携帯電話大手が、スマートフォンの操作やアプリの設定に関する販売店の店頭での
有料相談サービスを強化している。
相談の範囲の拡大や定額サービスの導入、専門スタッフの配置などを通じ、
スマホを使いこなしたい高齢者のニーズを取り込む狙いがある。
インターネットによるオンライン手続きの普及で、
手数料収入が減っている販売店も新たな収益源と期待する。
☆定額プラン
NTTドコモは9月から、全国の約2000店舗の「ドコモショップ」で、
有料相談サービス「あんしん店頭サポート」を始めた。
スタッフが最大30分間、店頭で、スマホの操作やアプリの初期設定などに
関する顧客の相談に乗るサービスだ。
料金は、自社回線の利用者を対象とした定額サービスの場合、
1日1回の相談を、月に何度も利用できるプランが税込み月990円、
月2回まで利用できるプランが、月550円となる。
定額サービス以外の場合は、相談1回につき3300円だ。
ドコモショップでは以前も、無料通信アプリ「LINE」や
JR東日本の「モバイルSuica」など社外の一部アプリについて
有料で相談対応を行っていた。
相談の範囲を広げたことに関し、ドコモの担当者は
「サポートを充実させ、ドコモのサービスの利用拡大につなげたい」と話す。
ほかの携帯大手も、販売店での有料相談サービスを充実させている。
KDDIは8月、「au店頭サポート定額」を月1078円で始めた。
相談回数に制限はなく、1回当たり最大60分間対応するもので、
スマホの画面への保護フィルムの貼り付けの代行なども行う。
☆厳しい経営環境
販売店の多くは、ネットでの契約が可能な割安プランの普及や
スマホを買い替えるまでの年数の長期化などで、厳しい経営環境に直面している。
有料相談サービスの充実は、新たな来店客の拡大につながる可能性があり、
新たな収益源としての期待も大きい。
また、人手不足により、販売店では、
相談のために頻繁に来店する高齢者などへの対応が、難しくなっている。
有料相談サービスの拡充で、専門スタッフの配置が可能になれば、
販売店にとっても多くの顧客に、手厚いサービスを行うことが可能になるという利点がある。
総務省が2024年6月に公表した調査によると、
60歳代のスマホ保有率は86・0%、
70歳代は64・4%、
80歳以上は28・5%だった。
「ガラケー」と呼ばれる旧来型の携帯端末での利用が多い通信規格「3G」回線のサービスが
26年3月に終了すれば、高齢者のスマホ利用は、今後増えていく見通しだ。
政府が公共サービスのデジタル化を進めるなか、
スマホの重要性は、以前にも増して高まっている。
携帯業界に詳しいMM総研の横田英明・取締役副所長は、
「スマホを使いこなすために、専門的な知識が求められるようになるなか、
相談体制の整備が求められている」と指摘する。・・ 》
注)記事の原文に、あえて改行など多くした。