博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

アベル・ガンス監督『ナポレオン』

2010年01月02日 | 映画
年末からちょびちょび見ていたアベル・ガンス監督『ナポレオン』ですが、ようやく見終わりました!

この作品は1927年にサイレント映画として上映されたものを、1981年にフランシス・コッポラが父カーマイン作曲による演奏付きで再上映したもの。劇中で『ラ・マルセイエーズ』が流れる場面ではBGMでもちゃんと『ラ・マルセイエーズ』が流れます。

物語の方はブーリエンヌ幼年学校時代からイタリア遠征までを扱っています。幼年学校の地理の授業でセントヘレナ島を「忘れられた島」として紹介されるという死亡フラグまで用意しておきながら、それが生かされなかったのが残念です(^^;)

で、気になるのがこの映画のロベスピエール。事前の噂通り、黒い丸眼鏡をかけてます。(外している時の方が多いですけど……)あと、服装も長谷川哲也『ナポレオン 獅子の時代』のロベスピエールと同じような感じです。これはもう、長谷川版ロベスピエールのルーツはこの映画にありと見て間違いないでしょう。ちなみにサン・ジュストは監督のアベル・ガンス自身が演じてます。昔から出たがりの監督はいたんですね。

印象に残ったのがイタリア遠征前にナポレオンがダントンら革命の英雄たちの亡霊と会話するシーン。ここで彼は革命を継承し、ヨーロッパを一つの民、一つの共和国とすることを誓うのですが、これが現在のEUのようなものを想像させるという点ですね。もちろん現在と1927年当時では「ヨーロッパを一つの民、一つの共和国とする」ことの意味は違ったはずですが、これが指しているのは時代が近いヒトラーの第三帝国のようなものではなく、EUのようなものの方がしっくりくる気がします。

まあ、現実にはその後フランスはナポレオンを皇帝とする帝国となり、征服された諸国もナポレオンの一族を王として迎え入れるハメになるわけですが……
コメント (2)
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