博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

2015年5月に読んだ本

2015年06月01日 | 読書メーター
南方熊楠 - 日本人の可能性の極限 (中公新書)南方熊楠 - 日本人の可能性の極限 (中公新書)感想
今の世に生きていればネット界隈の有名人となり、文化人・知識人の評価を得る一方で論争と炎上を繰り返すタイプではないかと思った。それまで否定的であったオカルティズムに対する態度がロンドンからの帰国後は一転肯定的となった点、かと思えば山男(山人)をめぐって柳田国男が先住民族の投影と見る一方で、熊楠は動物や人間の誤認と一笑に付した話などが印象に残った。あと、BL的なエピソードも盛り込まれています。
読了日:5月4日 著者:唐澤太輔

漢文入門 (現代教養文庫ライブラリー)漢文入門 (現代教養文庫ライブラリー)感想
漢文の入門書としては非常に取っつきやすい構成かつ文章になっている。例文には日本の漢文あるいは日本に関する漢文を多く取り上げている。ただ、Kindle版は例文の返り点・送り仮名を中心に極めて多くの誤脱が見られるのが残念。
読了日:5月6日 著者:魚返善雄

風と共に去りぬ 第3巻 (新潮文庫)風と共に去りぬ 第3巻 (新潮文庫)感想
南北戦争を経て南部のプランターの栄華も今や昔となり、スカーレットは「タラ」を残すために奮闘する。が、個人的にはスカーレットよりも彼女にたかられそうになっているフランク・ケネディさんの方に同情してしまう。声が届くなら「ケネディさん、彼女から逃げて!」と言いたくなるが……
読了日:5月9日 著者:マーガレットミッチェル

春秋時代の貴族政治と戦乱―宇都木章著作集〈第3巻〉 (歴史学叢書)春秋時代の貴族政治と戦乱―宇都木章著作集〈第3巻〉 (歴史学叢書)感想
かつて新人物往来社より刊行された『春秋時代の戦乱』等を収録。春秋時代の流れを見るのに手頃な概説書となっている。尻切れトンボのような感じで終わっているので、もう少しそれらしいオチをつけて欲しかった気もしますが……
読了日:5月11日 著者:宇都木章

骨が語る日本人の歴史 (ちくま新書)骨が語る日本人の歴史 (ちくま新書)感想
オビにも出ている縄文人・弥生人の話が一番のアピールポイントになる本なのだろうが、個人的には畿内の大型古墳の被葬者はおおむね高身長だったという指摘と、戦後70年間の日本人の体格・顔立ちの変化はかなり急激で、それ以前の日本人とは似ても似つかない存在となったという指摘が面白かった。無論終戦によって日本に住んでいる民族が入れ替わったはずもないので、民族の入れ替わりよりも、同じ民族間での階層分化や食生活の変化の方が体格・顔立ちの変化の大きな要因となるということのようだ。
読了日:5月17日 著者:片山一道

本当は日本が大好きな中国人 (朝日新書)本当は日本が大好きな中国人 (朝日新書)感想
タイトル通り、今流行りの「海外から見た日本すごい本」として読める作りになっている一方で、さりげなく中国人の気質や現代中国文化について理解が深められる作りにもなっており、また中国人が大好きな日本とは、中国も含めて外国の文化が大好きな日本であると釘を刺している。中国人の「反日活動家」が、(日本で批判されがちな)日本の「人権派弁護士」との接触などを通して、日本からは学ぶべきことが多いと評価しているというのも面白い。
読了日:5月20日 著者:福島香織

ふしぎの国のバード 1巻<ふしぎの国のバード> (ビームコミックス(ハルタ))ふしぎの国のバード 1巻<ふしぎの国のバード> (ビームコミックス(ハルタ))感想
今までありそうでなかったイザバラ・バードの紀行のコミック化。実際のバードはもう少し男らしくて旅慣れていたのではないかと思うが…… バードが日本の生活や風景が当時既に失われしつつあると感じているのは、『逝きし世の面影』の影響を受けた描写か。
読了日:5月21日 著者:佐々大河

朝鮮王公族―帝国日本の準皇族 (中公新書)朝鮮王公族―帝国日本の準皇族 (中公新書)感想
韓国併合後の高宗(李太王)や李垠・梨本宮方子女王夫妻など韓国皇室の軌跡を追う。元の韓国皇室は朝鮮王公族として準皇族としての扱いを受けていたとしているが、待遇も本人たちのメンタリティも皇族そのものという印象。戦後の末路も、いわゆる「旧皇族」と似たり寄ったりだなと。李垠と方子の婚約が李王家の家格と巨額の歳費に目を付けた梨本宮伊都子妃の方から申し出たものであったことなど、個別のエピソードも面白い。
読了日:5月23日 著者:新城道彦

ヒストリエ(9)ヒストリエ(9)感想
今巻の読みどころは何と言ってもあの人との再会の場面。カイロネイアの戦いに突入し、話の流れも着々と進んでます。
読了日:5月23日 著者:岩明均

中国学入門 中国古典を学ぶための13章中国学入門 中国古典を学ぶための13章感想
中国学入門とあるが、正確には中国文学・哲学・書道・書誌学の入門書。専門柄最初の戸内俊介「中国古代文字論」と最後の家井眞「銘文から『詩経』へ」が気になった。戸内論文はコンパクトかつわかりやすい戦国竹簡入門に仕上がっている。家井論文は「はじめに」によれば「上級編」ということであるが、本書での位置づけに少々疑問を感じる。
読了日:5月25日 著者:

中国史(上) (岩波文庫)中国史(上) (岩波文庫)感想
文庫化されたのを機に読み直す。通史としては手頃な概説書・入門書と言うよりほとんど古典と化しているなと感じた。私が学部一年の頃にこの本(岩波全書版)の感想を書けというレポートが課されたことがあるが、もはやそのような用途としては適当でない書となりつつある。
読了日:5月29日 著者:宮崎市定

物語イギリスの歴史(上) - 古代ブリテン島からエリザベス1世まで (中公新書 2318)物語イギリスの歴史(上) - 古代ブリテン島からエリザベス1世まで (中公新書 2318)感想
上巻はイングランドが地方の一勢力から「帝国」へと飛躍していくテューダー朝の時代まで。著者の専攻が近現代史とあって内容に新見はないが手堅くまとまっている。コラムで三年前に発見されたリチャード3世のものとされる遺骨の話題などもあり。
読了日:5月31日 著者:君塚直隆

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