原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

ロスジェネ世代は不幸か?

2012年09月08日 | 時事論評
 9月に入ってすぐ、この春大学へ入学した18歳の我が娘が前期の学科成績結果を受け取りに在籍大学へ出かけた。

 この成績発表に於いて「ランクD」判定が下された科目に関しては「再試」の救済措置と相成るが、その「再試」にかかる費用を正規学費納入金とは別枠で成績発表日当日に即刻納めねばならないと娘が言う。
 過去において国公立大学(及び大学院)在学経験しかない私は、その費用金額の程が如何程なのかまったく想像がつかないのだが、娘に確認してもそれに関する大学からの説明や資料はないと言う。  そこで娘に「ランクD」を取ったと思しき科目数を確認した後、私が常識的範囲内と判断する「再試」費用を算定して持参させた。

 結果としては幸いな事に我が娘の前期成績において「ランクD」判定は皆無、すべての科目で単位をクリア出来る成績を修めていた事に救われた思いの母子である。 とりあえずは大学初期の場面で、まずまずのスタートを切れた事を祝福した我が家だ。


 元医学関係者であり元教育者でもある私が、娘の生後まもない頃より我が子の「お抱え家庭教師」として君臨し続けている事実に関しては「原左都子エッセイ集」バックナンバーにおいて再三紹介して来ている。
 その我が「お抱え家庭教師」家業も、娘が昨秋大学に推薦合格してくれた段階で一つの大きな山を超えた感覚がある。 そうだとしても、まだまだ娘将来の“真の自立”に向けた道程は、現在の時代背景を勘案した場合厳しいものがあろう。

 どうなのだろう?
 我が子の教育に熱心な世のパパ・ママ達はやはり私と同様に、子供を大学入学させた後に及んで尚より良き就職ゲットに向けて励んでおられるのであろうか?? 
 私自身の教育思想及び親として置かれている立場とは、そもそも私よりもずっと若い世代のおそらくバブル期に大学を卒業したであろう上記保護者の皆さんとはその性質が大いに異なるのではないかと思う節がある。

 片や娘から大学現場の話を見聞すると、学生の皆さん至って活動的であるようだ。 若かりし頃の原左都子同様、学業の合間を縫っては学内外諸活動さらにはアルバイトや恋愛等々自己実現に励む女子学生(娘が通う大学は女子大であるが)が多忙を極めている実情の様子だ……
 その種の一般学生とは一味も二味も異なる個性や特質を持って生まれ出てきた我が子の実情を慮り今後の指南をするのが、「お抱え家庭教師」としての私の力の見せ所でもある。

 将来の娘の就職に有利になる条件を整えてやる事を現在の我が使命とした場合、とりあえずの第一目標とは、我が子の勤勉かつ素直・実直な性質を尊重しつつ、大学現場である程度の学業成績を積み上げさせる事こそが最優先課題と判断する。
 加えて(これは大学学業とは関連のない話題であり“親の欲目”範疇であることは承知の上だが)、我が娘は産まれ持ってのDNAによると思しき外見が整っている部類なのだ!?! (いや正直なところ、これってほんとにラッキーと捉えている私であることは認める。)  これを娘将来の自立のための武器にしない手はない!とほくそ笑みながら、その外見に磨きをかける事に関しても日々手厳しく指導している原左都子であり、娘もその指導に従い“美貌?”をも磨く日々である。


 ところで、皆さんは「ロスジェネ(ロストジェネレーション)」なる言葉をご存知であろうか。
 この言葉、元々はAERAで初めに取り上げられた表現であるらしい。
「ロスジェネ世代」とは、バブル崩壊後の失われた10年間、1994年から2005年の超・就職氷河期に就職活動を行った、現在主に25~35歳になる世代のことを言うそうだ。(以上、ネット情報より引用)

 この就職氷河期に社会に進出せざるを得なかった「ロスジェネ世代」とそれより少し前の「バブル入社期世代」を比較した興味深い記事が朝日新聞8月終盤頃に連載されていた。
 申し訳ないのだが、原左都子自身は両者共に経験していないもっと前の世代である。 しかも私の場合は医学分野の国家資格を取得することを条件として民間企業へ就職している。  それ故に「バブル入社期世代」「ロスジェネ世代」共に自分自身の実感が伴わない事実をまずはお詫びする。

 その上で、上記朝日新聞より「ロスジェネ世代」の言い分の一部を以下に要約して紹介しよう。
 いい学校からいい会社へという価値観がまだ根強い頃に育ったが、世に出る時にそのコースは成立しなくなっていた。さりとて、それに替わるライフモデルは見つからない。 こんなはずじゃなかった感が強いのがロスジェネの特徴だろう。 古い価値観にしがみついて恨み節ばかり、愚痴っぽいと思われたって「割を食った」という思いはやはり拭えない… 
 一方、ロスジェネ後の世代(おそらく我が娘の世代)の言い分としては、「現在はより状況が厳しい。割を食ったという思いは今の若者の現実とぶれている」
 今や若者と呼べなくなってきたロスジェネ世代だが、「お前たちには社会に対する疑問や反感という問題意識があるはずだ。世を変えていけるとすればお前たちなんだよ」と叫ぶ直木賞作家もいる…
 (以上、朝日新聞文化面連鎖記事「ぼくたちの失敗」より引用)


 何だか、何処の世代に於いても親の育て方こそが悪かったのではないかとの結論を出したいのが、原左都子の私論である。

 上記朝日新聞記事を読むと、時代を超えて子供とは実に親に従順であるとの結論に達するのだ。 愚かな親とて自分の親なんだねえ…
 例えば上記記事内にある文言を、今一度以下にコピーして紹介すると……
 < (我々ロスジェネ世代は)いい学校からいい会社へという価値観がまだ根強い頃に育ったが、世に出る時にそのコースは成立しなくなっていた。さりとてそれに替わるライフモデルは見つからない。 >
 ちょっと、ロスジェネ世代のあんたらねえ。
 親がそのような貧弱な価値観をあなた達に呈示したとて、大人になった自分自身が自ら価値観を変えライフモデルを見つける手立てが今の時代いくらでもあるだろうに…。 親の加護に甘えて生きて来た挙句今更恨み節を唱えるよりも、未だ30歳前後の世代ならば今後の人生を自分自身で切り開ける道程はいくらでも存在するはずだよ。


 原左都子自身はこの厳しい時代背景において、我が娘の近い将来の社会的自立を必ずや叶えてやるつもりだ。

 それは決して、いい学校いい会社へったくれの“社会迎合甘やかし政策”によるのではないぞ!
 そうではなく、本人が持って生まれた特質長所部分を今後も我が厳しい指導力により最大限に鍛え、花開かせ表出してやることにおいてである。
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