昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

小説「レロレロ姫の警告」改定版(2)変身(2)

2018-01-05 06:48:58 | 小説「レロレロ姫の警告」改定版
 しかたがないから、今日もされるままにベルトで縛られて身動きできない状態で窓の外を眺めていた。
 
 とつぜん、排気パイプを両側に二本づつ付けた大型バイクが車の前を斜めにするするっと横切った。
 パパがあわてて急ブレーキを踏んだものだから、私は思わずのけぞった。
「バッキャロ! 危ないじゃないか!」
 パパがいつものわたしに対するのとは別な人格を丸出しにして怒鳴った。
 おかしな頭でっかちな仮面が後ろを振り返り、無機質な面から覗いた生きた目がニヤリとすると、ひとをバカにするようにバイクのお尻を振って走り去っていった。

「ザケンジャネエヨ!」
 我慢しきれないようにいつもとは別のパパが唸った。
「カッカしないの!」
 ママが宥めている。
 ・・・いつだったか、甲州街道でやはりお尻を振って走っていたバイクが、目の前ですっ転んで、あやうくパパの車が轢きそうになって冷や汗をかいたことがあった・・・
 
 ・・・なんで人はこんな挑発的な行動をするんだろう・・・
 ・・・自分の能力を超えた武器を手に入れると、余計な邪心が生まれるんだ・・・

「もたもたしてんじゃねえよ!」
 パパが車をスローダウンさせたら、今度は運転席の窓をわざわざ開けてキツネみたいな顔をした若い男が捨てぜりふを投げて、スポーツタイプの外車が走り去っていった。
 

 ・・・いったいみんな何をあくせくと急いでいるのかしら? 競争するように走るから気が立って、イライラして怒鳴りたくなるんじゃない? そして事故につながる・・・
 ・・・競争するなら専用のレーシングサーキットというのがあるんでしょう? そこでやればいいのに・・・
 
 ・・・ルールに則って、それが欲望を押さえきれない人間の知恵と言うもんじゃない?・・・
 ・・・普通の道路で競争なんかしないでほしいわ・・・

「最近の若い奴らはマナーがなってない!」
 パパが急にアクセルを踏み込んだ。
 パパの気持ちはまだ収まっていないようだ。
「ゆっくり行きましょう・・・」
 ママがいつものようにゆっくり、ふんわりと言った。

 ─続く─        

 北朝鮮問題、最悪の事態回避へ動く。

 ・・・五輪中の演習は見送りで韓米合意・・・
 
 ・・・板門店チャンネル再開・・・
 
 




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