夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

長き結婚生活をしている中、家内が私の呼び名が変貌する時もあり、私は微苦笑して・・。

2018-09-13 13:58:31 | ささやかな古稀からの思い

私は東京の調布市の片隅に住むまもなく74歳の身であり、
家内は私より5歳ばかり若く誕生日を迎えると69歳となる。

そして私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我家は家内とたった2人だけの家庭であり、
雑木の多い小庭の中で、築後40年近く古ぼけてしまった一軒屋に住んでいる。

こうした中で、お互いに厚生年金、そしてわずかながらの企業年金を頂だいた上、
程ほどの貯金を取り崩して、ささやかな年金生活を過ごしている。

              
     
こうした中で私は、外見上は連れ合いと称しているパートナーのことは、家内としている。

奥方というのも、つなない私でも遥か高貴の家から降下され嫁いできたような御方と思ったり、
女房、というのも、私はあえてさけている。

女房の語源は、平安時代に於いて、宮中で私的事務をつかさどった女官の名称、
と若き頃に、井口樹生・文学博士の書物より教示された。

そして、『房』は部屋を指し、奥ゆかしき独り専用の広い部屋のことらしく、
我が家としては、無念ながらこのような家内専用の部屋がないので、論外となっている。

従って、消却法として、妻というのは何となく気恥ずかしく、家内、と私は外見上は公言している。

そして内輪の名称は、XX、と愛しき連れ合いを名前を呼び捨てにしている方たちがいる。
私の世代より御年配の御方の男性に多く、私の兄も同様である。

しかしながら、男性を重視して女性を軽んじる男尊女卑の名残りが残る風潮の中、
私としては、何となく存在を粗末にしているように感じ受け、例外としている。

XXさん、というのも寝食を共にし、語り合う中、他人行儀らしく感じたりしている。

このような幾つになっても私は、可愛げのない独断と偏見の思いがある。

                              

私がこの広い世界の中で、家内とめぐり逢えたのは、私の妹の嫁ぎ先の義父からの紹介であり、
1975年(昭和50年)の晩秋であった。

まもなく最初にデートで、私たちは待ち合わした時、私は相手を呼ぶ時、
XXさんでは他人のように思え、いきなり相手の名前をもとより知っていたので、
XXちゃん、と呼んだ。

相手の女性は、驚いたような表情を浮かべた・・。

私の発想の根源は、恥ずかしながら告白すれば、
私が二十歳過ぎた頃に愛読していた小説家・福永武彦さんの『草の花』の中で、
主人公の男性が交遊し好感している女性に対して、XXちゃん、と名前を呼んでいたことであった。

私はこれ以降、婚約、結婚、そして子供も恵まれなかったこともあるが、
家内のことを、我が家ではもとより、親族の集いなどを含めて、
XXちゃん付けとして呼んでいる。

                     

私たち夫婦は、共通の趣味のひとつとして、国内旅行であり、
子供に恵まれなかった為か、若い頃から国内の各地を幾たびか旅路を重ねている・・。

そして、ときには団体観光ツアーで各地を周遊したりしてきた。

こうした中、バス、新幹線の車内、休憩所の土産売り場、観光ホテルのロビーとかで、
ご一緒に旅をしている人達から、ときおり私たち夫婦は笑われたりしてきた。

たとえば、新幹線を下車する直前、旅行のバックを持つ前に、
『あなた・・まわりのお方に注意して・・持ってね・・』
と私は家内から言われたりすることが多い。

こうした時、
『はい!』
と私は明るく大きな声で、家内に返事をする。

私は日常生活でも、家内から何か言われた時、はぁ~ぃ、と少しだらけた返事は嫌いなので、
短めで明るく大きな声で返事をしているので、
なぜか旅先でご一緒から、笑われたりしている。


私は家内を呼ぶ時には、
『XXちゃん・・さぁ・・』
と私はいつものように、家内の名前を口にしたりすると、
車内の付近から、くすくす笑われたりしてきた。

私は家内と婚約する前の交際期間から、ちゃん付けで呼んでいるので、
もとより私は平然としたりしてきた。

家内が私を呼ぶ時は、
あなた、が多いが、ときにはXXさん、と名前で呼ばれたりすることもある。

こうした時、ご一緒の特に女性グループ方達から、
『あなた達・・いいわねぇ・・』
と笑いながら家内は言われたりしている。

こうしたことは、私はいつもの日常生活で使っているので、
私は戸惑いながら、ご一緒の方達に微笑返しをしたりしてきた。

                     

このように私は家内のことを、婚約する前の頃から、『XXちゃん・・』と呼んでいるが
家内は日頃の多くは、私のことを『あなた・・』と呼ぶことが多いが、
ときには、たわむれで、『XXクン・・』と苗字で呼ぶこともある。

やがて2004年(平成16年)の秋、私は民間会社を定年退職後、
多々の理由で年金生活を始めてまもない頃、私は家内から依頼された買物の購入品などで間違えたりすると、
『ボケチィンねぇ』
と家内は笑いながら、私に言ったりした。

『ボケチィンかょ・・我が家の新語だよねぇ・・』
と私は苦笑しながら、家内に言ったりした。

この日以降、私が何かで日常生活で失敗した時、
『ボケチィンねぇ・・』とか、ある時は『ダメオ(駄目夫)クンねぇ・・』
と家内は微苦笑しながら、私に言ったりしている時もある。

              

このように長き結婚生活をしている中、家内が私の呼び名に変貌する時もあり、
ときおり私は微苦笑する時もある。

そして私は何かと単細胞の為が、家内を呼ぶ時は、
最初のデートで相手方の名前『XXちゃん』と呼んで以来、
変わることなく早や43年近くになっている。
 

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