昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(246)第26回読書ミーティング(2)

2018-01-29 03:29:56 | 三鷹通信
 今年に入って、1月で一番売れているのは「漫画・君たちはどう生きるか」で102万部
 
 1937年に出版されて以来、数多くの人に読み継がれてきた、吉野源三郎の名作を漫画化したものだ。
  
 
 勇気、いじめ、貧困、格差、教養、昔も今も変わらない人生のテーマに真摯に向き合う主人公のコペルと叔父さん。
 
 戦前の東京を舞台に、多感な悩み多き中学生と、彼を見守る叔父さん。
 叔父さんが彼に伝えるべき事を吟味して記したノートを漫画に挟むかたちで構成されている。
 <内容>
 ①ものの見方の転換について
 高いところから群衆を見た時、コペル君は自己中心的な見方から、自分は世の中の流れの中のひとりであると、見方を転換する。
 

 ②見て見ぬふりできないのは正論だが、実際にどう行動できるか? 

 ③人類としての人間同士の関係
 オーストラリアでつくられた粉ミルクの缶詰を通して、見ず知らずの人と助け合って生きていることに気づく。
 それは叔父さんに言わせれば、哲学用語<生産関係>として知られていることだと教えられる。
 
 ④貧乏について
 人間の価値を貧富で判断する人間は軽蔑に値すると、ノートに記す。

 ⑤ナポレオンを通じて、偉大な人物とは、人類の進歩に役立った人だと叔父さんから教えられる。
 一方で、世の中には善良だが力のない人も多い。

 ⑥友人の裏切りと自分を責めること
 コペル君は、友達を裏切った罪悪感に責められる。そして叔父さんから、大切なのは自分が犯した過ちにきちんと向き合い、自分はどうすべきだったか
 ということを考えて心に刻むこと。自分を責めることは、正しい生き方を強く求めているからだということを、叔父さんの手紙から学ぶ。
  

 学ぶべきポイントを叔父さんが手紙で知らせるという手法が効果的だ。
 出版社マガジンハウスの担当は、最初父親から読めと言われた時は反発したが、後で読むと人生が変わるくらいの衝撃を受け、マンガ化による出版を思
 い立った。

 池上彰氏
 「これは子どもたちに向けた哲学書であり、道徳書である。人として本当に大切なことは何か、自分はどういきればいいのか。楽しく読み進めながら自然と自分で考えられるよう、いくつもの仕掛けが秀逸にちりばめられている」
        
 宮崎駿氏
 次回作の原案に採用したという。
 
 講師もマガジンハウスの担当者から相談を受けたが、正直売れると思っていなかったそうだ。
 テレビ番組や新聞社にも紹介したが、NHKを含め当初いい反応はなかった。
 しかし、結果的には漫画化したことで、子どものみならず大人にもアピールしたようだ。
 祖父母が孫にプレゼントするとか・・・


 ─続く─

 



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