昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(347)大久保東女名誉教授の「日本の文化」森鴎外「舞姫」

2019-07-20 06:33:43 | 三鷹通信
 今日の大久保先生は、既に開始三十分前に一番乗りでお見えになっていました。
 カジュアルな、サラサラとして清涼感のある麻?の柄シャツで。

 テーマは森鴎外の「舞姫」です。

 *明治23年、民友社の徳富蘇峰の依頼を受けて執筆「国民之友」に発表した短編小説。
  冒頭「余は幼き比より厳しき庭の訓を受けし甲斐に、父をば早く喪いつれど、学問の荒み喪うることなく、旧藩の学館にありし日も、東京に出でて予備こうに通いしときも、大学法学部に入りし
後も、太田豊太郎という名はいつも一級の首にしるされたりしに、・・・官長の覚え殊なりしかば、洋行して・・・遥々とベルリンの都に来ぬ」
 ・・・高雅な文体と浪漫的な内容で、初期(日本の近代文化)の代表作・・・。

 *太田は下宿に帰る途中、クロステル通りの教会の前で涙にくれる美少女エリスと出会い、心を奪われる。
 ・・・父の葬儀代を工面してやり、以後交際を続けるが、仲間の讒言によって豊太郎は免職される。その後エリスと同棲、
 生活費を工面するため新聞社のドイツ駐在通信員という職を得た。
 エリスはやがて豊太郎の子を身篭る。友人である相沢謙佶の紹介で大臣のロシア訪問に随行し、信頼を得ることが出来た。
 復職のめども立ち、相沢の忠告もあり、豊太郎は日本へ帰国することを約す。
 しかし、豊太郎の帰国を心配するエリスに、彼は真実を告げられず、その心労で人事不省に陥る。
 その間に、相沢から事態を告げられたエリスは、衝撃のあまり発狂し、パラノイアと診断された。

 治療ののぞみのがないと告げられたエリスに後ろ髪を引かれつつ、豊太郎は日本に帰国する。

 *時は普仏戦争にプロシアがフランスに勝った歴史の転換点にあった。
  「余は模糊たる功名の念と検束に慣れたる勉強力とを持ちて、欧羅巴の新大都の中央に立てり。・・・」
 「かくて三年ばかりは夢の如くに立ちしが・・・今二十五歳になりて、既に久しくこの自由なる大学の風に当たりたればにや、心の中なにとなく妥ならず、奥深く潜みたりしまことの我は、ようよう表にあらわれて、きのうまでの我ならぬ我を攻めるに似たり」
 *ある意味、<官>と<民>、<公>と<私>の問題を提起している。
 *また、「ラ・ボエーム」悲恋の物語であり、社会の枠組みから外れた「ボヘミアン」現在の<難民>に通じる問題も提起している。
 
 *近代欧州の<自由>の空気に触れて、
 ・・・先生曰く「お坊ちゃまがグレ化した・・・
 




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