先週封切られたジョニー・デップの映画「MINAMATA」。
今日30日に見てきました。
今日30日に見てきました。
緊急事態宣言は今日まで、明日から映画館の入場制限がなくなるので、その前に行っとこうかなと思って。(でも明日なら1日だから安く見られたんだって。知らなかった。)
平日の夜だからか、元々人気のない映画なのか、10人も入ってなかった。「水俣病」ってことで重そう、暗そうって感じなのかな?ジョニー・デップなんだけどなー。残念。
特殊メイクしてるとはいえ、ジョニー・デップはいいおじさんになったなー。
昔(20年以上前)、大好きで出演作を色々見てたけど、久しぶりにジョニデ満喫しました。やはりいい役者さん!
ビル・ナイも良かったね。
撮影は日本ではなく東欧(セルビアとモンテネグロ)でやったらしいので、どこか謎な場所での物語のようだったけど、世界的な作品だからそれはそれで良いよね。
冒頭の海沿いを走る列車の俯瞰シーンだけは熊本で撮ったのかな?と思いましたが。(オレンジ鉄道が最後のクレジットに出てきたから)
でも、日本家屋の中の様子やデモ、座り込みの様子など、美術さんたち(みな東欧の人たち!)はいい仕事してたと思う。日本人としてみていてもしらけちゃうような勘違いなど全くなかった。これはすごいこと。
日本人キャストもとても良い芝居をしてました。
真田広之の熊本弁満喫しました(字幕なしで全国の皆さんわかったのカナ?)。國村隼もいつもながら良かった。
浅野忠信のところだけ妙にドキュメンタリータッチだった。
なんでだろ??
アイリーンも良かった。
はじめてみた女優さんだったけど、美しくて強さもあって。
あの映画は一応ユージーンスミスとアイリーンの物語なんでしょうね。こちらは水俣の話と思って見てたけど。アイリーンさんは、この映画にも随分関わってたらしいですね。
ここからネタバレします。
未見の方はご注意ください。
細かな違和感を言うのは野暮かな。
蝉が鳴いてるのにみんな晩秋のような服装だったり。昭和40年代の水俣の庶民の家でウイスキーが簡単に出てきたり。子どもたちがサッカーしてたり(そこは、野球だろ!みたいな)
ちょっとそういうことはあったけど、本筋とは関係ないので拘泥しないほうが吉。「水俣」が舞台ではあるけれど、「MINAMATA」という普遍的なテーマを描いた地球的な作品だと思えば、細かなことはどうでもよい。
一つだけ、本筋に関係ある違和感としては、ユージーンたちが病院に潜り込んで、会社の病院側の隠してあった資料を見つけるところ。
え?ほんとに??
映画的な脚色なんだろうと思ったけど、日本で作ったらあんなふうな脚色は無理だろうな(それとももしかして事実なのだろうか??)
前に水俣裁判の記録の本で、会社側の医師の記録も読んだ覚えがあるけど、実際はどういう経緯で明らかになっていたのだろうか?
もう一度読み返してみよう。
映画見ながら、この映画がジョニー・デップによって撮られた意味を考えてた。
映画としてはそれなりに盛り上がるところもあり、起承転結のカタルシスもあるように作られてるんだけど、でも消化不良で終わった。
それは水俣病はもちろん、環境破壊とそれで苦しむ人々の悲劇は全然終わってないってことが、この制作陣にもわかってるから、スッキリさせてくれないんだろうと思った。
終盤「勝訴!」っていうシーンがクライマックスとして扱われてるのだけど、そのあとすぐに
「裁判では想いは晴れない。本社へ行こう!」というような横断幕が映し出され、そうそう、これでは全然終われないんだ。と思った。
実際水俣病裁判はあれからずっと続くし、今も解決してないのだもの。
でもあの横断幕、裏から撮られてて読みにくかったし、あれ翻訳ついたんだろうか??(真田広之の台詞でも、戦いは続く!と言ってたけど、あれはちょっとわかりにくかったかも。)
最後に、
全体的に低予算な感じだったけど、演者の演技が素晴らしかった。
ジョニー・デップの情熱かな。
日本人としたら、ジョニーが水俣を取り上げてくれたことだけでも意気に感じて頑張っちゃうだろうと思う。そのあたりのチームワークの好影響を感じた。
そしてその根底には、「今」も続いている環境破壊への怒りや、何とかしなければ!という思いが強くあったのだろうと思う。
それと、「写真」ってすごいんだなと。ほんとにすごい写真をみると、それはわかるもんなんだな。ただシャッターを押せばだれでも撮れると思ってたことを反省。
水俣の話だけど、水俣に限った話ではない。
MINAMATAの映画。
おすすめします。