中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

喜多川歌麿にみる着物

2020年01月04日 | 工芸・アート
新春のお慶びを申し上げます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

東京は穏やかな三が日を過ごすことができました。
今日から仕事を始めています。
今年はどんなものを織ろうかと計画に思いをめぐらせています。

昨日は江戸東京博物館で大浮世絵展(~1/19)を観てきました。大変な混雑でしたが、私は特に喜多川歌麿を集中して見ました。
なんといっても歌麿は美人画ですが、私は顔の表情などよりもつい着物に目がいってしまいます。当時の流行もうかがえますし、素材感や、技法、紬塾でもいつも話に出る、異なるものを取り合わせる面白さ、そのサンプルのようなものが多いのです。江戸の粋な色使いなども参考になります。
それを描き分け、版画にする当時の職人の技量の高さもすごいものがあります。
帰ってからも図録を繰りながら、ネットで画像検索などしながら楽しんでいます。

いわゆる大首絵の美人画が、風紀を乱すとして作れなくなった時に、歌麿は町民の日常生活をテーマにすれば、それを逃れられると考え、制作したようです。

トップの写真は、「針仕事」(重要美術品/大英博物館蔵)という庶民の仕事をテーマにした作品で、3枚続きで見ごたえがありました。
画像では細部がわかりませんが、針山の針や、左下ににぎりバサミや物差しなどリアルな感じになっていて、版画を見る人たちが、楽しめるようになっています。ずうっと見ていたかったです。(@_@‐



もう一つ「台所美人」(東京国立博物館所蔵)はミュージアムショップで買ったハガキですが、2枚続きの右側です。こちらは今回の展示作品ではありませんが、この着物を見るだけでも絞り、型、絣、縞織りなどが調和して、細部を覗き込みたくなります。浮世絵の美人画は服飾史の資料的価値も高いと思います。

ただ、残念なことに、会場内の解説文の中にも着物に関しての説明はほとんどなく、染織を専門とする学芸員以外は触れられないということなのか、とても大事なことが抜け落ちているように思いました。



当時大流行した有松絞の大胆な柄の浴衣が描かれています。

立っている人の襦袢の衿も麻の葉の絞り。煙まで表現されて、煙そうな顔をしています。

前掛けだと思うのですが、絣もいい柄です。

時代は変わっても美しい布や、着ることを大切にしたいと年頭に再確認しましたが、
着物を着る人、着たいと思う人が、絶対数としては本当に少なく、なんとか増えてほしいと思います。

今年も善い紬を制作していきます。また、20年度の紬塾でも善き方と一緒に紬や着物のことを深めていきたいです。

紬塾は最終回が2月に変更になりましたが、またご報告します。




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