした」なる言い訳が通るはずもない。
 これに関しては私も一医学専門職員としてのプライドもあったし、その覚悟も決めていたと言える。


 ここで、STAP細胞騒動に話を移そう。

 当該騒動に対し、論文内容に不正が認定された問題で独立行政法人 理化学研究所の野依理事長が4月1日に記者会見し、「科学社会の信頼を損ないお詫び申し上げる」と謝罪したようだ。 それに伴い理研は、STAP細胞の有無から検証する方針との事である。
 
 (参考ではあるが)原左都子は近年この理化学研究所でアルバイトをしていた事もあり、現場“体質”の程をある程度認識している。
 その観点から申し上げるに、野依氏(元ノーベル賞受賞者であられる人物)よりの今回のSTAP騒動(不祥事と表現した方が適切と判断するが)に関する見解発表が遅すぎたのではあるまいか?!?

 
 しかももっと不幸な事には、STAP細胞提唱者である小保方晴子氏より「撤回の意思ない」との返答が届いている有様だ。

 それも無理ないとの感覚に陥る私でもある。
 今まで、誰が小保方氏に同調して来たのだ?!?  それは国内トップの「理化学研究所」たる基礎研究現場であり、国内有数の共同著名研究者達であり、理研トップ陣であろう。 更には米国ハーバード大学や、世界に名立たる科学誌「ネイチャー」の論文審査力の程も問いたいのは関の山なれど……


 未だ若き世代の小保方晴子氏が 今現在どこで如何なる“隠れ生活”を営まざる運命を背負っているのかに関して、私の立場では計り知れない。
 ただ、もしも小保方氏が本気でSTAP細胞基礎研究者の立場を再度ゲットしたいとの熱意を抱いているのであるならば、今一度何処かの大学で博士論文を書き直す作業を志してはどうか。

 貴方は今回のSTAP細胞騒動に際して、「研究者として未熟」なる理研からの“擁護”発言にすっかり依存しているのか、「捏造」との結論に異議申し立てしておられる様子だ。


 最後に、原左都子の結論で締めくくろう。

 もしも小保方氏ご本人に今後も万能細胞研究によりこの世を操るべく理念と決断があるのならば、周囲よりの「未熟者発言」に依存するよりも、今回はきっぱりと「捏造」を認めては如何だろうか。
 その上で再出発して、あなたが信じる「STAP細胞研究」に今一度地道に専念する方がはるかに貴方の未来が明るいと想像するのだが如何だろう…… 
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