今日の九十三話は、物事が差し迫り、いよいよ…というときの四方山話(よもやまばなし)をしたいと思う。
人によって違いはあるだろうが、いよいよ…というときの気分は、誰もが多かれ少なかれ緊迫感を抱くに違いない。ふぅ~~ん、そうなんだ…とお思いの方は、恐らく宇宙人なんだろう。^^
とある試験会場である。多くの受験生が、今か今かと試験の開始を待っている。試験までには、あと十数分といったところだ。
穆山(ぼくやま)は持ってきた鉛筆、三十本のどれで書こうか? と思い悩まなくてもいいのに思い悩んでいた。^^
『よしっ! 小っこいコレだっ! …いやいや、コレはチビ過ぎる…じゃあ、これなんかは? …いやいや、コレはデカ過ぎて態度が横柄(おうへい)だっ! となると…コレかっ?』
穆山が思い悩んでいる間に、試験開始の時間は刻々と近づき、いよいよ…一分前と迫った。そのとき、隣の長椅子で穆山の様子を見ていた受験生が、見かねて差し迫った声を出した。
「ソレで、いいんじゃないですかっ!!」
恐らく、このまま試験が始まれば、気が散って困るだろう…と思えたに違いない。
「はいっ!!」
穆山は、素直な声で隣の受験生に従った。そして、チャイムの音とともに、いよいよ…試験が始まった。
いよいよ…のときは、迷わない沈着冷静さが求められるようだ。^^
完