原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

ぐるっと皇居一周 徒歩の旅

2013年04月03日 | 自己実現
 (写真は、東京都千代田区に位置する皇居周辺の地図。 ネット写真をパソコン画面より再撮影したため見づらい点をお詫びします。)


 ここ一両日、東京は春の嵐のごとくの荒れた天気に見舞われている。 そんな悪天候の中、昨日私は皇居内堀をぐるっと回る1時間程の徒歩の旅に出かけた。

 都心に住むランニングファンならば既によくご存知の通り、現在“皇居内堀周回コース”は恰好のジョギング・ランニングスポットとなっている。 
 普段皇居近くを通行すると、必ずや素人ジョガーやランナーが練習に励む姿を目にするものである。 お天気のよい休日など、この周回コースはジョギング大会でも実施しているのかと見まがう程の大勢のランナー達で混雑状態だ。
 近頃ではこれらランナー達が一般通行人の妨げになる等の迷惑行為も発生している様子であり、素人ランナーのマナーのあり方が問われる事態を招いているようだ。

 数年前よりランニングを趣味の一つとしている原左都子も、一度は皇居周回コースでランニング練習をしようとのプランを練ったりもした。
 ところが上記の通り、皇居周回コースは大混雑との事。 そんな中、初心者ランナーでタイムが遅い私がランニングしたならば他のランナー達に迷惑であろうし危険性もあろうと想像し、二の足を踏んでいた。

 そんな私も昨年秋、公的機関が開催した“陸上競技大会3000m”と“ロードレース5km”にエントリーして出場した。 両レース共に無事完走できた上に、これら大会に於いて自己新記録を達成した事が自分自身にとって何よりの収穫だったものだ。
 それに気をよくして、マラソンシーズンである冬頃にも何らかの公式大会に出場したいと志した。 ところが、まだまだ素人ランナー駆け出しの私は、厳寒の冬の季節に野外で走ることの過酷さを日々の練習から思い知らされたのである。

 冬の大会出場など私には一生無理かも…  と自己分析しつつ、時は春となった。
 その間もずっと屋内走路で細々とランニング練習は積んで来た。 昨年末のアルゼンチン旅行ロングフライトの疲れがずっしりと体内に溜まっていたのか、その後自己タイムが大きく後退してしまった… 
 どうせ年寄りランナーの部類だし今後もマイペースを貫こう! と気持ちを建て直しつつ、大学が春休みに入った娘を我がランニング練習に合流させた。 娘は普段まったくランニング練習をしていないにもかかわらず、5kmの自己タイムが私に近づく程に短期間で進化を遂げるではないか!(親としてそれが嬉しい反面、ヤングパワーにはかなわない事を痛感させられるが…)
 娘がここまで5kmのタイムを伸ばせたのならば、母娘二人で春の公式大会に出場しよう! と娘の「お抱え家庭教師」である私が判断を下さない訳はない。

 そういういきさつで5月に実施される5kmロードレースをネットで検索したところ、「皇居周回コースランニング大会」を探し当てたのだ。 
 早速ネット上でエントリー登録をして上記大会出場が決定した。 後の課題は、コースの下見、そして現場でのランニング練習である。

 来週から大学の授業が始まる我が娘にとって、今週しか「皇居周回コース」の下見のチャンスはない。 私自身は皇居周辺へ所用で出向く機会が上京以来数多くあるが故に上記コースに関する認識が無きにしもあらずなのだが、若き娘がいきなり皇居ランニングをこなすには多少の無理があることは理解できる。  
 昨日は悪天候だったとの事情も大きく、とりあえず娘と共に「皇居周回コース」を“徒歩”で下見する事とした。


 今回我々がエントリーした皇居ランニング大会スタート地点である「桜田門」駅に、我が家から東京メトロに乗車し直通で下車した。

 この「桜田門」、3月末にリニューアル工事を終了するとのメディア情報であったが、残念ながら4月2日現在未だ“工事中”で白い幌が掛けられたままである。(政権が移ろい行っても安倍政権は公共事業をタラタラ実施して、その期限を厳守出来ない有様なのだろうか?!?)
 「これじゃあ、集合場所が分かりにくいね」などと娘と話しつつ、内堀歩道に出ると「仮設交番」が歩道の半分位を陣取っている。 「もしも工事が遅れて、この仮設交番が5月のレース時まで存在するならば、ランナーにとって危険性が高い事極まりないよ…」とも話しつつ、二重橋前に出た。

 さすが、悪天候にもかかわらず団体観光客が大勢大型観光バスで押し寄せている。 
 団体観光を好むのは日中韓ぐらいだろうが、まさか現在領土問題等で揺れている中韓の観光客が皇居を見物しようとは思わないのでは?? との原左都子の推測通り、私が二重橋前で出合った団体客は日本人だったようだ。
 その後も皇居近辺を散策している外国人と数多く出会った。 皇居周回コースを個人レベルで散策しているのは決まって欧米人である。
 確かに欧米人の視点からも、皇居のお堀は美しいのではなかろうか。 我々母娘が雨天の中内堀を観察していた時にも、“オオハクチョウ”が生息していれば、大型の“鯉”も悠々と泳いでいたものだ。

 その後メトロ竹橋駅近辺を通り過ぎ国立近代美術館別館工芸館を右手に見た時に、私は過去に於いて天皇皇后両陛下が公務で皇居から外出される光景に偶然出会った事を思い出した。
 周辺道路通行規制がなされ、空には自衛隊のヘリが2機飛んでいる。 一体何事かと思ったところ、数台の黒塗り車両が連なって近辺の皇居お門から出てきたのである。 天皇皇后両陛下の外出とはこれ程までに仰々しいものであることを、初めて身近に体験させられた事態だった。

 工芸館を通り過ぎ代官町辺りに差し掛かった時、我々親子は周回コースを間違えた。 そこは「平河門」だったと記憶しているが、そのお門の中に入ろうとした我々に宮内庁職員であろう門番の方が「この“入館証”を持参して入って下さい」と告げる。「すみません、今我々はどこにいますか?」などと質問しつつ持参の地図を見せ周回コースを回りたい旨を説明すると、「あちらがそのコースです」と職員氏が親切に対応して下さった。

 ここでやっとこさ桜田門から3km弱。 皇居一周コースとは実に多難な道程である。
 さらに我々を苦しめるのは、その後のお堀周回路の“高低差”である。 ネット情報でこのコースの高低差が30m程あることは認識していたのだが、それが風景として実際目に見えるのだ! これは怖い。コース最終段階にしてこの高低差を五感で自覚せねばならないとは…。
 右には「社民党」の既に廃墟となっているのであろう今にも崩れそうな建物も見えてくる。 これが我々に辛さの追い討ちをかける…  ついでに国会議事堂の頭部分も見えてくるとの図式なのだが…

 もうそろそろ5kmゴールの桜田門だよ! などと娘を励ましながらも、歩道の狭さ、高低差、排気ガス等々、何とも過酷な「皇居内堀周回コース」であることを実感だ。

 桜田門到着寸前、「これ、ランニング本番で走り切れるかなあ?」と娘と語り合いつつ我々の“ぐるっと皇居一周徒歩の旅”はゴールに至る。
 今度はもっと天気のいい日に、レース本番までに今一度二人でこのコースを走ってみようね。