昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

なるほど!と思う日々(227)笑腺

2012-05-25 05:29:01 | なるほどと思う日々
 桂文珍さんが大学で講師をされたことは有名ですが、その中から興味深いものがあったのでここにご紹介させていただきます。

 
 涙腺があるのと同じように、笑いの腺、笑腺というのがあるんではなかろうかと思います。人によって笑うポイントが違う。
 ・・・そこで笑腺の同じ人と結婚すれば幸せになれます。・・・
 実は私は結婚して二十五年になりますが、うちの家内とはそこのところで唯一いっしょですから、今日までやってこれました。

 以前、ニュースステーションという番組で、立松和平さんという作家が、四万十川からのレポートをやっておりました。
  
 立松さんの口調で)「四万十川の、上流に、足を、一歩一歩進めるとー・・・、ここは、生命(いのち)のみなもとです。川は、生命を、はぐくんで、くれるのです。川は、海へと、流れていきます。そして、川は、海と、一つになります。海はまた、空と、一つになります。そして、空からまた、雨となってこの大地を潤すのです。そして、この大地に、また、いのちの、息吹を、与え、命を、はぐくんで、くれるのです。どうですか、潮美ちゃん、川の中は?」と言うと、潮美ちゃんいう潜水の達人がいらっしゃって、川の中に潜って、「コー、カー(空気の音)、立松さん、今ヤマメが卵を産んでいます。クワー、見えますか? カー」(笑)
 そんな苦しいとこでしゃべらんでもええがな思いますな。それでもやるんですね。「コー、カー、立松さん、今ヤマメが卵を産んでいます。見えますか?」
 私は、どんな深いところだろうと思いまして、画面を見ますと。タンクが水より上へ浮いています(笑)、何じゃそれ! と思いながら、しかし、上からも見えるんでしょうけど、映像的に、画面を通すことで、これは面白い、そういう画面づくり、演出です。
 その時に立松さんが言います。「そうですか。ヤマメが、卵を、産んでいるんだ。新しい、いのちの、はじまりです」音楽が入る。
 いやあ、すごいなあ、上手やなあと思っているうちに、画面がポンと変わりましたら、そのヤマメを焼いていました(笑)。そこで私と家内は爆笑しました。
 そのあと、彼の言ったせりふが、もっと素晴らしかったです。
「必要以上に、とっては、いけません」(笑)あたりまえやそんなもん。思っていると、「では、この、川の恵みを、いただきましょう」
 うまいですねえ。必要以上にとってはいけないちゅうのは、仏教の考え方でしょう、おそらくね。無駄な殺生をしないようにということなんでしょう。わかっているけど面白い。そんな当たり前のことがギャグになるんですね。 
 そいで、ガブッと食べて、「うまい!」と、こう言いました。私は、ヘェー、この人は面白い。相当面白い、すばらしい、こんな笑えるレポートできる人ない、本人はその面白さに気づいていないのがもっといい、と感動しまして、「ああ、いいねえ」「よかったねえ」と二人でげらげら笑いまして、その日、うちの家内がお風呂に入りました時に、私は、隣の洗面台で、立松和平さんになってみました。
「どうですか、奥さん。お風呂は、一日の、疲れを、取って、血行をよくし、疲労を回復し、明日への、英気を養って、くれます。どうですか奥さん、お湯はわいていますか?」と言いますと、うちの家内は、頼みもしないのに、お湯の中へ顔を入れまして(笑)、「コー。カー(拍手と笑い)、いまガスで、お湯が、わいています。カー」(笑)
 あうんの呼吸というやつですな。たのみもしないのにそれをやってくれる。私の立松和平さんの真似にスーとつきあってくれる。面白さを共有できる。ウチの家内がお湯の中に顔をつっこんで、「クワー」と言ってくれた時に、ああ、幸せだなあと思いました。


 いい話ですね。
 ところで、三鷹の現役編集者の主宰する読書ミーティングに刺激されて、「作家と落語家の主宰する楽しい読書会」というのを、6月16日(土)14;00~17:00まで三鷹駅北口武蔵野タワーの会議室で立ち上げることになりました。
(定員30名、会費1000円・作家ははやしたかしさん、作品は銀河鉄道999のノベライズやシナリオ、童話など多数。落語家は三遊亭右左喜さん、1994年真打昇進、武蔵野市在住です)
 みなさんから紹介された本をネタにトークを楽しもうという会です。
 さて、参加者は集まるでしょうか?

 


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