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ボクは立ち上がって、この会社での第一歩をきちっと踏み出すつもりで挨拶した。
「あ、ウラジミール・ペトロビッチ・ダニチです」
彼も改めて姿勢を正し、軽く会釈した。
やはり、日本人ではなく外人なんだ。
しかし思ったほど背は高くない。
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彼は背を向けて、書類棚から大きなファイルを抜き出しながら言った。
「中国向けですか?」
ソ連専門というわけではないんだ。
「最近ソ連向けも頭打ちになってきたんで、常務が中国向けを開拓したんだ」
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重いファイルをどさっと机に置いて、誇らしげに言った。
「これ、何か分かる?」
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ぎょろっとした目でボクを真っ直ぐ見た。唇が笑っている。
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ひょっとして何かを製造するプラントかな?と思ったが、機械に詳しくないのでよく分からない。
「そうか、大学出のキミでも分からないか・・・」
彼の顔に満足そうな笑みが広がった。
「キミ、この仕事を手伝ってくれないかな? このプラントのために機械3課が立ち上がったんだが、今ぼくひとりなんだ。こんど常務に頼んでみるから・・・」
なるほど、彼の座っていた課長席の前にボクが座っているのを含めて4席あるが、いずれも空席のようだ。
「ええ、ぜひ!」
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入社早々で仕事ができそうな先輩から声をかけられ、ボクは浮き浮きした気分になった。
「司くん、吉原専務がお呼びだよ。4階の専務室へ行ってください」
そのとき、あの温厚な廣瀬総務課長が遠くから声をかけてきた。
思わせぶりなダニチ課長のウインクを背に、ボクは晴々とした気持ちで専務室へ向かった。
─続く─
コシノジュンコさんがミャンマーのスポーツ代表選手のユニフォームをデザイン、提供した。
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「経済だけではなく文化交流のお役に立てれば」と彼女は語った。
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