Willow's Island

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アウトレイジ 最終章

2017年10月28日 05時48分26秒 | 映画

 先週、待ちに待ったシリーズの3作目「アウトレイジ最終章」を見た。シアターに観客は私以外1名しかいなかったが。
 確かに面白く、2時間ほど飽きずに見られたのだが、やはり前2作に比べていまいち評価が高くないようだ。私も期待したほどではない、と感じた。アウトレイジといえば徹底した迫力と残虐な暴力が売りだと思うのだが、それが明らかにパワーダウンしている。
 バイオレンスも銃に頼るシーンが多すぎたと思う。これでは外国の映画と変わらないし、銃を使ったシーンならアメリカ映画の方が上だろう。登場人物には、銃で簡単に済まさずにもっとえげつない暴力をふるってほしかった。
 主人公の大友(たけし)は相変わらず大勢殺すのだが、なぜ殺すのか、という動機がよく分からなかった。それで感情移入ができないために、いまいちカタルシスにも欠けたと思う。前作までは、多少は恨みや義理というものがあって、説得力があったのだが。
 最も欠けていたのは、迫力だ。多くの人が指摘しているが、特に塩見三省さんだ。「ビヨンド」では語り草になったほどの関西弁の怒号が、すっかり鳴りをひそめている。どうも塩見さんは病気を患ったらしく、復帰されたばかりということだ。役どころも、怖いヤクザというより、組織の中で悩む中間管理職みたいになってしまった。
 これというのも、花菱会の会長が変わってしまったせいだと思う。元会長の娘婿だという理由だけで、証券会社を定年退職した只のサラリーマンがヤクザの会長なった、という設定のようだ。これはこれで大杉連の演技も面白かったのだが、そのせいで話が妙な方向に行くことになってしまった。やはり、神山繁さんの演じる布施会長がよかった。あれほど重みを感じるヤクザ役もない。
 つまり前作に比べてパワーダウンしたのは、神山繁さんが亡くなったこと、塩見三省さんが病気になったこと、に原因がある。「最終章」を作るなら、もっと早くやっておけばよかった、ということだ。