旬刊・上原直彦 「浮世真ん中」の内『おきなわ日々記』」アーカイブ版

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旬刊・上原直彦「浮世真ん中」の内=【うちなぁ日々記】

2012-11-10 01:14:00 | ノンジャンル
 ※10月21日。秋晴れ・。
 第52回「ミス・インターナショナル世界大会in沖縄2012」の決勝大会が、那覇市奥武山武道館で行われた。沖縄大会は、37年ぶりの開催で69ヵ国・地域代表が参加。本土復帰40周年の記念行事という位置づけであった。結果、日本代表で佐賀県出身のモデル・吉松育美さん〈25〉が、1位に輝いた。同大会における日本人の優勝は初めてということだ。
 吉松育美さんは、報道関係者が選ぶ特別賞「ミス・フォトジェニックス賞」も受賞。吉松さんのコメント。
 「この大会は、日本人は優勝できないと言われていた。審査発表で“ミスジャパン!”とコールされた瞬間は、夢のようだった」。そして、
 「訪問した各地で沖縄の人に温かい声援をいただいたのが嬉しかった」
 そうコメントすることも忘れなかった。
 吉松さんには賞金200万円などが贈られた。

 ※沖縄初の美人投票。
 ミス・コンテストは、参加者を募って審査するのではなく、あらかじめ候補者を立てた後、一定期間をおいて投票し、選出していた。
 丁度100年前の明治45年〈1912〉、琉球新報社が主催した「美人投票」の主旨はこうだ。
 「いつも裃〈かみしも〉ばかり着けていては肩が凝る。時にはグッとくだけたことをやってみようではないか」。
 もちろん「部数拡張」の意図もあった。
 ただし、投票の対象になる“美人”は一般女子ではなく、県下の料亭、料理やの芸妓・舞妓・酌婦に限られていた。他薦自薦である。この紙上広告は大反響を呼び、那覇っ子をはじめ、色気づいた小学生、中学生までが、発表される投票の累計を注目していた。しかし、一方には「金持ちの道楽。かげに大金が動いている投票は即、排斥すべし」「醜業婦の提灯持ちをするとは何事ッ」と、反発する向きもあった。
 それでも正月から始まって3月に終了した投票総数は22万4069票。結果、最多得票8万448票を得て1等になったのは、那覇の有力支援者を持った遊郭〔辻・チージ〕の芸妓山桝カメ。本土から渡ってきた大和芸者〔ヤマトゥゲイサ〕33人、地方料理屋の芸妓、酌婦を押さえての堂々たる1等だった。辻遊郭からは161人が立候補していたという。
 1等の山桝カメには、ダイヤモンドの指輪と賞金50円が贈られた。
      

 しばらく前の話。
 本土の芋の産地で知られる某県某所で名産の芋をPRするために「ミス・芋娘」コンテストを実施したが、主催者側に強制されて渋々手を上げた2人のみで、一般の応募はなかったそうな。芋侍、芋野郎、芋姉ちゃんなどという芋に対するイメージがよくなかったのか。若い女性のプライドが名乗りを控えさせたのだろう。
 この例をパクッて、沖縄の某村の祭りの企画に「ミス・ぶす」なるものを乗せたが、女性企画員の猛反対があって、企画倒れした例がある。本音のところで「自分はブス」と思っている女性は、ひとりもいないのだろう。
 ところで。
 ミス・インターナショナルのテレビでの発表を古女房と観ながら、
 「いつの世も美人は得だなぁ」
 と、つぶやいたことだが、古女房はなぜかそっぽを向いて機嫌を悪くした様子・・・。
 外はぬけるような秋晴れ。わが家の中には秋風が流れこんできた。