ベルグレービアの醜聞-1と、ベルグレービアの醜聞-3の訳でよくわからなかったことを、前にも質問したことのある、大学の英文学の先生にメールで質問してみました。お返事が返ってきたんですが、すごく勉強になったのでここに転載します。英文学の授業でこんなことするんだったら楽しそうかも。
赤文字:本文
青文字:私の和訳
灰色文字:質問内容
■質問1
依頼人:We are prepared to offer any sum of money you care to mention for the recovery of these files.
「我々は、金ならいくらでも君が望む額を出す用意がある、これらのファイルを取り戻してくれるなら。」
※ここのcareがwantに近い意味なのは分かるのですが、mentionをどう意味をとればいいのかよくわかりません。you care to mention の部分はこれでヒトまとまり?「(希望の報酬額を)口に出して言いたいと思ってる」ということでしょうか?この理解であってますか?それとも、「money you care 君が欲しいと思う額」「to mention for~ 書類奪回に言及する」は別々の塊でしょうか??
money の後に目的格の関係代名詞が省略されていて、"you care to mention"の部分が「関係節」として "any sum of money" を修飾しています。"care to mention" はわりとワンフレーズで使われるようです。たとえば "Inequality is a
factor in almost any social ill you care to mention." という用例があります。
「不平等はおよそ思い当たるあらゆる社会悪の要因である」というような意味です。
「care to +動詞原形」で「~したい」ですから、 "you care to mention" は、本来「あなたが言及したいと思う」という意味のはずですが、この場合は「any ~ you care to mention」の形をとることで、「念頭に浮かぶあらゆる~」、「思いつくどんな~でも」といった意味で使われているのです。
上のセリフは、「頭に浮かぶどんな金額でも言ってくれ。その通り用意する」というニュアンスなのではないでしょうか。
■質問2
CARTER:I think he’s a suspect.
私は彼を容疑者だと思ってるぞ。
SH:Pass me over.
※pass 人 over で無視するとか除外するという意味が辞書にあるけど、ここでは違う気がするし、だと、普通にpassの意味でそれが通り越してくるイメージなのでしょうか?「僕にパスしてくれ」的な?しかしそうなると、何をover(超えて)?という疑問がわいてきます。このあとにジョンが「わかった」とこたえてるから、ジョンにカーター警部との会話をこっちによこせって言ってるのでしょうか?
「pass ~ over」で、「~を渡す」という意味です。たとえば "Shall I pass the papers over to the student?" (プリントを生徒たちに配りましょうか)というように使います。"over" は「向う側へ」というような意味の副詞で、渡す相手までの間にちょっと距離 があるようなニュアンスを生み出します。
ここで面白いのは、ホームズが「自分を向うへ渡せ」と言っていることです。これは通常ならあり得ない表現で、普通の状況で "Pass me over." と言えば「放っといてくれ」という感じです。しかしこの場合、ホームズはワトソンが抱えている端末の中に 「入って」いるので、その端末ごと自分を相手(カーター)に渡せ、という意味で言っているのです。
■質問3
SH:Up a bit! I’m not talking from down here!
少しあげろ!僕は下からは話していない。
※難しい事いってないけど、ここもよくわからない。
「話していない」というのは「話すつもりは無い」っていうことかしら?
これはおっしゃる通りです。現在進行形は、ごく近い未来の自分の行動予定や
意志を表し、「~するつもりだ」という意味に用います。
むしろ興味深いのは、この "from down here" がもっているニュアンスです。
たとえば失った恋人を想う(らしい)歌に次のようなフレーズがあります。
I could only look up you from down here
I wanted to fly up and touch the sky
どうも "from down here" は、手の届かない高みにあるものを見上げて憧れているような場合によく使われる表現のようなのです。上のセリフの場合も、英国人であればぱっと思い浮かぶようなもとネタがあるのかもしれません。
面白いですね!
pass me overは、あのスカイプで話しているシチュエーションならではのセリフだったんですね!!
赤文字:本文
青文字:私の和訳
灰色文字:質問内容
■質問1
依頼人:We are prepared to offer any sum of money you care to mention for the recovery of these files.
「我々は、金ならいくらでも君が望む額を出す用意がある、これらのファイルを取り戻してくれるなら。」
※ここのcareがwantに近い意味なのは分かるのですが、mentionをどう意味をとればいいのかよくわかりません。you care to mention の部分はこれでヒトまとまり?「(希望の報酬額を)口に出して言いたいと思ってる」ということでしょうか?この理解であってますか?それとも、「money you care 君が欲しいと思う額」「to mention for~ 書類奪回に言及する」は別々の塊でしょうか??
money の後に目的格の関係代名詞が省略されていて、"you care to mention"の部分が「関係節」として "any sum of money" を修飾しています。"care to mention" はわりとワンフレーズで使われるようです。たとえば "Inequality is a
factor in almost any social ill you care to mention." という用例があります。
「不平等はおよそ思い当たるあらゆる社会悪の要因である」というような意味です。
「care to +動詞原形」で「~したい」ですから、 "you care to mention" は、本来「あなたが言及したいと思う」という意味のはずですが、この場合は「any ~ you care to mention」の形をとることで、「念頭に浮かぶあらゆる~」、「思いつくどんな~でも」といった意味で使われているのです。
上のセリフは、「頭に浮かぶどんな金額でも言ってくれ。その通り用意する」というニュアンスなのではないでしょうか。
■質問2
CARTER:I think he’s a suspect.
私は彼を容疑者だと思ってるぞ。
SH:Pass me over.
※pass 人 over で無視するとか除外するという意味が辞書にあるけど、ここでは違う気がするし、だと、普通にpassの意味でそれが通り越してくるイメージなのでしょうか?「僕にパスしてくれ」的な?しかしそうなると、何をover(超えて)?という疑問がわいてきます。このあとにジョンが「わかった」とこたえてるから、ジョンにカーター警部との会話をこっちによこせって言ってるのでしょうか?
「pass ~ over」で、「~を渡す」という意味です。たとえば "Shall I pass the papers over to the student?" (プリントを生徒たちに配りましょうか)というように使います。"over" は「向う側へ」というような意味の副詞で、渡す相手までの間にちょっと距離 があるようなニュアンスを生み出します。
ここで面白いのは、ホームズが「自分を向うへ渡せ」と言っていることです。これは通常ならあり得ない表現で、普通の状況で "Pass me over." と言えば「放っといてくれ」という感じです。しかしこの場合、ホームズはワトソンが抱えている端末の中に 「入って」いるので、その端末ごと自分を相手(カーター)に渡せ、という意味で言っているのです。
■質問3
SH:Up a bit! I’m not talking from down here!
少しあげろ!僕は下からは話していない。
※難しい事いってないけど、ここもよくわからない。
「話していない」というのは「話すつもりは無い」っていうことかしら?
これはおっしゃる通りです。現在進行形は、ごく近い未来の自分の行動予定や
意志を表し、「~するつもりだ」という意味に用います。
むしろ興味深いのは、この "from down here" がもっているニュアンスです。
たとえば失った恋人を想う(らしい)歌に次のようなフレーズがあります。
I could only look up you from down here
I wanted to fly up and touch the sky
どうも "from down here" は、手の届かない高みにあるものを見上げて憧れているような場合によく使われる表現のようなのです。上のセリフの場合も、英国人であればぱっと思い浮かぶようなもとネタがあるのかもしれません。
面白いですね!
pass me overは、あのスカイプで話しているシチュエーションならではのセリフだったんですね!!