中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

西村陽平作品に取合せてみました!

2018年10月06日 | 工芸・アート
先日「床の間奪回レクチャー」を企画開催しました。
メインの作品は美術家の西村陽平さん、井上まさじさん、井田照一さんの作品を使わせていただきました。講師は工芸評論家、かたちの笹山央さん。
少人数でしたが、参加者からもとても素晴らしい企画と喜んでいただきました。
会の様子はこちらでご覧いただけます。 → 











本の焼成作品など世界的にも評価を受けている西村陽平さん。
以前のブログでもご紹介しましたが、廃棄された本の表紙を使った作品を新たに入手いたしました。とても気に入ってます。(^^♪
早速工房の一隅に飾ってみました。

川原の石に魚絵の豆皿を取合せました。石は三重県の御浜石です。母を亡くした年に母の故郷三重を訪ね、熊野川の川原で拾ってきました。
陶製の小さな豆皿は升たかさんの作でだいぶ前に購入したものです。生き生きとした絵を描かれる方です。

皿を立てかけた後ろの鉄の塊は赤井太郎作で15年ほど前に気に入って買いました。
鉄の柔らかさを感じました。
敷布はランチョンマットとして織ったものですが残った1枚を自家用にしました。紅茶などでキビソ糸に鉄媒染で染めたものです。裂き糸は私が子供の頃に着た着物地です。

石の上に置かれた桜の落ち葉は生の状態では鮮やかすぎたのですが、一日たって枯れた感じが人為的な作品と馴染んできました。
あえて花を活けることはしませんでした。壁の作品の草の茎、穂の線が繊細だけれど、タテに真っ直ぐに伸び、力強くこの線を生かしたかったのです。季節により置くものを替えて楽しみたいです。
自然物と人工物(人為物)がやり取りする感じが、鑑賞の醍醐味と言えます。

取合せとはなんと難しく、でもものと向き合い、しっかり見極める訓練にもなります。
自然の花だけを飾るのでもなく、絵画を壁に掛けるだけやオブジェを置くだけではない、2~5点ぐらいのものを取り合わせるというのは作品や自然物の高度な鑑賞方法であり、日本の季節の移ろいとともに考えられてきました。俳句も言葉の取合せです。

着物も一点だけを衣桁に広げて展示しても人が着た姿とはかなり違います。
帯や小物の取合せで、その着物はどういうものであるのかもわかります。
床の間飾りと着物の取合せは重なります。合わせてお揃いにしてはそれぞれが生きません。

来月の紬塾ではその取合せの奥義に迫りたいと思います。


そして最後に西村さんがご自宅のダイニングテーブルに、私の布と身近なものを取合せてくださったということで、写真を送って下さいました。
流石に空間の捉え方や異素材、違う形を素敵にアレンジされてます。写真も上手で、私のオートでパシャ!とはだいぶ違います。。。>_<

心の置き場としての床の間スペースは日々を豊かに彩ると思います。
自分が良しと思うものを一つ決め、それに合うものを探すのは一生の楽しみになります。
立派な床の間のある家でなくても板一枚を床(ゆか)より高く置き、聖なる場所を持つといいと思います。
チェストの上、カラーボックスや下駄箱の上でも良いと思います。
またレクチャー開催の機会には是非参加して下さい。


楽屋裏をお見せすると、、工房にある奥行き25cmの整理棚の上が私の心の置き場所です。
周りは織りの道具、その他雑多なもので囲まれ、決してベストな環境ではないのですが、、。^^;
左壁面の小さな額装は私の作品です。左隅は前にも紹介しましたが、栃木美保さんにご指導いただいた塩香です。
何故か梅の絵の御札も置かれています… 毎日眺められる場所です。

紬塾で小さな布を織った方は額装や敷布として何かと取り合わせてみて下さい。
来月の展示でも卓布、端布、額装も出品します。ぜひご覧ください。




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