リゴレット
パルマ王立歌劇場ライヴ映画 2008年
ヴェルディ生誕200年記念上映
レオ・ヌッチ リゴレット
ニーノ・マチャイーゼ ジルダ
フランチェスコ・デムーロ マントヴァ公爵指揮 マッシモ・ザネッティ
パルマ王立歌劇場管弦楽団・合唱団
映画監督 アンドレア・ベヴィラクァ
演出 ステファノ・ヴィッジオーリ
ヴェルディのオペラには惹き付けられる、アリアやデユエット、三重唱、四重唱、合唱のメロディがいい、そして悲劇を掘り下げ人間が翻弄される運命をドラマチックに炙りだす
このリゴレットもその例に漏れない、宮廷で公爵に使える道化師リゴレットは毒舌を他の貴族たちにふるう余りに皆から反感を買ってしまう、一人娘のジルダを情婦と間違われ、かつ彼女は公爵から言い寄られ誘拐される、
だが公爵のプレイボーイぶりは”女心の歌”に顕されるように女をえり好みしない、ジルダもしょせんは公爵にとってはそんな女たちの一人に過ぎなかった、それを知ったジルダは悲しむがどういう訳かマントヴァ公爵を憎む気になれない、それどころか愛し赦してしまう、
一方娘の貞操を奪われたリゴレットは復讐心に燃え彼を殺し屋に殺してくれと頼む、だが、悲劇が起こった、殺されたのは自ら公爵の身代わりになったジルダの方であった、リゴレットは自分に投げかけられた呪いの餌食になったことを思い出して崩れ落ちる
原作はヴィクトール・ユーゴーであるが、モーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」を思い出してしまった、愛娘のドンナ・アンナの貞操を奪われて劇昂した父親である騎士はドン・ジョバンニと決闘し逆に殺される、騎士の亡霊がジョバンニを地獄へと引きずり込んで復讐を果たすのだ、
だが、このジョバンニは放蕩の男でどんな女にも手を出す、しかも、おかしなことに女たちから慕われさえすれ、嫌われることはない、リゴレットのジルダこそドンナ・アンナであり、ドンナ・エルヴィーラである、ドン・ジョバンニでは父親は殺され亡霊となったが、リゴレットでは父は死なず娘が死ぬ、
だが、彼女は公爵を愛して犠牲になって死ぬことに価値を見いだした、
幸せなのは関係した女たちから愛されるジョバンニでありマントヴァである、
何か腑に落ちないが日本の光源氏もその類だ、彼らは女性の心を虜にする魔法をもって生まれたに違いなく、大勢の男たちの憧れというべきであろうか
レオ・ヌッチ、ニーノ・マチャイーゼ、フランチェスコ・デムーロ 、いずれも素晴らしかった
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