昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

小説「レロレロ姫の警告」改定版(6)誕生(2)

2018-01-09 07:17:14 | 小説「レロレロ姫の警告」改定版
 翌日、おじいさんとおばあさんが病院に行くと、あかちゃんは未熟児のための集中治療室に、他の赤ちゃんと一緒に保育器に入れられていた。
 
 窓の外から眺めると、ひときわ手足が細くてたよりない。
「あらまあ、管をいっぱい付けられて、だいじょうぶかしら・・・」
 おばあさんが心配そうにのぞき込んで言った。
「呼吸も弱いし、おっぱいも自力で吸えないし、しばらくは保育器のお世話にならないといけないみたい・・・」
 まだ病室にいるママに訊くと、普通のあかちゃんとかなり違うようだ。

「なに、最近の医療は進んでいるから、虚弱に生まれてもすぐ追いつくさ・・・」
 おじいさんは楽観的なことを言っていたが・・・。
 その一週間後、
「おじいさんも一緒に院長先生のお話を聞いてほしいんですって・・・」
 おばあさんから言われておじいさんも一緒に病院へ向かった。
「なんで私たちも呼ばれたのかしら? 電話してきた勝さんの声が上ずって変だったの・・・」
 
 勝さんというのはあかちゃんのパパのことだ。

 ・・・明らかにあかちゃんは異常な状態なのだ・・・
 おじいさんの中に葛藤が生じていた。
「すいません。お呼び立てして・・・。先生が身近な方にも聞いてもらう方がいいからと、おっしゃるものですから」
 ママもパパの後ろで申し訳なさそうに頭を下げている。
 看護師さんに従って院長室に入ると、4人は肩を寄せるようにして、椅子をがたがた言わせながら座り、何か書き物をしている院長先生の後ろ姿を見つめた。
 
 院長先生は、回転いすをぎしっと言わせて向きを変えると、ちょっとおでこに手を当てて一瞬顔を引き締めると、憂いを帯びた目をした。

 ─続く─  
         
 「もう終わりにしよう!」
 
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