原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

科学の進化・発展とナショナリズムは相容れない!

2016年01月02日 | 時事論評
 (新年早々、冒頭から“暑苦しい おっさん3人”の写真を掲載して恐縮です。   朝日新聞2016.1.1付記事 「原子番号113番勝ち取った」より転載したもの。  写真一番左側の男性が本日のエッセイ本文に紹介している、理研食堂の昼飯を食べないとの噂がある理化学研究所理事長の松本紘氏。)


 皆様、新年明けましておめでとうございます。 
 本年も、何卒よろしくお願い申し上げます。 


 昨日の元旦、私の手元に興味深いメッセージが記された年賀状が複数届けられた。

 その中でも一番インパクトがあったのが、国立研究開発法人 理化学研究所に勤務されている某女性よりの年賀状内の記述だ。
 その内容を、(ご本人には無断にて)以下に転載し紹介しよう。(某女性さん、無断転載を何卒お許し下さいますように。
 「お変わりございませんか。  今度の(理研)理事長はあまり食堂でお見かけしません。 (食堂のメニューが)お口に合わないのでしょうか…。」

 
 早速原左都子の私見に入るが、いやはやこの一文こそが現在置かれている理化学研究所の実態を物語っているとも解釈出来よう。

 皆さんもご存知の通り、理研とは我が国最大にして最高レベルの理化学研究組織にして、一昨年「STAP細胞事件」で大揺れした科学研究組織体である。

 私がアルバイトの身分で理研本部の一研究所に勤務したのは、今から十数年前の1990年代終盤から2000年初頭にかけての時期だ。
 ちょうどその頃、理研の食堂はおそらく1000名以上収容可能な巨大食事施設として建て替えられた。 私も上記の年賀状を頂戴した某女性氏達と一緒に、昼食を摂るため度々当該食堂を利用している。 (おそらく入札を勝ち取った)民間業者に運営を委ね、国税の負担金も大きいのだろうが、昼食代金が破格の安価だったことが記憶に鮮明だ。(例えば、うどん・そば等麺類は100円以下、定食も200円程の低価だったと記憶している。)
 私の感想では、味はまあまあだったような記憶がある。 何分その破格安価が魅力で、集団嫌いな私も当該食堂で麺類や日替わり定食を食したものだ。 ただそのドデカさと人の多さ故に、集団嫌いな私にとっては決して居心地がよい場所とは言えなかったものだ。

 もしかしたら元京都大学学長である現理事長の松本氏も、私と同じ思いなのではなかろうか?
 ただ一般職員とは異なり、理事長には理事長としての任務を果たすべく責務があろう。 理事長室にて単独で過ごすより、昼食時の食堂とは一般研究員達との談話の機会を提供してくれる、またとないコミュニケーションの場なのではあるまいか?
 上記の理研勤務某女性の年賀状メッセージとは、その新理事長の一般職員との接触を避けようとする態度の是非を、私に訴えてくれたものと理解している。

 前理研理事長であられたノーベル化学賞受賞者の野依良治氏は、ちょうど私が理研を退職した直後頃の2003年から2015年3月までの13年間との長き年月を通して、理研理事長としての任務を果たされている。
 私自身は残念ながら直にお目にかかったことはない。 野依氏はおそらく理研巨大食堂にもたまに出向き一般職員達とコミュニケーションを取る場面を、年賀状にてメッセージをくれた某女性は懐かしく思い浮かべておられるのであろうと推測する。


 さて、話題を大幅に変えよう。

 2015年大晦日の日に、以下の報道がなされたことは皆さんご存知であろう。

 理化学研究所は2015年12月31日、作製に成功した113番目の新元素の命名権を獲得したと発表した。 化学者らで構成される国際機関「国際純正・応用化学連合」(IUPAC)に、理研のグループが113番の元素を発見したと認められた。 物質を形作る基本的な要素となる元素の発見は日本初で、アジアでも初めて。
 グループの代表を務めるのは九州大学の森田浩介教授で、03年9月から加速器で亜鉛の原子核を重金属のビスマス原子核に衝突、核融合させる実験を繰り返し、04年9月に初めて113番元素を作りだした。
 理研が命名する元素名は、教科書にある元素の周期表に水素や酸素と同じように記載される。名前は「ジャポニウム」などが候補に挙がっているという。
 (以上、昨日のネット情報より引用したもの。)

 再び私見に入ろう。
 原子番号113番の新元素をめぐっては、10年以上の長い年月に渡り他国研究者達と間で命名権争いバトルが繰り広げられている、と私は認識している。
 例えば米国やロシアの研究者達も、当該新元素は自分達こそが新発見者だと主張して譲らないとの話題だ。 結果として、国際学会の作業部門の結果がこの1月後半に公表される見通しとなったことに期待しているとの情報もある。
 一体どの研究チームの発見が早かったかどうか??  これに関して今のところは日本の理研が有力との見方が大きく、その理研に対して新元素の命名権が与えられたと言うのだが…


 最後に、原左都子の私論でまとめよう。

 どっちが先に新元素を発見した? やれ、僕が先だ!  何言ってんだ!私の方こそ口には出さなかったけど先に発見していたんだぞ!!
 まるで、子供の痴話喧嘩の風景だ。

 傍目に傍観させられる身としては、アホらしくて聞いてられやしない…
 科学者達にとって、一体何が大事なんだ??   先に発見した事を誇る事か??
 そうじゃないだろ。  同時発見なる偶然とは、何時の時代も如何なる分野にも遭遇する事実だ。 (日々エッセイを綴っている私とて、時事トピックスを真っ先に取り上げたつもりでも、同じ表題の論評にネット上で出食わす事など日常茶飯事だ。 レベルが低い私事事例を挙げて恐縮だが…)

 しかも、理研側が当該新元素に命名した一候補が 「ジャポニウム」 だと!??
 聞く方が恥ずかしくなるような命名センスのダサさに加え、この命名には、安倍政権から巨額の財源を投入され意のままに操られ揺れ動く理研の正体が見え隠れしているようで、落胆させられるばかりだ…。
 
 発見者には新元素の命名権が与えられ、それが理研と認められれば史上初めて元素に日本発の名前が付き「元素の周期表」に記載される。 との事らしいが…
 
 原左都子のたっての希望としては、理研側が他国の研究者にも配慮するのは当然として、国境を越え更には科学進化・発展の未来が輝くようなグローバル、ユニバーサルな命名に是非とも期待したいものだ。

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