昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(53)オサマ・ビンラディン容疑者殺害

2011-05-03 08:38:24 | エッセイ
 

  <国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン殺害>
 昨日の夕刊の一面を圧するかのように飾った。

 正直「何じゃこれ・・・」と違和感を感じた。
 北朝鮮の金正日だったらありうるかもしれないが、日本の新聞が日本に直接関わりのない、


たかがテロ組織の親玉の殺害をなぜこれほどに扱うのか感覚的に理解できなかった。
 
 たしかに9.11事件以来、アフガンやイラクに大量の軍隊を送り込んで犠牲を払いながら、血眼になって捜し求めた恨み骨髄のターゲットを仕留めたのだから、米国にとっては国民こぞって関心を抱いたニュースだったろう。
 オバマ大統領は「正義が果たされた」と宣言し、国民も夜中だというのに何千人も集まって<快哉>を叫んだという。

 しかし、日本にとってどれほどの意義があるのだろうか。
 だいたい、最大の友好国であるわが国に米国の事前通知はなかったという。
 日本は<力の論理>にもとづく世界では異質な存在なのだ。

 それに、たった一人の、テロリストにとってはカリスマだったかもしれないが、彼が死んだからといって、テロが無くなるとかの歴史的転換点を迎えるなんてことも考えられない。
 だいたい<力こそ正義>と思っている連中にとって、こんなことで彼らの考え方が変わるなんて考えられない。
 <力の論理から調和へ>と国際政治の変換を求めて登場したオバマ大統領自身が「正義が達成された」なんて逆行したことを言わざるを得ないんだから。

 だいたいこの事件は<力>の世界における些細なひとつの結末に過ぎないので、こうなったからといって、根底から<力の論理>を変える気のない彼らにとって、同じことが相変わらず繰り返されていくのだ。
 ビンラディンらテロを企む連中の思想は<大国のエゴ>に対する憤りだとする見方がある。そしてその世界の矛盾を正す礎となるという、その感情は分からぬでもないが、戦略として賢明な手段なのだろうか。

 浅間山荘事件で逮捕された赤軍派坂口弘がつぶやいた言葉を印象深く思い出す。
  

 「山荘でニクソン訪中のテレビ観き、時代に遅れ銃を撃ちたり」
 われわれの未熟な頭はこうした背景を何一つ理解できず、画面をじっと見るだけだった。


 


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3 コメント

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Unknown (すこや)
2011-05-03 11:50:57
オバマ選挙陣営の「ブッシュの対テロ作戦」を
オバマは引き継ぐというメッセージでしょう。
中東の、旧陣営の溶解が進む中で、オバマの
弱腰批判などがでることへの押さえでしょう。
オバマの世論操作巧みです。
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対国内世論操作 (昭和のマロ)
2011-05-04 10:00:13
 このマスメディア時代に、菅内閣には対世論対策戦略チームといったものは存在しないのでしょうか。
 政治が世論に左右されるものであれば、極めて重要な機関だと思いますが。
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メディア補佐官 (すこや)
2011-05-04 20:01:16
小泉さんのときは、竹中平蔵氏が旗振ったのか
本人が言い出したのか、電通勤務していた自民党衆議院議員(和歌山選出)がメディアをしきりましたね。
もっと民主党はやるかと思ったら、腰砕け。
松下労組系平野さんが官房長官では企業を使えないようです。
でも、日本もこれからでしょう。
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