「パティシエになりたーい!」ブログ。

元パティシエ・オペラのお菓子の話やらオタクっぽい話やらのごちゃ混ぜブログ。

料理への愛情/村上春樹さんへの愛情

2010-12-03 23:20:14 | きょうのできごと
図書館で借りてきた村上春樹さんの「ダンス・ダンス・ダンス」を読んでて、ものすごい衝撃を受けた箇所が…!


(「料理が上手いのね」と言われた主人公のセリフ)
「上手いんじゃない。ただ愛情を込めて丁寧に作っているだけだよ。それだけでずいぶん違うものなんだ。姿勢の問題だよ。様々な物事を愛そうと努めれば、ある程度までは愛せる。気持ち良く生きていこうと努めれば、ある程度までは気持ち良く生きていける。」

愛情……!
そうなんだよ、それがうちにはないんだ!料理への愛情!
愛そうと努める努力が足りないんだ!
なるほど…。

この言葉を読んだので、今日台所に立つときはなるべく意識して丁寧にやるようにしてみました。「それだけでずいぶん違うものなんだ。」という言葉を信じて。これが無意識レベルにできるようになれればきっと…!

それにしても我ながらなんて素直な反応なんだろうか。びっくりだよ。
男の言う事は素直に耳に入ってくるんだな…うち…。まあ今に始まった事じゃないけど(えー)。



「ダンス~」は、手に取った時点では「読んだ事あるような気もするけど」とか思ってたけど…全く読んだ事なかった!うちの初村上作品であり、好きになったきっかけでもある「羊をめぐる冒険」の続編だと気づいた時は本気でびっくりした!!
それだけに、…もう最後に読んでから十年くらい経ってる(!)から、「羊」の細かいことを覚えていないのが残念でならない…!もうなりふりかまわないで文庫版とかで一気に手元に置いておきたくなったけど…そんなお金ないし!あと「羊」だけはどうしても単行本で置いておきたい…古本で全然いいから…!

…そういや、「ノルウェイの森」…映画化ということで盛り上がってますが…。
どうしよう。
村上ファンなら見に行くしかないのかもだけど…
松ケンも嫌いじゃないけど…
…別に、レンタルまで待ってもいいかな、って感じ。…変?つか、そんな態度でほんまに村上春樹好きなん?って感じなのは、自分でも思うけど(いや本当に好きです)。
あ、むしろ村上さんの映画に対するコメントが気になるかな。今のとこ全然聞こえてこないけど…。映画のパンフなら、さすがに原作者のインタビュー載せる…かな?それは気になる。すごく気になる。…変?

いや、まあ、映画は(私にとっては)高いし、一度じゃ絶対理解できないからもったいないし…っていつもの理由と、…それこそ見た上で何も言葉が出てこなかったら「本当に村上ファンなの?」ってなりそうだってのと…。
情けなっ!
でも読み返すたびに思う…。うちは村上さんの文章とか、その空気だけが好きなんだなあって。内容とかわかんなくても全然気にならないんだなあって。…だからって内容がイヤとかじゃないんですよ?読んでてワクワクしないとかハラハラしないとかじゃない。読んでる瞬間…あの文章に触れているだけでとても楽しすぎて、中身を自分の中に残そうと必死にならないから…残らない。
特にノルウェイ。いまだに読み返すたびに発見があって…と書くと良い事みたいだけど、その度に「どれだけ何も考えずに読んでたか」っていうのを痛感してしまう。だって、もう10回や20回じゃないよ?あれ読み返したの…(←手元にあるから)。おかしいよなあ、絶対。

でも好きなんですよ…?
少なくとも、普段は基本行かない映画館に、行こうかどうか迷うくらいには(わかりにくっ!)。
「ダンス~」も比喩表現にケラケラ笑って読んでたし(多分そんな笑うとこじゃないんだろうけど。「三回くらい火あぶり」とか…)。でも後半は…辛かったな…。ビールを飲みながら二人で語らうシーンは、…「羊」のラストらへんの展開を思い出して(あの辺はさすがに覚えてる)…辛かった…。


…ラスト近くの言葉がすごくよかったな。
「耳を澄ませば、求めているものの声が聞こえる。目をこらせば、求められているものの姿が見える。」

…読んで、何も残らないなんて事はないんだろう。
私自身にそれが見えていないだけで。
理解しようと努めれば、きっと理解できる。


…一番上で書いたセリフ、続く言葉がすごくおもしろい。
ある程度までは愛せる、だけど。

「でもそれ以上は駄目なのね?」
「それ以上のことは運だ。」


笑ってしまった。やっぱり村上さんは最高だなと思った。