原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

誰でも“芸能人”になれると言いたいドラマなの??

2013年07月25日 | 時事論評
 今年4月から始まったNHK朝の連ドラ 「あまちゃん」 は、どうやら番組開始早々より現在に至るまで高視聴率をゲットし続けているらしい。

 このドラマシリーズを、いつも昼の天気予報とニュースをチェックする流れで昼間の再放送を見る習慣がある私だ。
 ところが論評好きな原左都子にして、「あまちゃん」に関しては放送開始後4ヶ月が経過しようとしている7月下旬の今現在尚、残念ながら論評に値する程の価値が見出せないでいる。


 ただ個人的には、女優 鈴鹿ひろみ役の薬師丸ひろ子氏がドラマに出演した頃より、(あくまでも私的嗜好範囲内で)物語が面白くなった印象はある。

 薬師丸ひろ子氏とは、1978年の角川映画「野性の証明」のヒロイン役で芸能界デビューした時からインパクトがある少女だった。 (残念ながら私は上記映画を観ていないが)、とにかく童顔小柄の一少女にして、映画界を震撼させるがごとくのパワーを内面にみなぎらせている類稀な逸材との印象を私も抱いた。
 後に映画「セーラー服と機関銃」に主演した薬師丸氏だが、機関銃を乱射するシーンで有名な「カ・イ・カ・ン…」のセリフは薬師丸氏本人のアドリブであるらしい。 (これまた映画を観ずして論評する立場にないのだが)薬師丸氏が歌ってヒットした同名の主題歌には、映画のその場面とは対照的な繊細なイメージを、歌との表現手段で伝える薬師丸氏の類稀な力量に心を揺さぶられたものだ。

 「あまちゃん」に於ける薬師丸氏の役処といえば、芸能界においては遠い昔にピークを過ぎ去った中堅女優の立場だ。 既に大した役には恵まれないものの、未だ何とこさ女優生命を芸能界で繋ぎつつある程度の地位を保ちながら、陰で付き人に文句を垂れ、常連寿司屋の客全員の会計が可能程度の比較的高いギャラを保持している女優との設定のようである。

 片や、主人公である「あまちゃん」(役名 天野アキ)に話を移すと、こちらは信じられないことに、“「AKB48」レベル”の女子集団タレントグループの最下位一員と“成り下がる”現在のドラマ展開だ。

 
 ここで原左都子の私見を述べよう。

 今回放映中のNHK朝ドラとは、2011年3月に勃発した「東日本大震災」により壊滅的被害を受けた東北地方に暮らす人々を、「あまちゃん」(東北の海女さん達)の活躍により活気付ける趣旨と、大いに勘違いしていた。

 ところがなんと「あまちゃん」の主役である天野アキは、海女に成り立てホヤホヤにして東北地方から離れ、東京上野の「AKB48」レベルタレント集団の一員に“成り下がる”ために過去に住んでいた東京に再び上京する。
 ドラマはその後、すっかり上野に位置する“アメ女”なる「AKB」類似の若年女子タレント軍団集合場へと移り行った。
 意表を突くドラマ展開に大いに驚き失望した私は、(この物語を面白いと感じるのは、低レベル芸能界タレントを目指す幼き小中高生女子のみであろう)と推測していた。

 ところが何と「あまちゃん」は現在に至って尚高視聴率をゲットし続けているではないか!?!
 おそらくNHK連ドラの主たる視聴者層であろう(原左都子世代の)オバサン達も、この物語が面白いのだろうか??  あるいは、もっと若い世代の小中高生子育て中の母親連中も、虎視眈々と我が子を第二の「AKB」メンバーに仕立て上げたい意向でこのドラマを見守っているのであろうか???


 現在「あまちゃん」の舞台が東北リアス海岸地方からすっかり離れ、東京上野のタレント事務所を主たる撮影の場としているドラマ展開に辟易とし続けている私だ。

 当初私は、2011年3月11日に勃発した世紀の「東日本大震災」を、当該ドラマの脚本担当及び監修者でもある宮藤官九郎氏が如何に描くのかを大いに楽しみにさせていただいていた。
 宮藤官九郎氏とは、宮城県のご出身であるらしい。 ご本人出生地の親族の方々も「東日本大震災」の被害をある程度被られたのではなかろうか?
 そんな大震災の一被害者たる思いを、今回のドラマ物語内に描写されている事にも期待申し上げていた。

 ところが、若き世代の宮藤官九郎氏がNHK連ドラ内で今後3.11大震災を描くに当たり、自らの地元の被災状況など二の次の位置付けなのであろうか? (東京上野に場面が移って久しい現在までのドラマ展開では、一般視聴者としては今後の展開の見通しすらつかず、そのように解釈せざるを得ないのだが…)
 今後も引き続き、宮藤氏の(3.11大震災など今後この世に生き抜く若き世代にとっては二の次の位置付けとの)思いが、これから放映されるNHK連ドラ「あまちゃん」において綴られ公開され続けるのであろうか??

 もちろん、世代や日本国内の地域により格差が大きく、3.11「東日本大震災」に対する思いや対応が異なって何ら不思議ではないし自由にすればいいのでもあろう。

 「あまちゃん」脚本家及び監修者であられる宮藤氏の、芸能界に焦点を置いた脚本にはまった視聴者の人気に支えられ、現在「あまちゃん」は高視聴率を維持していることと私は判断する。
 「あまちゃん」を放送しているメディア媒体である“国営放送”たるNHKがそれを「よし」としているのならば、一視聴者として不服ながらもやむを得ないと判断するしかない。
 ただ原左都子としては、今後の「あまちゃん」に於ける“東日本大震災”の描き方如何によっては、今後NHK連続テレビ小説すら見ない生活を志すであろう…

 
 早いもので、高視聴率をゲットし続けている「あまちゃん」も後2ヶ月少しの放送を残すばかりである。 
 一体全体、大震災被災地東北を舞台としている今回のドラマが、宮藤氏の脚本により如何に展開し、如何に転ぶのやら……。

 後2ヶ月間我慢して、このドラマを視聴しよう。
 最後には素晴らしいばかりのどんでん返し展開があって、10月初旬には当該「原左都子エッセイ集」に於いて、内容の濃い「あまちゃん総評」が綴れることに期待したいものだ。