80代半ばの女性が「かすれ声が続いて。風邪だったら移して行けないと思って、来れませんでした」と言って、1か月半ぶりに来院されました。「かすれ声は治りましたか」と尋ねますと、「それが全然治りません。でも熱も咳もありません」と答えました。お医者さんには、のどに痛みがないうえ、熱も咳も血圧にも異常がないので、行ってはいないとのこと。
どうやら、加齢に伴い声帯がやせ、2枚の声帯がきちんと閉じなくなる声帯萎縮を起こしたようです。2枚の声帯の間にすき間ができるため、息が漏れて声がかすれたり、声が続かなくなったりします。
65歳以上の7割の人たちが発症するといわれます。私も1月に風邪を引いたのがきっかけでかすれ声になりました。その症状が2か月も続いたため、耳鼻咽喉科を受診し、のどの奥を診てもらった結果、声帯ポリープも声帯結節もないといわれ、「声帯が炎症を起こしているのでは」と消炎鎮痛剤を処方されました。その後も、かすれ声はいっこうに改善しません。
もう一つの原因と考えられるのが食道がんです。こちらも、人間ドックの内視鏡検査で「異状なし」でした。いよいよ、加齢による声帯萎縮しかないと思い、「加齢では手の打ちようがない」とあきらめていました。
女性のかすれ声で、改めて声帯萎縮を調べてみたら、2枚の声帯がきちんと閉じない状態のままにしていると、唾液が気管に入ってむせたり、肺に異物が侵入して誤嚥性肺炎を起こす恐れがあるといいます。誤嚥性肺炎は高齢者の死因の最上位を占める病気です。あきらめているわけにいかなくなりました。対策は次回に。
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