原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

核兵器使用の具体的な可能性に人類が脅かされた2022年

2022年12月28日 | 時事論評
 本日は、2022.12.17付朝日新聞記事・交論「核に揺さぶられた世界」より、 国際政治学者・藤原帰一氏による「核抑止への依存度 下げる道を」を以下に引用する。

 
 ロシアがウクライナへの侵略を成功させるために、核兵器を使うことが役に立つかどうかといえば、その可能性はほとんどないと私(藤原氏)は思う。
 核兵器の使用には、戦場で自軍に有利な条件を作り出すための戦術的なしようと、相手の戦いう意思をくじくために行う戦略的使用がある。 もしロシアが戦術目的で核を使ったら、その地域は放射能に汚染されてしまうので、戦場の状況を好転させることはできない。 戦略目的でキーウを破壊したら、巨大な被害は出るが、ウクライナ国民の戦意が無くなるかと言えば、むしろ逆。 つまり合理的に考えれば、核兵器を使う意味は無い。
 ロシア本土の防衛が必要だとロシア側が考える状況になった場合、残念ながら核兵器が使用される可能性があろう。 総じてロシアが劣勢になればなるほど核兵器が使われる可能性は高くなる。 ウクライナがロシアを押し戻し、ロシアの兵器が減ってきているこの間の状況は、核への懸念との点から状況が悪化して来ているとも言える。
 もしもロシアが核兵器を使ったならば、NATO諸国がロシアに直接の軍事介入を行うことになるだろう。 双方が直接の交戦状態に陥れば、それは紛れもない世界戦争だ。 (中略)
 第二次世界大戦で広島、長崎への攻撃に原爆が使われて以降、核兵器が実戦しようされることはなかった。
 それは、使わないという努力が人々によって続けられ、重ねられてきた結果だ。 もしロシアによって核使用のタブーが破られ、核が「使える武器」と言う分類の中に移されてしまったら、各地の紛争で使われるようになり、戦争被害の規模が一気に引き上げられてしまう。
 懸念されるのは、核兵器の力で相手を引っ込めさせようとする発想、つまり核抑制に依存する傾向が以前より強まっていること。 現実には核攻撃の恐怖に襲われてもいる。 抑止が破綻してしまう状況を考えねばならない状況に追い込まれている。 
 対策としては、核抑止に対する依存度を下げていく国際的な努力だ。
 ロシアの戦争が今示しているように、もし核抑止が破綻したら結果は核戦争だ。
 2007年に、多国間の各兵器削減交渉を日本がイニシアチブをとって始めるよう提唱した。 東アジアの軍縮と緊張緩和を目指す「広島プロセス」という名の構想だった。 (中略)
 核を削減するには、核兵器への依存度を下げても安全は保てるとの保有国が思える状況を作り出す必要がある。 最低限の信頼が醸成されないと削減は始まらない。 (中略)
 簡単ではないが、米ソ両大国が核兵器を大幅に減らしたことも歴史の事実だ。 どんなに難しくても、核軍縮へのテーブルに核保有国を座らせる努力をしていくべきだ。

 (以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)



 原左都子の私見に入ろう。

 プーチン率いるロシアのウクライナへの侵攻が長引き、ウクライナ現地では侵攻が勃発してから二度目の厳しい冬を迎えている。
 
 最新のニュース報道によれば。
 プーチン大統領は25日放映された国営テレビの番組でウクライナ侵攻に関連し「受け入れられる終わり方について、このプロセスに関係してきた全勢力と合意する用意があるが、我々ではなく、彼らが対話を拒んでいる」と語った。侵攻の長期化についてウクライナや支援する国々に責任を押しつけた格好だ。
 ウクライナ侵攻でロシアの苦戦が続いているが、プーチン氏は「我々が正しい方向に向かって行動し、国益と、国民と人々の利益を守っていると信じている」と強調している。 
 (以上、ネット情報より引用したもの。)

 ご覧の通り、プーチン自らが仕掛けたウクライナ侵攻が勃発して既に1年が経過した今尚。
 プーチンは反省の色をみせるどころか、侵攻の長期化についてウクライナ及び支援する国々に責任を押し付けている始末だ。
 ロシアが苦戦状態にある事実は吉報だが、自らを正当化する態度に何らの変化も無い事実であることが何とも嘆かわしい。

 せめてもの救いは、プーチンが未だ「核」を持ちだしていないことと受け取りたいが…
 ただロシア劣勢の現在、核兵器を持ちだす危険性は未だ否定できない状況だ。

 どうか、全世界の人民が2007年に提唱された「広島プロセス」を思い起して欲しいものだが。

 これを日本がイニシアチブをとって提唱したにもかかわらず。
 我が国の岸田政権はそのわずか15年後の今、原発政策を大転換して原発推進を決定してしまった…😱 😭