原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

シングル女性が不動産を購入する際の留意事項

2015年03月28日 | 時事論評
 女性の社会進出・活躍が急激に進む現象と並行して、結婚・出産高齢化も加速している。

 そんな世の流れと共に、現在シングル女性の不動産購入が活況化にあるらしい。

 以下に、一ネット情報よりその様子を要約引用しよう。
 都心の不動産市場が活況だ。 最近ではシングル女性も熱い視線を注ぐ。背景に何があるのか。
 不動産経済研究所によると、2014年の首都圏の新築マンション平均価格は、5060万円。 1992年以来の高値となり、不動産市況は「プチバブル」の様相を呈する。 そんな中、シングル女性が不動産に向ける視線も熱を帯びている。「快適女性のための住まいづくり研究会」代表の某女性氏が語るには…。
 「結婚をあきらめた女性が“終(つい)のすみか”としてマンションを買うと言われたのは20年以上前の話。研究会のセミナーでも投資関係が一番人気で、参加者の7割以上がシングル女性だ。男性のような投機目的ではなく、最初は自分で住んで、結婚などでライフスタイルが変わったら賃貸に出して家賃収入を得たいと考えている人が多いですね」
 研究会の会員約7万6千人を対象にした分析では、約7割が会社員で、年収は400万~599万円が最も多い。約8割が自己資金を400万円以上持っており、約半数は800万円以上。年齢は30,40代が65%なので、勤続10年以上の蓄えのある堅実なOLが多いようだ。
 「シングル女性は男性に比べてローン破産などの“事故率”が少ない。今は金融機関のローン審査も保証人が不要で、30、40代なら税込み年収の6、7倍のローンが組めるケースもある」(以上、上記某氏の発言) 14年に首都圏の新築分譲マンションを契約した人を対象とするリクルート住まいカンパニーの調査によると、シングル女性は5割以上が東京23区内でマンションを購入。購入理由で全体平均より高いのは、「資産を持ちたい」と「老後の安心のため」。 自己資金は平均が1064万円なのに対し、シングル女性は1498万と、434万円多い。
 (※AERA 2015年3月30日号より抜粋)


 原左都子の私事に入ろう。

 私がまさに“シングル女性”として単独名義で一番最初に不動産物件を購入したのは、今から遡る事30年程前の30歳直前期だった。
 何故独身の立場で不動産物件を購入したかのいきさつに関しては、既に当該「原左都子エッセイ集」バックナンバーに於いて再三再四記述している。  当時結婚及び子育て願望がさほど無く主体的に独身を貫いていた私にして、「ブランド物など要らないが、自分が住む家くらいは自分で購入するぞ!」なる確固としたポリシーを内面に培っていた。
 
 時は29歳。 民間企業に就職していた私もある程度上位の立場となり、そこそこの金融資産蓄積も成し遂げていた。   (参考だが、上記ネット情報によれば現在シングルにて不動産物件を購入する女性の平均年収は約500万円、自己保有資産が約1500万円とのことのようだ。)
 自慢話で申し訳ないが、私は29歳時点で、平均年収及び金融資産所有総額が上記ネット数値を大幅に上回っていた。 時は経済バブル絶頂直前期であり、当時のサラリーマン達とは私のみならず皆がその程度の所得を得ていた時代背景だったものだ…。

 そんな私は、迷いなく不動産購入に踏み切った。
 これには実姉の影響が大いにあった。 当時大阪に住んでいた我が姉は25歳の若さにして単独でマンション物件購入に踏み切っていた。 しかも一切のローンは組まず、全額自己金融資産にての!
 これに妹の私が触発された事には間違いない。 私も全額自己資金での購入を目指していたが、姉程の自己資産力が無かった私は、ローンを組んで不動産を購入する結果となった。
 その物件こそが、昨年築32年にして「オーナーチェンジ・リノベーション対象物件」として売り払った我が賃貸資産である。

 
 さて、30年程前にシングルの身にして不動産物件を購入し7年間自らの単身住居とした後、それを20年程賃貸物件として運用した実績のある私から、今後同様目的で不動産物件を買い求め将来投資運用しようと志す女史達に留意点を述べよう。

 まず第一点。 不動産購入ローンは最小限に留めるべき。
 現在の不動産購入ローンは金利が至って低額のため、借入しやすい環境下にあると心得ている。 が、それに甘んじ多額のローンを長期借入したならばその利子総額たるや膨大な金額となる。 特に“変動金利ローン”は今後の経済政策の行方に大きく左右され借入期間が長期になる程不確実性が増大する故、留意する必要があろう。
 更には将来的に賃貸物件としての投資運用を志いしている場合、それ以前にローン完済して抵当権抹消登記をしておくべきだ。 抵当権付き物件など今の時代、賃借人から一番に敬遠される対象物件でしかない。
 
 第二点。 シングル女性ご本人一人の名義で不動産を購入するなら今後に至ってさほどの問題はないが、もしも家族(あるいは親の遺産)や婚約者等を共有名義者とする場合、その後共有者の死去や婚姻に至らなかった事態等に際し税務申告が複雑となる事態は歴然だ。 大して高額ではない物件を買う場合は大きな問題はないが、高額物件を買い求める場合それが将来ネックとなる場合も予想可能だ。

 第三点。 購入する不動産物件の耐用年数を心得ておこう。 
 現在の税法上の減価償却計算に於いて、マンション物件の耐用年数は47年と定められている。 もしもシングル女性が古い中古物件(例えば築2,30年経過の物件)を購入する場合、その物件の耐用年数は自ずとそれ程の寿命であることを最初からわきまえておくべきだ。
 私自身の経験から述べるなら、築32年にして昨年“リノベーション対象物件”として我が賃貸物件を売りに出したばかりである。 もしもご自身で“リノベーション”が出来る程の経済力があるのならば、その後も賃貸物件として利用可能であろうが、それには数百万の費用が加算される。 その後一体何年古不動産が持ちこたえるのかの判断も所有者に要求されるとのことだ。 
 (その時点に於いて未だローン返済を終えていないとしたならば、もっと悲惨な状況となろう…)

 第四点。 不動産を新築で購入しようが中古であろうが、その先ずっとマンション管理会社に支払う「管理費及び修繕積立金」が発生し続ける。
 これに関しては、現在私が住むマンション内でも議論の最中なのだが、マンション物件を購入した場合、十数年毎に定期的に「大規模修繕」が実施される運命にある。 その都度「修繕積立金」が大幅に上昇するのが世の常だ。 これに対してマンション管理組合員一員である私など毎回管理会社に反論を突きつけるのだが、何分相手はゼネコン企業…  国家(特に自民党政権下に於いて)保護されて続けている実態だ。 悲しいかな、東京五輪が終わるまでは修繕費は高騰し続けることであろう… 
 (参考のため、築年数が経過したマンション物件を所有し続ける場合、下手をすると管理費・修繕積立金合計額が4,5万円/月 に上る事もあるため、所有者はその金額を支払い続ける経済力を要することも承知しておくべきだ。)


 第五点。  上記の「快適女性のための住まいづくり研究会」代表の某女性氏が“現在の世論”として表明した内容に従うならば、「最初は自分で住んで、結婚などでライフスタイルが変わったら賃貸に出して家賃収入を得たいと考えている人が多いですね」 (上記ネット情報より引用。)
 その情報に従うならば、現在の独身女性はまさに私が過去に於いて実行した不動産賃貸運営を真似たいようだ。
 そうした場合の留意点を述べておこう。
 まずは賃借人の選択を誤るべからず!、と言うのが鉄則ではなかろうか。
 賃貸物件を運営する場合、通常不動産仲介会社を頼ることになろう。 10中8、9の事例に於いて、恐らく不動産仲介会社が紹介してくれる賃借人氏にさほどの悪人はいないのかもしれない。
 ところが、私は昨年某賃貸仲介会社(一応ジャスダック上場の首都圏では多数店舗展開している企業)から(ヤクザまがいの)悪質入居者を紹介され150万円もの多額損失を計上してしまったのだ。 これは賃貸歴20年の私としても予想だにしなかった事態だった。 そういう不運もあり得る事を視野に入れておかねば、(一応自営業範疇の)不動産賃貸など立ち行かぬ事を教授申し上げておこう。 


 それでも、強い意志でシングル女性が自分自身の先々を見通し不動産を購入するのならばそれもよかろう。
 ただ少なくとも、近いうちに結婚予定の男性の懐具合を頼り不動産を購入する等の“他力本願”魂胆ならば、それこそ関係破たん後の経済損失が莫大であろう事を今から思い知っておいた方がよいような気もする。

この記事についてブログを書く
« 安倍総理の安保歴史認識の歪... | TOP | 学校の先生達よ、通知表は真... »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | 時事論評