博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『「李香蘭」を生きて 私の履歴書』

2007年03月13日 | 中国学書籍
山口淑子『「李香蘭」を生きて 私の履歴書』(日本経済新聞社、2004年12月)

李香蘭こと山口淑子の自伝。内容的には前に読んだ『李香蘭 私の半生』のダイジェスト的なものですが、前著で敢えて触れられなかった政界進出の事情とか、また少女時代の親友リュバとの再会など前著出版後の出来事も盛り込まれています。

政界に進出したのは、『3時のあなた』の司会をしていた頃に動物愛護法案成立のために奔走したのがきっかけで、自民党田中派から参院選出馬を勧められたとのこと。本人曰く所属政党はどこでも良かったということですが、社会党から出馬しなかったのは動物愛護法案の成立に社会党の代議士が待ったをかけたからでしょうか(^^;)

リュバというのは当時の奉天在住のユダヤ系ロシア人女性で、著者が小学校六年の頃に知り合ったということですが、彼女の一家は実はボリシェヴィキで、それが原因で日本側の官憲に睨まれ、彼女は一家ともども奉天から姿を消すことになります。そして月日は流れ、終戦間近になって突然上海で著者は彼女と再会します。ソ連共産党絡みの仕事をしていたリュバは終戦直後に国民党側から漢奸裁判にかけられることになった著者の容疑を晴らすために奔走しますが、著者の容疑が晴れた後に再び姿を消します。それから再び月日が流れ、NHKの番組に出演した際に彼女とおよそ50年ぶりの再会を果たします。そこで著者と別れてから彼女の身におこった事や、上海で再会した時に著者には黙っていたある出来事が明かされることになります。

前著ではこうしたことが触れられていないわけですが、本書は本書で全体的に内容が簡略にすぎるきらいがあり、前著と本書はセットで読むべき本であると感じました。
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『大漢風』第21~23話

2007年03月11日 | ドラマ『大漢風』
咸陽に入城した劉邦は後宮の美女を侍らせて酒色にうつつを抜かし、兵士の方も宮城内の宝物を漁ったり、咸陽の民から略奪したりとやりたい放題です。しかし項羽軍咸陽に迫るの報を聞いた劉邦は泡を食って咸陽を引き揚げます。そして本日放映の第23話ではいよいよ鴻門の会です。

しかしこのドラマにかかると名場面のはずの鴻門の会も茶番劇に見えてきます(^^;) なぜか酔っぱらった劉邦が踊りを披露したりしますし…… 范増はこの機会に何とか劉邦を始末しようとしますが、劉邦は張良や樊噲の助けを得て宴の場から逃亡します。逃亡を知った項羽側は追っ手を派遣しますが、そこでなぜか呂雉が助けに駆けつけ、虞姫の居場所を書いた帛書を項羽側に渡し、追っ手を撤退させます。

実は虞姫は胡亥の死後も阿房宮に隠れており、呂雉は咸陽滞在中にそのことを察知していたのでした。次回はやっとこさ項羽と虞姫が再会を果たしそうです。

ところで呂雉と言えば、ここんところPPStreamでリッチー・レン主演の台湾版『神雕侠侶』が放映されているのですが、このドラマで小龍女を演じているのが呂雉役の呉倩蓮という女優さんであると知り、驚愕しております(^^;) この呉倩蓮、目の覚めるような美女というタイプではないですし、どう見ても小龍女というガラではないのですが……

あるいは、これは小龍女もいずれは呂雉のような鬼婆になるということを暗示しているんでしょうか(^^;)
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『包青天之一 双釘記』

2007年03月09日 | 中国古典小説ドラマ
最初のエピソードである『狸猫換太子』を見たっきりほったらかしにしていた『包青天之一』を再び鑑賞しております。今回鑑賞したのは『双釘記』です。

中牟県で周青柏という男が急死し、その妻の周呉氏と弟の周青松が遺産相続をめぐって争っていた。周青松は兄嫁がその浮気相手で地元の豪侠の胡西覇とはかって殺害したと疑い、県令の李城南に申し出て兄の遺体を三度調査してもらったが、三度とも特に不審な所は発見されなかった。

周青松は思い余って開封府尹の包拯に上告した。包拯は訴えを受け入れ、自ら中牟県に赴いて周青柏の遺体を再び調査したところ、頭部から七寸の鉄釘が発見され、妻の周呉氏が密かに夫の頭にこの釘を突き刺して殺害した疑いが出て来た。包拯はこの釘を作った職人に聞き込みを行うが、十年前にも同じ長さの鉄釘の製作を依頼した女性がいたことがわかり、彼は十年前にも同じような殺人事件があったのではないかと疑い始める……

話数は全3話と短いですが、内容はやっぱり入り組んでます。包拯は捜査の過程である女性が十年前に殺人を犯したに違いないと狙いを定めますが、その追い詰め方が実に意地悪で、思わず犯人の方に味方したくなります(^^;)
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『北京ヴァイオリン』ドラマ版

2007年03月08日 | ニュース
陳凱歌監督『北京ヴァイオリン』のドラマ版がこの春からNHK-BS2で放映されるとのこと。

「NHK海外ドラマ 2007年春のラインナップ」
http://www3.nhk.or.jp/kaigai/2007spring/index.html

4/5放映開始で全24話とのことですが、ここ10年近くNHKでは中国ドラマを放映していなかったので、随分唐突な感じがしますね。まあ、NHKが好みそうな題材ではあるんですけど……
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『興亡の世界史19 空の帝国 アメリカの20世紀』

2007年03月08日 | 世界史書籍
生井英考『興亡の世界史19 空の帝国 アメリカの20世紀』(講談社、2006年11月)

このシリーズの既刊分でこれだけ未読なので、読んでみることにしました。この巻ではライト兄弟による初飛行の成功から二つの世界大戦、そして2001年の同時多発テロまでの時期を扱ってます。

第一次世界大戦以前のアメリカ陸軍はヨーロッパ諸国と比べて軍備が貧弱だったとか、マッカーサーは実は日本への原爆投下に批判的だったとか(無論、人道的見地からの意見ではなく、単に原爆などという未知数の兵器を使わなくても日本の降伏は時間の問題と考えていたからですが。朝鮮戦争では逆に戦況を打開するために原爆投下を検討したとのこと)、面白い指摘もありましたが、全体的に戦争に関わる報道写真から当時の世相を読み解いていくのが主眼なのか、アメリカの空軍史を見ていくのが主眼なのかはっきりせず、どうにも視点の定まらない内容でした。著者の専門はどちらかと言うと前者のようですが……
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ジョン・ウー監督『赤壁』続報

2007年03月08日 | ニュース
ジョン・ウー監督の『赤壁』ですが、諸葛亮役を予定していたトニー・レオンが辞退し、替わりに金城武が抜擢されたとのこと。

「梁朝偉辞演《赤壁》 金城武頂上演諸葛亮」
http://ent.sina.com.cn/m/c/2007-03-07/11231469920.html

トニー・レオンが孔明に扮するのはいかにも似合わなさそうだなあと思ってましたが、金城武も大概ですね。この記事では他のキャストについても、チョウ・ユンファが当時20代の周瑜を演じるのには無理があるなどとツッコんでますね。

しかしこの作品、いつになったらキャスティングがまとまるんでしょうか(^^;)
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『封神榜』その6(完)

2007年03月07日 | 中国古典小説ドラマ
『封神榜』第33~最終40話まで見ました。

西岐軍は十絶陣のうち残る紅砂陣を打ち破ったが、紅砂陣内に幽閉されていたはずの武王は申公豹によって朝歌に連れ去られていた。その間、留守を守る武王の三弟・胡安は鳳来に唆されて周王の地位を奪おうとするが、武吉や子嫻らの尽力でクーデタは失敗に終わる。遠征軍の総大将である聞仲も南極仙翁らによって絶龍嶺に追い詰められ、戦死を遂げる。殷軍との戦いが一段落ついた後に、姜子牙・子嫻・楊戩は朝歌に潜入して武王の救出をはかるが……

というわけで終盤はオリジナル展開が炸裂です。特に最終話は、いい所まで話が進んでいるのに急に打ち切りを宣告された漫画の如くバタバタと帳尻だけ合わせて話が終わっていきます(^^;) 原典とは異なって西岐側からは戦死者がほとんど出ませんでしたが、これも話を縮めた結果、キャラ達の死に場所が無くなってしまったせいでしょうね。また殷郊と李靖は後半16話では出番がないままになってしまいました。

前半24話が割と丁寧にストーリーを追っていていい感じだったんですが、後半16話は話を急がせすぎてグダグダになってしまいましたね。あと5話か10話分ほど間尺があればだいぶ印象が違ったのでしょうけど……
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武侠ドラマ撮影班の景観破壊が問題に

2007年03月06日 | ニュース
大陸で放映されていた古龍原作のドラマ『大旗英雄伝』の撮影班が、ロケ地の浙江省仙都風景区で明代の摩崖石刻を塗料で塗りつぶしていたことが発覚し、問題になっているとのこと。各ニュースサイトで同様の記事が配信されていますが、ここでは現場のカラー写真がデカデカと載っている『新華網』の記事をリンクしておきます。

「浙摩崖石刻遭《大旗英雄伝》劇組"抹"」
http://news.xinhuanet.com/ent/2006-08/10/content_4945861.htm

この記事でも触れられているように、少し前に『PROMISE』の撮影班がシャングリラの景観を破壊したということで槍玉に挙げられてましたが、これは氷山の一角だったんですね…… 

他社の記事を見ると、この他にもドラマ版『神雕侠侶』や『楚留香』なども撮影中にロケ地の景観や遺跡を破壊したとして批判されているとのこと。自然保護区域等でのロケを禁止したり、制限を強めようという動きもあるようです。
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『李香蘭 私の半生』

2007年03月04日 | 中国学書籍
山口淑子・藤原作弥『李香蘭 私の半生』(新潮文庫・1990年12月)

先月テレ東系で李香蘭のドラマが放映されたのを機に復刊されたものです。戦前に大陸で女優として活動していた頃のことが中心に扱われています。本人の記憶に頼って書かれた回想録かと思いきや、当時の関係者と再会して記憶を確かめ合ったり、関連する資料にあたったりと、結構手間暇掛けて内容の裏付けを取っているようです。あるいは資料の調査については共著者として名の挙がっている藤原氏が当たったのかもしれませんが。

大戦後の彼女の活動については付篇という形で簡単にまとめられていますが、本書では彼女がなぜ参議院議員として政治活動を行うことになったのかについては全く触れられていません。「政治の分野に立ち入ることは避ける」という共著者同士の取り決めから敢えてこの話題を避けたようですが、本書が最初に刊行されてから年月が過ぎた今となっては、却ってこのあたりの事情について詳しく知りたいところです。
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瀬戸内寂聴『源氏物語』文庫版

2007年03月02日 | 日本史書籍
瀬戸内寂聴『源氏物語』巻一~二(講談社文庫、2007年1~2月)

いつの間にか瀬戸内寂聴版の源氏が文庫化されていたので、既刊分二巻をまとめて購入。月一巻ずつの刊行で全十巻とのこと。

オビに「美しい現代語ですらすら読める 初めてわかる面白さ!」なんて書いてありますが、本当にすらすら読めます(^^;) また巻末に各帖ごとのあらすじや簡単な解説が掲載されており、本文を通読していてよくわからなくなっても、ここを読めば取り敢えず話の筋がわかるようになっています。系図や用語集といった資料類も充実しており、初心者に行き届いたつくりになってますね。
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