中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

半巾帯連作プロジェクトお披露目会無事終了しました!

2021年07月08日 | 紬の上質半幅帯
半巾帯連作お披露目会無事終了しました。
ご参加くださったみなさまありがとうございました。
大阪や愛知の方は遠方で来場いただけず、残念でした。

約8か月を掛けて制作しました半巾帯10本の連作をプロジェクト参加者をはじめ、一般の方も交えてご覧頂きました。

はじめにプロジェクトの趣旨や私の創作の姿勢、考え方など話し、最後はタイトルにした「連歌」について、連歌の始まりの歴史的なところの話を工芸評論の笹山央氏にもしてもらいました。

枝垂れ桜の下に人々が集い歌を詠み、それを受けてまた他の人も詠み、酒盛りなどしたようです。身分や名は明かさずに和歌の内容で盛り上がったのでしょう。今でいう歌会、句会にも通じるものがあるかもしれません。
このプロジェクトもそんなやり取りになったように思いますし、これからも機会があれば一本の半巾帯を通して広がりや深みへつながれたならいいと思います。
今回はコロナ禍で酒盛りが出来ず、本当に残念でした!!
私は家に帰ってから祝杯を上げましたが。(^ヮ^)/


10本それぞれ列品解説をし、銘も発表しました。

縞は早春の2月から3月にかけてのイメージで作りました。
段は自然体、あるがままを受け入れる等からイメージを膨らませて作りました。
しかし、使う方はこれにこだわらず、四季を通して、自由な創造力を膨らませてお使いください。

会場では結ぶところまで全員の方にしていただきました。
欠席の方の分は代理の方を立て、結んでもらいました。
この時間が思ったより長くかかり、参加者からのコメントを頂く時間が無くなり残念でした。機会があれば改めて感想などブログでも紹介できたらと思います。

この仕事に集中した8か月は心身ともに大変なことではありました。
みなさんから「少し瘦せましたか?」と聞かれますが、丁度良くなったと思います。。(^-^*;)

自然に随い、自分の外にあるものに目を向け、身に付けてくださる方たちにこころを馳せ進んでいけば、自ずと道は開かれてくると思い、ひたすらどの一点にも出来る限りのことをしました。
それは自分の力を見極めることでもあり、新たに力を付けることでもありました。

ご参加くださったみなさまの寛大なおこころのお陰で、いやなストレスは何もなく終えられました。
今後はみなさんがいかに使いこなされるのかを拝見させて頂きたいと思います。私の仕事はやり尽くさないことを大切にしています。

あとは、取り合わせの着物や小物、半巾帯の結び方も色々ありますので、時間を掛けて研究してください。着物ライフの伴走者になれたなら作りてとして大変嬉しく思います。

曇り空続きでの撮影で、実際の色と違いますが、全作品を仕立て上がりの常態で撮影しましたので、ご覧ください。
このうち1本は11月の個展(東京・青山)で展示販売いたします。


変奏曲シリーズ作品Ⅰ「寒明ける」

冬から春の境目、雪がまだ残るような季節の中で光は春を予感させる。
シンプルで大人っぽいデザイン。白に近いアイボリー地。
黒い杢糸に添えられたグレーの色を決めるのにずいぶん時間を要した。
地の部分の赤城の節糸の味わいも景色のうち。経糸にも緯糸にも節を取り入れている。


変奏曲シリーズ作品Ⅱ「雪間の草」
 
花をのみ待つらん人に山里の雪間の草の春を見せばや 
                     藤原家隆(鎌倉時代 歌人)
福寿草や雪割草をイメージして。
美しさや生命感を微かなもの、わずかなもの、足元にあるものからも見出せるようにしたい。

小柄な方ですので、段の間隔も少し狭くして、前に一柄は段が出るように設計してあります。



変奏曲シリーズ作品Ⅲ「春時雨」     

明るさと艶やかさがある、降ったりやんだりする春の雨。 大地を潤す雨。
縞を生かしたさりげない表現。
柔らかな白に近い黄色やピンク、グレー、ベージュの細い浮き織りの段柄を雨に見立てて。

肉眼では十分見て取れるのですが、、写せませんでした。




変奏曲シリーズ作品Ⅳ「山笑う」     

山が笑い始める仲春のイメージからの発想。
丁度、紫木蓮が咲き始めていて、その赤紫を取り入れたよこ吉野の段に。
黄色の段は春の山に降り注ぐ光を象徴。

帯揚を使って結ぶと、名古屋帯の風格が出ます。
3月が誕生月とおっしゃられてましたので、ちょうどピッタリの銘になりました。


変奏曲シリーズ作品Ⅴ「柳の花」    

柳の葉が出てくる前に黄色い花を咲かせる。
目立たないけれど味わい深い。足元には紫根染めの糸を使い菫の花を添えて。

この方は仕立ての直前に、名古屋帯にすることにしました。
リバーシブルの半巾帯として考えたものですが、その両方を開いた形で使ってみたいということで、たまたま太鼓中心と前中心に吉野の段が来る偶然も重なり、返しを最後の残り糸で3.3尺ほど織ることもできる偶然も重なり、名古屋帯になりました。ラッキーな方です!(*^^)v
先で半巾でも使えるよう手先には縫い込みを長くとってあります。


連歌シリーズ作品Ⅰ「寒梅匂い」  
 春は梅梢に在りて雪を帯びて寒し 
                 (天童如浄禅師・てんどうにょじょう)

梅は花咲く前から気品に満ちている。
雪を帯びた梅の蕾、梢、光、水などを象徴的に段で表現。

茶色以外は柔らかな色なので、帯締めや帯揚げでもう一色加えられるようにしてあります。 
繊細な感性をお持ちの方でしたので、きっと繊細な色を素敵に使いこなして頂けると思います。楽しみです。。


連歌シリーズ作品Ⅱ「日日是好日」 
 
 雨の音、風の音にも耳を傾け、あるがままを受け止め生きる。
落ち着いたオレンジ茶をメインの色使いにして。

ビデオ通話でしかお会いしたことはない方ですが、ご両親の介護などもあり、今回東京まで出てくることはできなかったのですが、着物を素敵に着こなされている方で、写真は色々送ってもらいました。
懐の深い、包容力のある方とお見受けしましたので、タイトルの「日日是好日」の銘がすぐ浮かんできました。


連歌シリーズ作品Ⅲ「柳緑花紅」  
「知足」のイメージから裂き糸を使った。

シンプルな繰り返しのものを作ることになったのですが、奥行き、立体感を出すためにも裂き糸は有効な素材です。
私の羽織を仕立てたときの羽裏の残布を裂いて織り込みました。
この画像では分かりにくいですが、それがピンクと黄色のぼかしの斜め格子になっていて、その変化も使い分けました。




連歌シリーズ作品 Ⅳ 「ほととぎす」   
 春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえて冷しかりけり(道元禅師)

自然界は日々それぞれに美しい彩がある。経糸、緯糸に40色使う。
一本がひと柄の凝った作品。
お庭の夏みかんの小枝を少し送ってもらい、それで染めたレモンイエローの糸も少し使いました。
結びによって感じが変わります。でもバラバラにならないよう色のトーン、バランスは考慮しました。


連歌シリーズ作品Ⅴ 「歳寒の三友」   

中国の水墨画の題材によく使われる松竹梅を「歳寒の三友」というそうです。 
寒さの中でも色あせることのない松や竹の緑、寒さの中に咲く梅の花の強さ。
絣の残糸の濃いピンクを梅に見立てました。
こちらも一本がひと柄の作品ですので結びによる違いが楽しみです。











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