Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

森瑤子の帽子 島崎今日子著(幻冬舎)

2019-06-08 17:40:31 | 読書
1977年版画家の池田満寿夫が芥川賞を受賞したニュースを聞いて、芸大出身でヴァイオリンを弾く音楽家(挫折したが)が小説を書いてもいいんだと”情事”を書き翌年すばる文学賞を受賞、センセーショナルに登壇した。ハンサムなイギリス人の夫と三人の娘の良き妻、良き母とならんとして必死に努力し、しかし作家としても疎かにしたくない。上品ぶり知識をひけらかしているけれど温かく、お洒落でいながら素朴、華やかでいながら孤独と言う大人の要素が詰まった小説を立て続けに上梓した。美人じゃないけれど(自覚していた)全てにおいて格好良く生きたい。夫の欲求を満たし、しかし一つだけ仕事より家庭の団欒を望んだ夫の望みには応えられず、カナダに島を買い豪華なクルーザーや車を与え与論島に別荘を持ち…と代償を与えた。そして14,5年の間に100冊の著作を残し52歳の若さで逝った。ストレスに溺れた癌だった。森瑤子を知って悲しくて悲しくて…たまらない。もっと気楽に生きられなかったのか?(今の自分にも言いたい事、解っています)。
あの正反対であろう佐野洋子(百万回生きた猫)と交流があったとは驚いた。佐野洋子は私は高校で一緒に生徒会活動をした同級生。ユニークでスカートの裾がいつも解けて垂れていた。森瑤子は何か自分にないものを佐野洋子に見たのかも知れない。