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ニッポン経済の「ここ」が危ない!

2008年03月10日 23時43分46秒 | 

 「ニッポン経済のここが危ない!」という本を読んでみた。元・経済財政担当大臣の竹中平蔵と経済小説家の幸田真音による対談である。かなり読みやすく、日本経済が抱える問題の概要が分かり、勉強になった。しかし、竹中平蔵はつくづく筋金入りの市場原理主義者であることを実感した。例えば、今の日本は格差社会だと言われているが、竹中に言わせれば格差が問題なのではなく「実力で豊かになった人への妬み」をマスコミが煽ることによって問題になっているに過ぎない、のだそうだ。むしろ日本に足りないのは豊かになるためのインセンティブであり、ある程度豊かになった日本人が(ニューヨーカー並みに)より豊かになるための努力をしないことが問題だ、という考え方だ。・・・いや、格差というのは妬みうんぬんじゃなくて、いくら必死に働いてもまともな暮らしができないワーキング・プアや非正規雇用者が大量に増えたことが問題なのだと思うのだが・・・。絶対的な貧困というものは今の日本において厳然と存在するし、経済的な苦しさから自殺者も大量発生しているのだが、竹中はこういうことを知らないのだろうか。それとも、知っているけど完全に無視しているのか。どう考えても後者だろうな。サラ金のグレーゾーン撤廃を「天下の悪法」とか言ってるし、教条主義的な市場原理主義もここまで来ると、正直不快感を覚える。あと、竹中平蔵と幸田真音は「同一人物じゃないか?」と思うぐらい全く同じ考え方であり、意見が対立することはほんの少しもなかった。対談ではあるが、事実上一人でしゃべり続けているようなものである。こういう対談は読んでいて気持ちが悪い。