中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

再読 [作品集「樹の滴」ー染め・織り・着る] その 1

2021年05月03日 | 作品集『樹の滴』
久し振りに作品集「樹の滴」を読み返しました。
新しくブログを読んでくださっている方も、最近私の仕事を知ってくださった方もたくさんいらっしゃると思いますので、改めて3回に分けて書きます(予定‥)。(^^ゞ                                                                                                                                   


たくさんの方にお読みいただき、そのことで個展に初めて来てくださったり、紬塾に参加してくださったり、感想をお手紙で頂いたり、十分な出来栄えではなかったと思いますが、ありがとうございました。

当ブログの『よきモノ、よき人の輪』(12.6.2付け)で、作品集「樹の滴」について書きましたが、【体力的なことからすればあと10年が残された私の染織の時間といってもいいかもしれません。もちろん命ある限りは仕事したいですが、、】と書いてあります。
あと1年しかありません。。(*^-^*);;

さて、作品集の制作で一番難しかったのが、作品の色です。
印刷は高精細印刷で、印刷所に実際の布を送って、午前中の光で色を見ていただき、写真の色の調整もしていただきましたが、やはり最初の写真の色が大事で、調整にも限界があります。

中でも最も実物と色が違ったのが、P.14、15の『白露』という縞の着尺です。
地色は真っ白ではなく白樫で染めたアイボリーです。そこに様々な色の細い縞がランダムに入っています。
若練りの糸を使った、張り感を少し残した単衣向けの着尺です。

作品集を作る際にどんなカットで撮ってもらおうかと考えた際に自分で仮に撮った写真がありました。
この方がまだ色は出ていると思いますので、作品集の参考にしてください。
ちなみにこの作品は、この作品集をご覧になった方が初めて個展にお越しくださり、お求め頂きました。

写真の色はやはり光線が大事で、雨や曇りやライティングだけで撮るものではないと思います。特に草木染の紬は難しいです。


上に乗せた帯は『羊歯文刺繍 節糸紬帯』で、お客様の着姿ページに入っていますのでご覧ください。
赤城の節糸の味わいに刺繍という一見ミスマッチな感じが私は好きです。
紬×刺繍がミスマッチなのではなく、その布の世界観と世界を同じくできる刺繍であることが大事です。

この羊歯文様は漆絵の柴田是真の作品からヒントを得て、生まれてきました。
羊歯の葉先は色違いで刺してもらいました。

表紙の作品「樹の滴」も刺繡入りです。
上前のドットを見せる感じで撮ってもらいました。
地の部分を細かく織り交ぜた感じはよく出ています。
木々の中に潜む色をドットの刺繍で表しました。この刺繡も同じ方にお願いしました。制作意図をよく汲んで頂きました。

仮絵羽の状態で、上手く着れないのですが、ざっと着てみるとこんな感じです。

刺繍は付け下げのような感じで配置してあります。
全て、色もドットの形も違えてありますが、嫌味にならないような控えめな感じですので、カジュアルなお洒落着から、帯の格のあるものまで合わせられます。落ち着いたモダンな感じの大人の着物です。

刺繍と言えば、作品集の中の私が着用している着物にも、野趣のあるバラを刺したものもあります。
刺繍は好きですね。。
子供の頃、小花模様の刺繍の入った品の良いブラウスを母が年に1回買ってくれて、何枚か持っていました。今でもはっきり記憶に残っています。色のグラデーション使いがとても好きでした。その記憶のせいかもしれません。。

他の作品も近づける努力はしたのですが、草木の色や真綿紬の立体感のある陰影は印刷物や画像で見るものではなく、自然光の中で見ていただくしかないのだということが結論ではあります。
ただ、一つの手がかりとして、良い写真が撮れれば、また作りたいと思います。

今年の11月には個展の予定がありますので、ぜひ実作の色、風合いをご覧頂きたいと思います。

作品集は写真だけでなく、制作の解説をしつつ、それにまつわるエピソードなども交えるエッセイになっています。男性や、着物を着ない方にも好評でした。

昨年からのパンデミックに遭遇するとは予測していませんでしたが、
12.6.2のブログでも書いていましたが、11.3.11の東北大震災、原発事故とも重なることもあるのだと思うのです。11年の5月に作品集の撮影を始めていましたが、10年後の今、改めて暮らし方を問い直す時期でもあります。
今回の新型コロナウイルスも人間が招いたことですから。

この状況下では、着物のお洒落を楽しむなどまさに不要不急の扱いになってしまいますが、着ていると心が落ち着きますし、眺めているだけでも高揚してきます。
食べることと同じように着ることも人を人としてとして成立させる大事なことです。

現代において着物を着ることは何なのか、本当の紬は何なのか、手仕事のこと、着ること、取り合わせのことなど、作品集を介して思いを馳せていただければ嬉しく思います。


この作品集は、作品のみを見せるだけでなく、作品所有者の方に、ご自分で着つけてもらった着姿を撮らせていただいたものと両方を作品として掲載しています。

身近な自然から糸をつむぎ、染め、織り、着ることは、もう一度見直されてよい日本の大切な文化だったことを知っていただきたいと思います。

拙文ですが、ペンダコを作りながら一気に書き上げたものです。(;^^)p
ご一読頂ければ嬉しく思います。

現在、Amazon、楽天などインターネットで在庫がない状況になっているかもしれませんが、出版社には在庫がありますので、再入荷希望でご注文いただければと思います。
全国の書店でもご注文いただけます。

櫻工房オンラインショップでも購入できます。
こちらからどうぞ。送料無料でお送りします。
半巾帯リーフレットもお付けします。
工房は連休中も仕事しておりますので、当方でもご注文承ります。





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