博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『那年花開月正圓』その11

2017年12月01日 | 中国近現代ドラマ
『那年花開月正圓』第61~66話まで見ました。

周瑩は自分のために犠牲になった沈星移のことが忘れられず、呉家東院に戻った後も鬱々とした日々を過ごし、「自分は関わった人間を死に追いやる災星(疫病神)だから呉家を出ていきたい」と言い出します。


二叔らが自分を元気づけるために呼び寄せた地元の秦劇の女形に星移を重ね合わせる周瑩。それだけの場面のために女形に扮する陳暁 (^_^;)

姑の鄭氏は周瑩を引き留めるために、彼女に東院を継ぐ後継者を養成させることにします。二叔・四叔の孫に競い合いをさせて彼女に養子を選ばせることにしますが、彼女が選んだのは、一番年下で一番きかん坊で一番競い合いに熱を入れなかった玉成君。まだまだ幼い彼から大器の片鱗を見出したようですが、彼を選んだのはまたきかん気が昔の自分に似ているからでもある模様。


東院に入って玉成から懐先へと名を改めます。「懐先」というのはかつて呉聘が周瑩との間に子が生まれたらつけようと言っていた名前です。最初は中院に戻りたいばかりにやんちゃ放題をしていましたが、次第に周瑩と心を通わせるようになっていきます。

その間に自分を陥れた呉漪とも、彼女が流産による出血で亡くなる寸前に和解を果たします。この手のキャラは于正ドラマだと、裏切りが発覚したあたりで自分から崖に飛び込んで死んだりするもんですが…… 一方、周瑩は旧知のジョセフ神父との対話の中で、呉聘は胡詠梅の仕込んだ毒で死んだのではなく、死の前日の杜明礼との会食で毒を仕込まれた可能性に思い当たります。呉聘は一体何人の人から毒殺されようとしていたのでしょうか……

そしていつの間にか日清戦争が過ぎ去り、光緒帝とブレーンの康有為らによる変法が開始されます。科挙に登第した二叔の長男呉沢も皇帝の名代として涇陽に赴任。涇陽の街中でも変法運動を支持するデモ運動が盛んに行われるようになりますが、その中に獄中死したはずの星移の姿が…… どうやら獄中で死んだのは替え玉で、王爺もおおっぴらには彼を赦免できないというので、死んだことにしてほとぼりが冷めるまで日本に亡命させていたということのようです。彼との再会を喜ぶ周瑩ですが、彼はつれない態度をとり……

変法の流れの中で呉家は今度は自前で洋布工場の建設を計画します。王爺の意を承けた杜明礼が阻止しようとしたり、趙白石が面従腹背の態度で王爺の意に従うと見せかけつつ、呉沢と連携したりして、皇帝による建設の認可に漕ぎ着けます。しかし工場の開業には相応の時間がかかるという周瑩らの現場の声を無視して呉沢は早急に開業するよう申しつけ……と、変法運動の限界が見えてきたあたりで次回へ。
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2017年11月に読んだ本

2017年12月01日 | 読書メーター
中国はなぜ軍拡を続けるのか (新潮選書)中国はなぜ軍拡を続けるのか (新潮選書)感想
中国の軍拡について、特に対国内事情に着目した本。人民解放軍は、基本的には中国国内の民主化運動の弾圧など、国民に対する威嚇・恫喝のための手段であり、軍拡の目的は、人民解放軍を通じて共産党が自国国内における特権的地位を保持し続けることにあるという主旨。人民解放軍の場合は「党の軍隊」としての立場からそうした性質が際立っているが、本来どの国の軍隊も自国国民に対する威嚇・恫喝のための「暴力装置」(この言葉は本書でも使用されている)としての性質を具えているのではないだろうか。
読了日:11月03日 著者:阿南 友亮

兵農分離はあったのか (中世から近世へ)兵農分離はあったのか (中世から近世へ)感想
兵農分離について、兵農分離をすれば本当に軍隊は強くなるのか?兵農分離以前は百姓が戦争に動員されていたのか?武士と百姓の間の身分の移動を禁じ、双方の居住区の分離を定める政策が行われたのか?等々様々な観点から史料を検討し、兵農分離の状態は複数の要因による結果として生じたものであって、それを目指す政策はなかったという結論を導き出す。本書の中身もさることながら、歴史学的な議論や研究へのアプローチのしかたを学ぶために読まれるべき本。
読了日:11月06日 著者:平井 上総

司馬遷と史記 (新潮選書)司馬遷と史記 (新潮選書)感想
原書は戦前に出た『史記』のフランス語訳の序論の部分ということだが、かなりの程度現代でも『史記』の参考書として通用する。読みどころは後半二章の『史記』著述のために用いられた資料の話と、『史記』の諸注釈の評価。
読了日:11月08日 著者:エドゥアール・シャヴァンヌ

十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め (講談社学術文庫)十二世紀のルネサンス ヨーロッパの目覚め (講談社学術文庫)感想
中世の各分野の学術や文芸のありようをまとめ、イタリア・ルネサンス以前に「知的復興」が進められていたことを示す。ラテン語が国際語としてだけではなく「自国語」の役割も担い、各地域でなまりや新しい慣用を生み出した「生きた言語」であったという指摘が印象に残った。
読了日:11月10日 著者:チャールズ.ホーマー・ハスキンズ

漢文のすすめ (新潮選書)漢文のすすめ (新潮選書)感想
『大漢和辞典』の編纂に関わった著者原田種成の半世記。大漢和といえば諸橋だが、諸橋自身はそれほどタッチしていなかったとか、法律・経済関係の語彙や日本の古典語などが編纂者も知らない間に挿入されていたというような裏事情が面白い。後半の教育論はいかにもな俗流教育論という感じで残念。
読了日:11月16日 著者:原田 種成

世界史のなかの天正遣欧使節世界史のなかの天正遣欧使節感想
それほど史料がないのだろうと思っていた天正遣欧少年使節も、欧文史料によってそれなりに肉付けができるのだなと感じた。当時の日本人も西欧人も最果ての地がインドだと漠然と捉えていたという地域概念の話や、西欧側からも少年使節四名の血筋などから、使節派遣に対して冷ややかな視線があったという話が面白い。
読了日:11月18日 著者:伊川 健二

兼好法師 - 徒然草に記されなかった真実 (中公新書)兼好法師 - 徒然草に記されなかった真実 (中公新書)感想
『徒然草』の著者として有名な兼好法師は本当に吉田兼好ないしは卜部兼好だったのかという疑問から、彼の出自と身分、金沢貞顕や高師直といった有力者との関わり、経済状況、歌壇での地位など、様々な史料を駆使して外堀から埋め立てていく。一個人の伝記にとどまらず、時代背景の中に個人を位置づけることや、史料をもとに考察を深めることの面白さを伝えてくれる好著。
読了日:11月21日 著者:小川 剛生

興亡の世界史 東インド会社とアジアの海 (講談社学術文庫)興亡の世界史 東インド会社とアジアの海 (講談社学術文庫)感想
ハードカバー版以来の再読。「陸の帝国」と「海の帝国」、鎖国・海禁を進めた東アジア諸国と西洋人でも何でも受け入れた西南アジア諸国との対比がやはり面白い。また、本国から派遣された東インド会社の社員が現地で不正な私貿易に励み、会社に損害を与えることすらあったという話は、よく話題に出される前近代の中国の官吏が不正な蓄財に励んだという話を連想させる。同じような状況に置かれれば人間誰しも同じような行動をとるということだろうか。
読了日:11月26日 著者:羽田 正

緯書と中国の神秘思想緯書と中国の神秘思想感想
著者は緯書の研究で名高いが、緯書だけでなく、馬王堆帛書を資料にしながら天文占について解説したり、天文占と兵書との関係、陰陽五行思想と漢方との関係に言及したりし、タイトル通り古代の神秘思想全般についての概説となっている。
読了日:11月28日 著者:安居 香山

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