キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

「未来への大分岐」斎藤幸平編

2021年03月17日 | ☆読書


斎藤幸平氏の対談集。
2019年の本。

これも100分 de 名著を見た後に図書館に予約しておいたのですが、やっと順番が回ってきました。 マルクス・ガブリエルら3人の識者とのかなり刺激的な対談(というかインタビュー?)です。哲学や社会学、経済学の最先端の人名や考え方がたくさん出てくるので、正直そのテクニカルタームについて行くことができず、読むのにはなかなか骨が折れました。

こういう本は自分の関心事にどのくらいシンクロするかによって理解度が変わってくるんだろうなと思います。現在の私には第2部のマルクス・ガブリエルとの対話が一番共感し、勉強になりました。


例えば、幼い頃から哲学的思考を訓練するということが人類をもっと幸せに導いていくはずだという主張や倫理的リテラシーを99%の人が持つ社会がどのようなものであるかという話にはかなりハッとさせられました。
自分自身を振り返っても哲学がどのように役に立つかということが全くわからないまま、「哲学なんて頭の中で考えをこね回してるだけだ」というような感覚がずっとありましたので、大変反省しているところです。
哲学的思考訓練をほとんど積んで来なかったために、この歳になるまで世の中の事象について自分の態度を決められず困っています。かなり遅きに失した感はありますが、今こういう本を読みたくなっているのは、自分自身が哲学的思考の欠落を実感しているからにほかなりません。

例えば日本人はほぼ100%の人々が読み書きができますが、それは日本という社会が読み書きができるという能力に非常に重きを置く社会だということだからだと言えるのだそうです。
つまり哲学的思考能力に重きを置く社会であれば、人々がほぼ100%哲学的思考ができる、つまり善悪の判断ができる社会になるだろうということです。そうすれば今ネットにはびこっているヘイトスピーチも、あるいはポピュリズムに対してももっと良い理解や選択が可能になっていくのではないかと言うのです。

なるほど。



そういえば、2年ほど前からNHKで特集されているマルクスガブリエルの「欲望の資本主義」シリーズで彼がニューヨークへ行って色んな人と語り合うという回がありました。
その中で彼に同行していた日本人の若者がいて「この人誰だろう」と思っていたんです。
調べてみたら斎藤氏でした。


他の二人の対談者の話もそれぞれ興味深し。
特にマイケル・ハート氏との「コモン」の話はズバリ私の興味の範囲で刺激的でした。ベーシックインカムも。
ところでウォール街占拠って何?
全く興味なくて知りませんでした。

第3部のポール・メイソン氏との対話については、頭がついていかなかった。また時間が経ったら読み返してみたいと思います。






ところで、
マルクスガブリエルの本みたいにして売ってるんですね。


「悟り体験を読む」大竹晋著

2021年03月09日 | ☆読書


「大乗仏教ってなんだろう」の一環で手にとった。これは比較的読みやすかった。近世近代の大乗仏教での悟り体験を集めた本。(平塚らいてうの悟り体験も載ってる!)
悟り体験を書き残したり詳しく人に話したりするというのは、ここ100年くらいのことらしく、記録はそれほど多くないらしい。
ただ集めただけでなく、学者さんらしく「大乗仏教の悟りとは何か?」という論が展開していて面白かった。

大乗仏教の悟りは釈迦の時代の悟りとは違うみたい。現代のテーラワーダでの悟りはどんなものなのだろう?


読んでいくと、大乗仏教の悟りというものが個人的な体験ではあるものの、ある程度パターン分類できるものだということがわかる、さらに「精神異常」とそっくりな面もあるのだと気がつく。実際、修行中に狂ってしまう人もいたらしい。

いずれにしても私は悟ったりできないだろうし、相当頑張って参禅しても精神異常をきたすのが関の山という予感しかないから、試みないようにしよう。

それでなくても現代人は知識・情報が多すぎて悟りから遠ざかり続けているという。バランスを大きく欠いた現代人は頭とは別の感覚をもっと膨らましていかないと悟れないのだろう。悟りを目指さないにしても、このままでは苦しみが増すばかりだろうから多少の瞑想はやってみたいなと思った。




「大乗非仏説をこえて~大乗仏教は何のためにあるのか」大竹晋著

2021年03月02日 | ☆読書
佐々木閑先生の大乗仏教の本に出てきた大竹晋さんの大発見の話に感銘を受け、調べたらこの先生(今は仏典翻訳家だそうです)も同じ大学の方。ご縁を感じて何冊か本を借りてきました。




「宗祖に訊く」は現代日本に残る伝統的仏教十三宗の宗祖たちが一堂に会するシンポジウム(!)の形式で進む本。
なかなか面白い試み!と思ったのですが、各宗祖たちの言葉は彼らが残した文献に当たっているため現代語訳になっていてもなかなか難しく、今の私のレベルでは読み進むのは無理そう。そもそも十三宗の違いがよく理解できていない。


そこで、今の私の一番の関心事「大乗仏教とは何か?」ということについてヒントがあるかもと思って「大乗非仏説をこえて」を先に読むことにしました。




この本もなかなか手強いです。「一般向けに書いた」とありますが、論文仕立てになっておりなかなかの強面。

それでも内容は非常に面白く、前半は大乗非仏説論に対して日本の大乗仏教側からの反論を検証しているのが興味深く読み進めました。(そしてどれも論拠に乏しいと論破)

後半は、これからの大乗仏教の存在意義を扱うパート。筆者の筆に力の入ってるのがわかります。全体的に骨太で読むのにエネルギーが必要でしたが、筆者の考えも十分伝わる興味深い本でした。
わざわざ、カフェに出かけて(時間をとって)じっくり読みました。こういう難しめの本は家にいるとなかなか読めませんので。



「天才 富永仲基」独走の町人学者 釈徹宗著

2021年02月20日 | ☆読書


読みました。
面白かった!
お坊さんyoutuberの動画を見ていくうち、ドイツ人のお坊さんがこの本を紹介するものに行き当たりました。

釈徹宗著『天才 富永仲基 』について、2020年10月2日

図書館で取り寄せて、早速読み始めたらめちゃ面白かったです。
釈先生の本は難しい言葉もバシバシ出てくるのだけど、語り口に親しみがあるので読めちゃいます。


【公式の本の紹介文】

江戸中期、驚くべき町人学者が大坂にいた――。醬油屋に生まれ、独自の立場で儒教や仏教を学ぶ。主著『出定後語』では、世界に先駆けて仏教経典を実証的に解読。その成立過程や思想構造を論じ、結果を導いた「大乗非仏説論」は、それまでの仏教体系を根底から揺さぶり、本居宣長らが絶賛するなど、日本思想史に大きな爪痕を残した。生涯独立不羈を貫き、三十一歳で夭折した“知られざる天才”に、僧侶にして宗教学者の著者が迫る。

要するに、漢字のお経しか手に入らなかった時代に、経典の成立の順序を明らかにし、「大乗非仏説論」~大乗仏教のお経はお釈迦様の(じきじきの)教えではない~の証拠まで突き止め
た天才がいたという話です。

日本の仏教史を知ってる人の間では富永仲基は有名人なのだと思いますが、私は全然知りませんでした。

実は「大乗非仏説」ということばも、初めて知ったのです。
そのくらいの知識である私でも、この本は面白かったし、釈先生の解説のおかげで仏教の歴史も少し理解が進んだと思います。



芥川賞受賞作掲載の文藝春秋

2021年02月13日 | ☆読書
芥川賞受賞作が載る時だけ、
たまに買う文藝春秋。


買って読みました。
受賞者のインタビューも載っています。
インタビューに出てくる「影響を受けた国語の先生」が、私の同級生なので仲間内で今回特に話題です。

教え子が芥川賞とって、さらにインタビューで自分の授業のことをあれこれ語ってくれるなんて、国語教師冥利に尽きるんじゃないかなーなんて想像してます。
すごいな。




文藝春秋の目次ってこういうふうにカラーで、折り込みになってます。
これを見て思い出したことがあります。
小さい頃祖父母の家に行った時、本棚に子供の読むような本がなくて、引っ張り出して眺めていたのがこの目次の部分です。イラストがあったからでしょうね。文藝春秋だったのかはわかりませんけど。多分小学校に上がる前

何十年も忘れていましたがこの目次のページを見てその時の感覚が蘇りました。
あでもリボンの騎士とのらくろみたいな漫画が本棚にあったような気もします。
記憶があやふやですけど。



人新世の「資本論」斎藤幸平著

2021年02月01日 | ☆読書


SDGsは現代のアヘンだ。
エコバッグやマイ箸を持ち歩くことだけで満足してはいないか?

先月NHKの100分で名著に登場した先生の本。
番組はこの本の内容を紹介するような流れ。

図書館に予約したものの、凄い待ち人数。
新聞やネットやテレビなどで耳にして気になった本は図書館に予約入れてるが、話題の本はなかなか順番が回ってこない。

そこで、土曜日の散歩でとおりかかった本屋で購入。
そこでは週間ベスト2位(学術部門で)。
売れている!
ちなみに1位は「スマホ脳」。

2日で読了。
示唆に富む本なので時々は音読して夫に聞かせては話し合ったり。



このほんの著者、斎藤氏は34歳。
新進気鋭っていうのかしら、
切れ味が鋭く、非常に面白く読めた。

こういう本を読むときに心に浮かぶ
「だから私達はどうすればいいの?」
と言う疑問にもしっかり答えを出してくれる。

「行動するための本」だ。


難しいことも書いてあるけれども、だいたいは我々普通の人間に向けて書かれたメッセージでとても読みやすく心にひびく。
著者の情熱を感じるのだ。

買ってよかった。

資本主義システムがもう人々を幸せにしないことが明らかだと感じている昨今、この本がベストセラーになっていることに希望を感じる。


昨日の新聞記事(朝日新聞有料版)

1996エベレスト遭難 ドキュメンタリー番組(アメリカ)

2021年01月26日 | ☆読書
1996年のエベレスト遭難事故の10年後に作られたドキュメンタリーを見ました。当事者(もちろん全員ではない)のインタビューで進んでいきます。

本を2.5冊読み、映画もみたあとなので、登場人物たちが容易に見分けられ、
「あーこの人があの人なのか!」
という感じで感情移入できました。字幕は自動生成の英語しかないから何言ってるかはそんなにわからなかったけど。

台湾登山隊の「マカルー高」の話には初めて触れることができました。(これまでの本では批判的にあつかわれていたり、インタビューしてなかったり)彼の中国語が懐かしかった(台湾ロス)スコットフィッシャーの最期については彼の証言が一番生々しい…。


公式サイトです。
非常に詳しいことが載っています。インタビューの文字起こしもあって親切!これからちょっとずつ読んでいきます。


「デス・ゾーン8848M」アナトリ・ブクレーエフ著

2021年01月18日 | ☆読書


今読んでる本。
これまた面白くて、どんどんひきこまれています。(たくさん人が亡くなってる遭難事故なので面白いというのはちょっと語弊がありますが)
1996年大量遭難事件の当事者(ロシア人ガイド)が振り返った本です。
も読みましたが、人により立場も見方も違うことに気付かされます。
登山なんかしないのにこんなにヒマラヤの本を読んでしまうのは、生と死の極限が描かれているからなんでしょうね。


1/19 読了
通勤電車の中で読みながら泣いてしまった。
ラストの邂逅はまるでおとぎ話。
映画のラストシーンのようでした。

「空へ エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」では「ガイドの務めを果たしていない」と徹底的に批判されていたブクレーエフ氏ですが、この本を読むと彼の誠実さや登山家魂を素直に感じることができ、「空へ~」の記述が眉唾に感じられます。もちろん誰しも神の視点には立つことは不可能なので、「空へ~」の著者にも言い分があるとは思いますが。

1990年代にエベレスト登山が商業化され、それによっていろいろなひずみが生じ、ブクレーエフのような従来型の登山家の精神が通用せず、非難される・・・この遭難事件はそのひずみの現れだと思います。

今はもっともっと商業化されていて、頂上付近での渋滞などもニュースになっていますし、ごみ問題も深刻らしいです。アジアの最貧国の一つネパールの貴重な外貨獲得源でもあり、この問題も資本主義の問題につながっていきます。

でもこの本の中で読み取れるブクレーエフの人柄、山への思い、人への敬意には素直に感動します。



いまNHKでやってて録画してみてる「グレートヒマラヤ」に登場する貫田宗男さんもこの本に出てきます。エベレストほどの山にかかわる人は世界でもそうそう多くはなく、つながっているのですね。番組の中で重廣恒夫さんや松田宏也さん(ミニヤコンカで奇跡の生還を果たした人)に遭遇する場面が出てきましたが、本で読んだ「すごい人」に続々出会うのがヒマラヤなんだな。。(いえ、私がそこに行ったとしても会えないと思いますが)




「空へ エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか」

2021年01月03日 | ☆読書

去年のうちに読了した本。
ヒマラヤ登山のノンフィクション3冊目。

これは、1996年に実際に起きた大量遭難事件の当事者(生還者)が書いたレポート。
ヒマラヤ登山の技術的な面だけでなく、利害関係なども含めてとても複雑な状況を理解する助けになった。エベレスト登山と言っても聖域ではなく、下界の社会と変わらないこともわかった。

この本を書いた人は、もともとジャーナリストでエベレスト登山のことを記事にするために登山隊に入った人。図らずもこの遭難事件の当事者となったため、体験に加えてさらに色々な取材を重ねてこの本を書いたそう。迫力があった。

この遭難事件には関係者が多く、当事者の書いた本をあと2冊あるらしい。
それも読んでみたいと思います。


この1996年の遭難事件は2回映画化されている。新しい方の映画がネットでレンタルできたので見てみた。2015年の作品。 話は割合にシンプルになっていて本の中身と違うところもあったけれども、実際の登山の様子などが映像で見れるのは分かりやすかった。





お正月休みの本

2020年12月27日 | ☆読書


図書館でお正月用の本を借りてきました。
退屈しないようにと思って手当たり次第に。世田谷区の図書館は一人15冊まで借りられるようになって助かります。

ヒマラヤ登山系の本3冊。
仏教入門系の本4冊。
岡本綺堂半七捕物帳系4冊。
「昔ばなし」大学の課題図書系2冊。
背表紙が読めないくらい薄い本は岩波ブックレット「年表昭和・平成史-1926-2019」です。

おおむね私の今の興味の範囲と言えます。
相変わらず小説は読まないけど。
昔話もどちらかというと民俗資料のような感覚で読んじゃうし。
仏教系の本は数多く出ていますが、玉石混交。
(本が悪いのではなく、私の興味にこたえてくれる本でないケースが多いということが大きいですが)今回のチョイスもあまり期待できないかな?
また感想書きます。

今年はコロナ禍でイベントが少なかった分、例年より本を読んだかもしれません。

「そして謎は残った」―伝説の登山家マロリー発見記

2020年12月23日 | ☆読書

図書館に本を返しに行ってヒマラヤ関係の本があるかなと登山コーナーに回って見つけた本です。 
そもそも登山に興味がなく、このマロリーという人のことも知りませんでした。先日読んだ、夢枕獏の「エヴェレスト〜神々の山嶺」という小説の中に大きく取り上げられていて知ったのですが、この人は「そこに山があるからだ」と言った方だったのですね。
その言葉なら知ってる!


読み始めてすぐに「大当たり!」な本だと分かりました。

こういう本を読みたい!
こういう本が読みたかったんだ!

面白くて読み終わるのがもったいないほどでした。


 私と違ってマロリーという登山家の事をご存知ない方は少ないかもしれませんが、説明をすると…


 世界最高峰エベレストに人類が初登頂を果たしたのは1953年のイギリス隊だとされていますが、それより30年前の1924年に、もしかしたら初登頂したかもしれないといわれてました。
 なぜかというと、1924年のイギリス隊のメンバーであったマロリーとアーヴィングの二人が頂上アタックに出かけたあと行方不明になったからなのです。その後遭難死ということになりますが、果たして頂上を踏んでから遭難したのかそれとも頂上にたどり着くことなく遭難したのかそれが長年の謎だったわけです。

 夢枕獏の小説にはそのマロリーが頂上アタックの時に持って行ったカメラの話が登場します。もし初登頂がなされていれば必ず写真を撮っただろうから、カメラさえ見つかればその謎が解けるというわけです。なかなかスリリングで面白い小説でした。

 一方、この本は小説ではなくノンフィクションです。

 1999年にマロリーとアーヴィング二人の遺体を見つけるためだけの調査隊が組織されました。二人を見つけることが出来れば(特にマロリーのカメラを見つけることができれば)、彼らが頂上にたどり着いたのかどうかの謎が解けるだろうというのです。ちなみに高度8000mを超えるエヴェレストのような山では、遺体は腐敗することがなく、かといって人力で下ろすこともできないため、遭難した人たちはずっとそのままなのだそうです。想像のつかない世界ですね。

 1924年のマロリーたちの登山の様子、それから1999年調査隊の登山の様子がたくさんの資料をもとに交互に語られ、非常に臨場感を持って読み進むことができます。

最後にどうなるかということはここには書かずにおきますが、タイトルにもあるとおり、すべてを解き明かすことはなかなか難しいものです。


 マロリーたちの遭難は75年前(今からだと100年近く昔)のことなので、ある意味考古学的な手法が用いられて調査が進みます。それは古代遺跡の発掘などにも似たロマンです。そして、その調査がマロリーの謎の魅力にとりつかれた数人の「個人」の情熱により成し遂げられたというのもワクワクするポイント。
 
事実の前にはフィクションは霞んでしまいますね。


ヒマラヤに思いをはせる「エヴェレスト~神々の山嶺」夢枕獏

2020年12月14日 | ☆読書
を読んで以来、「ヒマラヤ登山」に興味が出てきて、デスゾーンにも登場した夢枕獏氏の小説「エヴェレスト~神々の山嶺」を読んでみようと思った。
図書館で借りてきたが、なんと文庫本で1000ページ以上ある。

でもさすが人気作家の夢枕獏、とても面白くて2日で読み終わった。(休みの日に一日中読んでいた)夢枕獏って初めて読んだけど、かなりくせの強い作家さんですね。しつこいなぁ・・・・という感想。
とても面白いんだけど。
 
これまで登山というものに全く興味がなかったので、本を読んでいても具体的にどんなふうに登るのかイメージが難しい。さらにヒマラヤがどんなところなのか全然知らなかったので情景を思い浮かべることも難しい。
もちろん、そういう読者のために結構解説も入ってるから、まったくちんぷんかんぷんということはないのだけど、山の写真とか登山家の服装とかは写真で見ておきたいところ。

というわけで、この本が映画化されたのも見てみました。
なるほど、カトマンズってこんな町なんだ。
エベレストってこういう山なんだ。
ベスキャンプってこういうところなんだ。
とイメージがつかめました。
映画は正直原作とはかなり印象の違うものでした(ストーリーが追えない・・・ダメな脚本のお手本みたいな感じ)

 
以来、グーグルアースでヒマラヤの地図を見たり、地形を見たり、ベースキャンプに行った人のブログ読んだり、写真見たり、急にヒマラヤブームです。
テレビで「ヒマラヤ」っていう検索ワードで番組検索したら、NHKBSでヒマラヤ山脈を端から端までトレッキングするという番組をやっていたので、早速録画してみています。

雄大。
人々は氷河の削った谷(U字谷って地理で習った)に住んでいて、景色がとても独特。谷にへばりつくような段々畑。日本の景色とは全然違う。
ネパールは100くらいの民族からなっているのだそう。びっくり・・・。
エベレストのベースキャンプには、1週間歩いて行かないとたどり着けないらしい(ヘリコプターは別)。ヒマラヤの中はそんな風に歩いていくことしかできない場所がたくさん。アジアの最貧国の一つと言われますが、今どんどん中国の開発資本が入ってきているらしい・・・。地元の人にとっては良いことだと思いますが、きっとかなりの自然が破壊されてしまうでしょう。

2015年のネパール大地震のとき、ヒマラヤも大きな被害があったそうで、そのことを取り上げたドキュメンタリーもみました。
3000m上から土石流と雪崩が落ちてきて村を飲み込んでしまったらしいです。知らなかった。

初めて知ることがいっぱいで、ネパールに興味がわいています。
玄奘三蔵の天竺行ルートはヒマラヤ通るのかな?

調べてみた。
さすがにヒマラヤ越えはしてなくて、シルクロードからアフガニスタン回りだったみたい。

「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」 河野啓著

2020年11月30日 | ☆読書
「デスゾーン」


 2018年にエベレストで滑落死したひとりの登山家の軌跡を追ったノンフィクション。友人の書評と言うか読後感想をネットで読んで興味を惹かれ、その場で Amazon の Kindle(電子書籍)で購入した。今年の10月に出版された本で、開高健ノンフィクション賞を受賞したらしい。
 栗城史多というこの登山家のことは私は全く知らなかったのだが、滑落死のニュースが飛び込んできた2018年の5月、ネット上でかなり話題が出ていたので色々記事を読んだ記憶がある。かなり毀誉褒貶の激しい人だった。
 エベレストに8回挑戦しており、いずれもスポンサー企業あるいはクラウドファンディングで費用を集めての登山だ。そしてヒマラヤ登頂をネットで生中継(自撮りだったり)するといういわゆる「劇場型」登山が話題をよんだ。しかしその一方で、エベレストにチャレンジするほどの実力はないのではないか、彼の言っている「無酸素」あるいは「単独登頂」ということは嘘なんじゃないかなどという批判も早くから出ていたたようだ。自己啓発系のヒーローとしてもてはやされる一方で、ネット上などでは批判が繰り広げられ「炎上」も度々起こっていたらしい。私はその一連のことを彼が亡くなった時点からさかのぼって知っていくのだけれど、結局本人が亡くなってしまえば全ては闇の中となり明確な答えも得られずそれ切り忘れていた。

 この本の作者は栗城さんがまだ無名の頃、北海道のローカル番組で2年間密着取材していたTVディレクターで、10年以上前に取材は終わり彼とも関係が切れていたが、彼の死によりまた1から取材を始め、関係者一人ひとりに話を聞きこの本を書いたらしい。

 一気に読んだ。
 登山も、この登山家のこともよく知らないがとても引き込まれた。生前の彼をメディアで見たことがなかったので顔も知らないし、まるで小説を読んでいるような感覚があった。

 丹念に取材がなされているとは言っても、「半分だけ」の印象もある。親しい人ほど取材にはこたえていないからだ。作者の想像の部分も多い。さすがテレビ番組を作っていた人だとも感じた。小説のようだと感じたのもそのあたりのことが関係してるだろうと思う。半分の材料(それでも相当な仕事量だと思う)でこれだけのものをかいてしまうのだから。

 彼に関わった人たちはいろいろな「なぜ?」を抱えていたと想像する。直接知らなくても、講演会やメディアを通して彼を応援していた人、批判していた人も多いだろうし。この本でその人たちの「なぜ」が少し溶けるだろうなと思った。

「空白の日本史」本郷和人著

2020年11月11日 | ☆読書


予約していた本が届いたという連絡を受けて仕事帰りに図書館へ。
以前は月曜休みだったけど、今は開いてるんだよね。と思いながら…しかし、月曜は夕方5時閉館だった!残念。

すっかり本を読む気でいた私、図書館近くの古本屋の店先を覗く。
で、見つけたのがこの本。
著者の本郷先生は放送大学の番組で見てたことあり、語り口がわかり易かった記憶ある。面白く読めるかな?帰りの電車で読み始め、帰宅後も読み進め、翌日の通勤電車で読み、帰りの電車で読み終わった。読みやすかった。

歴史学者の視点から、歴史に「空白」が生じている部分にスポットを当てて論じてる。私なんて歴史の知識が穴だらけなので(高校日本史、鎌倉時代初期までしか履修しなかった)何が空白なんだかさっぱりわからないけど、そんな人にもよくわかるように展開する本だった。

資料が万能ではない。
歴史研究における「科学的」とはどういうことか?という話はとても興味深かった。また、「皇国史観」の誕生から成長の話も納得。歴史観もどんどん変化しているんだなー。

学校では統治者側からの歴史ばかりを教わってきてあまり深い関心を持てずにいた歴史だけれど、文字資料のない庶民の歴史なら興味がある。
庶民の歴史をあらわにしようとした石井進という研究者のことは知らなかったけど、今後機会があれば本を読んでみたい。




『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイアモンド著

2020年11月06日 | ☆読書
アメリカ大陸の先住民はなぜ、旧大陸の住民に征服されたのか。なぜ、その逆は起こらなかったのか。現在の世界に広がる富とパワーの「地域格差」を生み出したものとは。1万3000年にわたる人類史のダイナミズムに隠された壮大な謎を、進化生物学、生物地理学、文化人類学、言語学など、広範な最新知見を縦横に駆使して解き明かす。 


知り合いが読んでいたので、気になって読み始めた本。
図書館で借りたのだけど、予約人数が何十人と多かった。
むかしの本だけど、話題なのかな?

タイトルだけ見てたらきっと読むことはなかったと思うのだけど、まさに私が読みたかった本でした。

13000年前に人類に何があったか?
それは食糧生産を行うようになったことです。
農耕や家畜を飼うことなど、食べるものを育て始めた人類は、それからどんどん社会を変えてきました。でも、世界の文明の進度(?)には濃淡があり、それには地理的な条件が非常に重要なカギを握っていると、著者は圧倒的説得力をもって論じていきます。

翻訳の問題か、文章が固くて読みにくいのですが、それでも非常に面白かった!!



えええーっと思ったのは、いま太平洋の島々に広がる人びと、このルーツは台湾にあるという話。台湾にこんなに通いながら全然知りませんでした。
「オーストロネシア人」は遺伝子の分類で4つに分けられるらしいのだけど、台湾には4つすべてがあり(うち3つは台湾にしかない)、太平洋中の広範な範囲に広がる人々はすべて同じ分類の人々なのだそう。

今は、こういう研修はゲノムで進んでるのだけど、以前は言語学の分野で分類研修が進んでいたそう。で、その言語学の研究成果をゲノムが裏付けしているのだそうです。なんか、すごい・・・・。






高校生のころ、世の中に「人類学」という学問があると知り、漠然と憧れて大学へ進みました。いそいそと人類学の講義をとりましたが、当時の私にはなにがなんだか・・・・・???の連続で、結局人類学には進みませんでした。

読めと言われたレヴィ・ストロースとか難しすぎて全くページが進まなかったし、おそらく人類学を学ぶ基礎ができていなかったのだと思います。



それからン十年が経ち、やっぱりこの分野に惹かれます。
いまからもう一回学んでみよう。レヴィストロースにはまだきっと歯が立たないと思うけど、いまは解説書とか周辺書籍を読むという「ズル」も覚えたし、
人類の歴史の大ロマンを味わう楽しみと、今の自分がどう生きていくかについて、学ぶことができそうな気がします。





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