中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

梅染め「帯揚げ百彩」(続)

2019年02月01日 | 制作工程




前記事でも書きましたが、蕾のついたしだれ梅で帯揚げや糸を染色中です。
剪定枝の一枝だけ瓶に活けて部屋の中に置いておきました。
3日後に開花しました。桃色の八重咲きです。可愛いです!!芯の緑も効いています。
こんなに美しい花を私達に見せてくれる植物を染めさせてもらい、身にまとわせてもらえることは幸せなことです。
そして身につけると優しい気持ちになります。


中位の太さの枝は鉈でチップを作ります。タテの繊維に沿って“へぐ”ように薄くします。


材からはお湯を入れてすぐに色が出始めます。


煮出しの状態は小さなガラス瓶に入れ光に透かして色を見ます。煮出し時間はチップによっても部位によっても違いますので、よく観察します。
沸騰後2分が左、3分が右です。すぐ火を止め濾します。長く煮出せばいいというものではありません、、。
色が薄くなるだけではなく、濁りが出ることもあります。
色の観察は染めている最中や、火を止めて、留め釜の時にも吸収の状態を見ます。

紬塾の実習の時に染色をしている方たちから本に書いてるのと違う、習ったやり方と違う…、とよく言われます。
私の今までの経験、学び、発見したことに基づき、自分でよく観察、確認しながしながら進めるのが“技”というものだと思っています。


ショールや帯に使う少し太めの節糸も染めました。媒染前の色。


銅を使ってベージュより少し濃い茶系を染めています。乾くと色は半減しますので、それを見越して染めます。


帯揚げは梅だけでも20色染分ました。
室内の竿にかけて色を眺めながら染め重ねの必要があるかないかも見ながら、1週間ほど空気酸化させ、その後、湯のしやさんに出して幅出し、シワ伸ばししてもらい完成します。

枝はすべて使い切りましたが、まだ煮出した染液が少し残ってますので明日の朝の光で眺めて染め重ねを判断します。



冬の間だけパンくずや米、みかん、リンゴ、落花生、脂身など、野鳥たちに餌をやり、水を置いておきます。
この日はメジロのツガイが来ていました。メジロの緑の羽根は何で染めたのでしょうか?
森や林の中で目立ちすぎないよう、神様が絶妙な色に染めてくれたのでしょう。

野鳥の羽の色を見ていると、鮮やかではあるけれど、やはり灰味を含んだ色相です。
自然観察は本当に飽きることがありません。
仕事の合間に目を休めさせてもらっています。

3月6日~9日まで「紬と帯揚げ100彩」-草木の色を取り合わせて-
南青山のこまもの玖さんで着物、帯、帯揚げ、帯締めなどを取合せた展示をさせていただきます。
また、仕上げを済ませてからご紹介します。




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