折節の移り変わるこそ

季節の移ろいの中に、感じたままを一日一日。

法隆寺の青い空

2008年02月29日 00時30分28秒 | 雨水
                         □ 五重塔(国宝)の水煙

◇ この数年のあいだ幾たびとなく法隆寺を訪れたが、
  はじめての日の印象ほど感銘ふかいことはなかったようだ。
  私はいつもその日を想い起す。
     ………
  はじめて法隆寺を訪れた日は、俄雨(にわかあめ)の時折襲ってくる日で、
  奈良の郊外は見物人も少くひっそりと静まりかえっていた。
  雨の晴間には、透明に高い秋空があらわれ、
  それに向って五重塔は鮮やかな輪郭を示していた。
         (亀井勝一郎「大和古寺風物誌」より、法隆寺初旅の思い出)

     
   □ こりゃ何だい? 南大門(国宝)! そりゃ、難題だぁのなんまいだぁ。

     
    □ 中門と五重塔(いずれも国宝)、いかにも法隆寺という構図(?)

◇ 高校一年生の時に読んだ「愛読書」の憧れの里、斑鳩への訪れは、
  高校2年生の春休みの「大阪万国博覧会」見物で、あっけなく実現したのでした。
  あれから幾年月を経たのでしょう、法隆寺は私の心の古里になりました。
  大阪出張のついでか、法隆寺見物の合間の出張か、セット旅行の多かったこと!
  JR天王寺を経て、王寺の手前の大和川にかかる鉄橋を渡る頃から心が騒ぎます。

             
          □ 区間快速奈良行(天王寺駅ホーム)
            これって、昔の山手線の車両でしょう、きっと。

     
     □ 「大和川」、大「和川」ではなくて「大和」の川なんでしょう。

    
◇ それにしても二月如月の驚きの青い空の下に法隆寺は佇んでいました。
  そう言えば、雨男っぽい私が訪れた日はほとんどいい日旅立ち。
  富士には月見草がよく似合い、法隆寺には抜けるような青空が似合います。

     
          □ 青空の下、五重塔と金堂(いずれも国宝)

     
             □ その逆の構図です。

     
         □ 僧侶の住居や食堂が完備しておりました(国宝)。

◇ 西院伽藍の建物を「激写」しているうちに、なんとバッテリーが切れました。
  だから、東大門や夢殿の枯れた佇まいは画像なし。
  今度訪れた時のおみやげは、子規の有名な「柿食へば」の句の拓本に決めました。

               
     □ 五重塔を望む、どこか、早春近し、お気に入りの写真です。

     
  □ 今回のおみやげ(自分の)は、谷崎潤一郎「春琴抄」(復刻版・古書)

     
      □ 向かって右が、春琴抄の表紙をめくったところ。
        左は、源氏物語千年紀記念の芸術新潮です。
        いずれも大阪・梅田で手にしたものです。
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4 コメント

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斑鳩 (ぴ~)
2008-02-29 21:03:07
斑鳩には、ほんの少しの間住んだことがあります。
高校生の時に奈良に引越しすることになり
編入試験を受けたり、なんだかんだで、単身赴任をしていた
父とアパート住まいをしたんです。懐かしいな~
小さな台所には、西日が思いっきり差していました。
テレビがなかったので、父が帰ってくるまでは
ラジオと本が友達でしたね^^
良いお天気でよかったですね~~♪
あの日は、ず~~~~っと夕方まで義父に付き添って医大の中。
こんな青空だったんだぁ~~

また来て下さいね♪
返信する
ええ、心の古里ですから。 (折節)
2008-02-29 23:17:19
ぴ~さん、こんばんは♪

あの日は、とりわけ印象的な青空でした。
雲も探せばどこかにあったかもしれませんが、
暖かな日より、いい天気でした。

これまでは短くもやや早足で歩いていましたけれど、
今回は五重塔や金堂などの造りもよく見てみました。

この時季でも修学旅行の学生が訪れるんですね。
パラパラと大人しかいない中に、
小さい制服ベレー帽が、この古刹にお似合いでした。

二月になって、寒い日が続いていたんでしょうね。
梅がまだほとんど咲いていませんでした。
やはり九州より、そーとー寒いのだと思い知りました。

今度は「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」
その碑を和紙に写し取ったものを買いに行きます。
ショードー買いしないで、また今度…出張は6月かなあ。

とにもかくにも、忘れられない青い空でした。

返信する
至福の平日 (blue camel)
2008-03-02 16:06:10
折節さん、こんにちは♪
今頃はお庭で花達の生長を微笑んでいらっしゃるかしら?
あ?おやつかな・・・

法隆寺訪問の日、お天気の大層よろしかったこと
この上ない徳を日頃積んでいらっしゃる証拠でしょう・・・

ここ数ヶ月、お仕事兼ねての
平日至福のお寺巡りをなさっているようで実に羨ましいです。
法隆寺と言えば。。。
先日玉虫厨子の修復が終えたようですね!
私には教科書の中の世界のままですが折節さんは
本物をご覧になったことがありますか?
現物はどんな感じなのでしょうね。
紺碧の空がお寺の威風堂々としたその構えを一層ひきたたせ
こちらさえも、身も心も引き締まる思いです。
こういうのは九州にはないですものね・・・

京都もいいですが、奈良には日本人の精神の骨頂が
眠っているようなそんな気がします。
返信する
まあよいか 弥生に入りて 甘もの絶つ (折節)
2008-03-02 18:02:43
blue camelさん、こんにちは♪

3月に入って、ちょっと、饅頭、アンパン止めとくわと宣言しました。
いま、ちょこっと、チョコアイスを食べましたけど。
五時に食べても、一本食べても「おやつ」とは、こはいかに!?
一枚でもせんべい、一個でもまんじゅうというがごとし。。。

そう言えば、浦島太郎の「帰ってみれば こはいかに」を、
怪獣ガメラみたいな(ご存じ?)「怖い蟹」がいたと、
そう信じ込んでいた小学生の頃でした。

そうですね、私のように毎日「徳」を積んでいると、
一番下辺りの「徳」は、とっくの昔に「十苦」で苦しんでるかも。

さて「玉虫厨子」ですが、一番好きなご仏像「百済観音」同様、
大宝蔵院の薄暗い中に置かれています。
いつ見ても、見てもちっとも解らない私でも、
黒塗漆の素晴らしい工芸品なんだろうなと思います。
薄暗い上に、黒い作品、何せ、私の年の25倍は優に昔の7世紀の作品です。

昨日のニュースで、再現された様子をやってました。
玉虫の翅は東南アジアから輸入したらしいですね。
なるほど、あの薄暗い中にぼんやりと佇んでいる品は、
当初こんなお姿だったのかとうなづいたのでした。

京都は「華」、奈良は「素」、漢字にたとえたら、こんな感じです。
日本人の心の古里、少なくとも私にはそう思えてなりません。
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