中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第9回 紬塾「紬の取合せはおおらかで自由」

2018年11月06日 | 紬きもの塾’17~18


今回の紬塾では着物、帯、羽織、小物の取合せのコツ、揃え方、素材の選び方などの話しと、紬の取合せの実践を交えて行いました。
単なる色柄のコーディネートではない、自然感や異なる素材、色、ものの力を意図的に絶妙に合わせる日本の取合せは奥が深く、レベルの高い世界です。
取合せワークショップでは着尺、帯数点、帯揚げ、帯締も用意して、その中から一人2パターンの取合せを季節や目的を変え考え発表してもらいました。五人五様の取合せでした。
みなさんの頬も紅潮して、真剣でした。でもとても楽しい時間でした。

気をつける点は「お揃いにしない(統一しない)」ことと季節感を取り入れること。
ものとしっかり向き合い、それぞれが引き立て合うような物のやり取りかと思います。
そのことは自ずとお揃いにしたり、目立ちすぎたり、控えすぎの役不足、つまらなさにはならないはずです。
それぞれが自立していて、なおかつハーモニーがあり、揃えすぎない少し外す破調も大事です。
自分の意志、感性で選び、取り合わせることは一歩づつ一生をかけて磨く価値のあることだと思います。
紬のような洒落着は自由でおおらかな取合せができます。楽しく、脳の活性化にもつながることです。

トップの画像、一点物帯揚げは草木の生木をチップにして染めたものを中心に用意して、ワークショップでも使ったものです。生地は丹後ちりめんのふっくらしたものです。
帯締めも草木の色合いに合うものをセレクトしています。19日からの個展でも多数ご覧いただけます。

後半は「観ることの優位性」というテーマで工芸評論家の笹山央氏にレクチャーをしてもらいました。

世の中的には創ることが崇められるようなところがありますが、過去においても豊かな文化が生まれた時代は観る人が文化を育てていた。
明治になって西洋文化が入り、日本の美術が捨て去られようとしたときにも江戸時代の感性を引き継いでいる人たちが日本の文化を守ってきた側面もある。
美術の話や、全体と部分を同時に観ることの例え、観る力は模写本能の力でもあり、優れた画家はよく模写もでき、よく観て描いているなど例を聴きました。
「見て覚えろ」ということが言われますが、確かに勘のいい人は覚えも早いし、いいものを創るように思います。
ものは光の中で見ることができるわけですが、フェルメールの作例を引き合いに出し、フェルメールのベースもものを正確に観ていこうとしたことにある。そして笹山氏は「明るいから見えるのではない。見えるから明るいのである」と話を締めくくりました。その普遍性を秘めた言葉に思わず納得しました。

予定時間オーバーでしたが引き込まれてみなさん聴いて下さいました。
来年はもう少し時間枠を広げようと思います。
ものを観る力は創る上でも着物を着る上でもとても大切なことです。参考にして頂ければと思います。





上の写真は福岡に出張されていた紬塾の方から頂いた太宰府にある藤丸の「銀杏の葉」という和菓子です。
黒いのは大徳寺納豆。薄い甘さに大徳寺納豆の塩加減は絶妙でした。
このお菓子にも自然や素材を見つめる目が、形や色、質感、味わいにも感じられました。
季節を取合せて紬を着たくなりました。。

次回12月は今回話しきれなかった取合せの話の続き‥、着物の着方、着物、帯の寸法などの内容になります。


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文化
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