急増する高齢者の「ひとり暮らし」。
健康面での心配など注意すべき点もあるが、
それ以上に、自分の自由な時間を満喫できるという大きなメリットもある。
そして、好きな家を自由に探せるのも、ひとり暮らしの楽しみのひとつだ。
1968年のデビュー曲『愛の奇跡』で一世を風靡したデュオ・ヒデとロザンナ。
イタリア出身のロザンナ(70歳)は、1975年にヒデこと出門英さん(享年47)と
結婚して2男1女に恵まれたが、1990年に最愛の夫と死別。
悲しみのなかで、懸命に子供を育てたが、
65歳になったとき、「そろそろ自分の人生を歩みたい」と思ったと話す。
「その頃、ちょうど同居していた娘夫婦が、引っ越すことになり、
ひとり暮らしをしてみたいと思ったんです。
子供たちも大人になったし、そろそろいいかなって。
最初は都内のマンションでひとり暮らしを始めて、
その後に娘夫婦が近所に住む郊外へ引っ越しました」(ロザンナ・以下同)
独身時代以来となるひとり暮らし。それは自由気ままそのものだ。
「それまでは、子供や孫に『何が食べたいの?』と聞いてから
料理していましたが、いまは自分の分だけ。
『今日は疲れちゃったから、パンとサラミとピクルスでいいや』
と済ませることができます。
孫の栄養やアレルギーを気にしなくていいのも気楽です。
私にとって“薬”であるワインも欠かしません」
洗濯や掃除も1人分のため、あっという間に終わる。
たっぷり増えたひとりの時間は、健康のために使うようになったという。
「コロナ太りが気になり、室内用のトレーニングマシンを購入して、
1日5km歩いています。
エアロバイクにも毎日1時間半乗って、下半身を鍛えています」
適度な運動は、活動量が減り心身機能が低下する「フレイル」や
骨関節疾患の予防にも役立つ。
ひとり暮らしを元気に長く続けるために不可欠だ。
昨年7月に古希を迎えてからも、ひとりでの暮らしを堪能するロザンナは
「いま、世の中は自分のためだけに動いています」と笑顔をみせる。
「ガーデニングや読書、映画鑑賞など、やりたいことをやりたいだけやっています。
これまで誰かのためにやっていたことを、自分を優先して、できるのは心地いい。
家に誰かがいると、どうしても期待してしまって、
『なんでゴミ出ししてくれないの!』と怒ることもありました。
いまはすべてが自分の責任なので、腹の立ちようがない。
誰かのせいにすることがなくなり、精神的にも穏やかになりました」
コロナ禍では、女友達と手料理を見せ合いながら、
リモート飲み会を開催することもあると話す。
どこに暮らしていても、人とつながれる時代ならではのお楽しみだ。
※女性セブン2021年3月4日号・・ 》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。