原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

“悩みのるつぼ”10/12岡田斗司夫氏回答を論評する

2013年10月14日 | 自己実現
 「原左都子エッセイ集」でおなじみの朝日新聞“悩みのるつぼ”10月12日の相談は、20代大学生による 「生きていく意味がわかりません」 だった。 
 これに対する今回の回答者 岡田斗司夫氏の回答表題は、「あなたの前にあるのは二択です」。

 今回の悩み相談の場合、相談者側の相談内容よりも回答者であられる岡田氏の回答内容に我が関心が集中した。
 そこで本日のエッセイは、表題の通り、岡田斗司夫氏の回答内容を論評することに主眼を置く。

 冒頭から、我が私論の結論を記そう。
 この相談に原左都子が回答するならば、私は 「あなたの前には無数の選択肢があります」 と題するであろう。


 それでは早速、20代大学生の相談内容を以下に要約して紹介しよう。
 そろそろ就活が始まるが、何のために就職して働くのか分からない。 僕は世間で高学歴といわれる大学に通い成績も良いので問題なく卒業できる。 普通に頑張っている先輩達も良い会社に就職できている。 大学の4年間は自由に遊べる時間が多いので、それを励みに受験を頑張った。 しかし卒業して社会人になると約40年間も働き、家と会社の往復で仕事も大変そう。 家が裕福ではないのでニートはできず、生きていくために働かねばならない事は分かっている。 でも、何のためにそこまでして生きていかねばならないのか。 僕はゲイだが、恋愛を楽しむ事は出来ても将来結婚して家庭を築くことは出来ない。 金持ちになりたい欲もない。 そして社会に出ると汚い事がいっぱいあるし、やりがいや目標などを考えずになるべく楽な仕事を選ぼうとするのも間違っていると思う。 働く意味、生きていく意味を教えて欲しい。 (朝日新聞“悩みのるつぼ”相談より引用。)

 ここで少しだけ原左都子の私論を語ろう。
 この相談には「生きていく意味が分からない」などとの“ご立派”なタイトルが付けられている割には、その実とは軟弱にも「将来働きたくないのだがどうしよう」と言いたいのが本音ではなかろうか?
 そんな輩などごまんと存在するのがこの世の常だ。 (既に高齢のこの私だって本音を言えば、自分がやりたい事だけしてへらへらと生きていけるものならそうしたいと思う事もあるよ。) 
 あなたが高学歴で成績もよろしいのであれば、何も大袈裟に新聞投稿などして「やりがいや目標など考えず楽な仕事を選ぼうとするのは間違っている」などと、さも優等生気取りで綺麗事をホザいてないで、自分勝手に楽して生きていく方策を見出す努力をすれば済む話じゃん! と片付けたくもなるというものだ。


 そんな貴方の相談に、評論家の岡田斗司夫先生は実に丁寧に肯定的に応えて下さっているよ。
 以下に、岡田氏の回答内容を要約して紹介しよう。
 青春という言葉がある。「大人になるかどうかで悩む時期」の事だ。 大人は汚いしずるい。でも大人にならなくちゃいいけない気がする。 いや、ずっと子どものままじゃいけないの? こんな悩みが自分の中に生じてこない段階は「子ども」だ。 そしてこんな問題でいちいち悩まなくなった状態を「大人」という。 人により「子ども」から「大人」に移行する期間は異なるし、「大人」になったからと言って後戻りできない一番しんどい時期だ。 既に「大人」になったと思しき相談者には「青春を続ける」か「しぶしぶ大人になる」かの二択が残されているのみだ。 たとえ後者を選んだとしても「働く意味・人生の意味」に悩まなくなるのはたぶん5年後ぐらいだろう。 
 この記事を読んでいる読者である大人の方々も、「そういうの自分の青春期にも悩んだよな~。」等々と思うことだろう。 子どもから青春にシフトしたらもう戻れないのと同様に、もう「悩めない」のだ。 だから回答者の私(岡田氏)も、もう貴方の悩みは理解できなくなった。 自分の事を思い出して苦笑いするだけだ。 バカみたいだろうか? 大人の特権とは昔のバカみたいな時代を笑えるぐらいだ。 あなたも悩み過ぎたら大人になって、いつの日か一緒に笑いましょう。
 (以上、“悩みのるつぼ”岡田斗司夫氏の回答を要約引用したもの。)


 上記の岡田氏の回答を読ませていただき、氏の理論に従うならばもしかしたら原左都子とは未だ「子ども」段階で右往左往している状態なのかと自己分析させられる思いだ。
 と言うのも、氏の今回の大学生に対する回答内容とは、大学生が既に「大人」になっていると結論付けると同時に、氏にとってはそれは過去のノスタルジーとして片付けておられる。 しかも、現役大学生に向かって「いつか一緒に苦笑しましょう」とまで結論付けておられるのだ。

 ちょっと待ってよ、岡田斗司夫先生。 
 これはいくら何でも“手抜き回答”ではないだろうか。 あるいは岡田氏とは現在著名人であり、仕事及び収入にも恵まれておられる立場からの回答かとも推察する。
 当該相談男子学生にとって、一時は岡田氏の回答で心が癒されるのかもしれない。
 ところが今回の岡田氏の回答を深読みすると、男子学生の現在の苦悩を捉えられていないばかりか、男子学生にとって将来の明るい人生に繋がる回答とは一切成り得ていないのではなかろうかと私は危惧する。 


 最後に原左都子の私論でまとめよう。

 この男子学生の相談内容に多くの“落ち度”がある事実は、その年齢にしては致し方ないであろう。
 若気の至りと表現するべきか、自分は有名大学へ進学してある程度優秀な成績を修めている事を暴露している事実からして(何と申しましょうか??)との感想を抱いてしまう朝日新聞読者が多いことであろう。 しかもそれらを自負しているのであればもっと相談内容に論理性を持たせばよいものを、書けば書く程に墓穴を掘る結果となっている事実も辛い…。

 ただ、そんな貴方も将来変わり行く可能性が十分にあると私は想像する。
 その辺は、岡田斗司夫氏が書かれている内容とおそらく一致するのであろう。

 あなたは「ゲイ」である事を(何故かこんな場で)公開している。  私自身はレズでも何でもないのだが何故か結婚や出産願望が若い頃より乏しくて、それらを後回しにした人生を歩んでいる。 自分自身がそうしたくて長き独身人生を選択・堪能してきたのだ。 もしも一生独身であろうとそれでもよいとの考えもあった。 
 あなたはどうなのだろうか? もしもゲイ同士の結婚制度を認めて欲しいのならば、それを国家や自治体に訴え続ける人生というのもあり得るのではなかろうか!? そのための資金を得る目的で働くという動機付け選択肢もあり得ると私は思うのだが??

 何はともあれ、若いあなたの前には無数の選択肢があるはずだ。
 人間誰しも“食い扶持”は必要だが、自分なりの目標が描ける程に自ずとその“食い扶持”に巡り会え、自らの人生の可能性が高まっていくのではあるまいか?

 若者達とは、まだまだ自分自身の夢を描き続けるべきと私は心得る。 その対象が何であろうが、その夢を叶える道程こそが自身の生涯を生き抜く「真の」収入源となろう。

 岡田斗司夫先生の理論にケチつけるようで申し訳ないが、そういう意味で原左都子は一生涯岡田先生がおっしゃるところの 「子ども」 であろうし、そうありたいと志している。