Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

晩鐘 佐藤愛子(文藝春秋)

2019-04-11 20:45:30 | 読書
佐藤愛子の私小説です。彼女が面白おかしくかいた老年の本は大体予想が付くので読まない。しかし長編小説はこれが最後と聞いた。彼女の”血脈”は面白かったので”晩鐘”も…と思った。彼女の夫が誰か、全く知らなかったが財産家のお坊ちゃんだったのですね。どうにもならない箸にも棒にもかからないような男、佐藤愛子だから少しは一緒に居られたのかもと思う。借金をしまくってのらりくらりしていても何処か憎めないような男。佐藤愛子は何でも笑い飛ばして達観し…こんな性格になりたいとつくづく思った。だから”九十歳何がめでたい”まで生きられるのでしょう。新聞連載の本は期間を長引かせるために繰り返しが多いが、さすがベテランの筆は滑らかでありました。”老いた人間が耐えなければならないのは、肉体の衰えだけではない、言葉にはならない孤独感の重たさである事が、今わかりました”…と結んでいます。