その後、ボクが奥さんと酉の市に行ったことは、誰にも知られなかった。
誰も知らないということは、奥さんがばらしていないということだ。
そのまま日にちが過ぎるにしたがってボクは胸苦しくなっていき、深読みするようになった。
・・・あのことは、奥さんの計画的行動ではなかったのか。偶然のように見せかけて、他のものが出払ったタイミングに合わせて、ボクに照準を合わせてきたのだ・・・
ボクはあのときの奥さんが抱きついてきた感覚をまざまざと思い浮かべた。
日を追って真実を知りたい、誰かにしゃべってしまいたいという思いに駆られた。
夕食前、ボクが何も手がつかずそんな気持ちに浸っているとき、ドアが開かれ藤原が覗いた。
「夕食の後、連中が来るんだ。付き合ってくれないか? 8時ごろ・・・」
麻雀の誘いだ。
「うん,分かった」と無意識で返事すると同時にボクは言っていた。
「ちょっと、聞いてもらいたいんだけど・・・」
「なに? お前が相談ごとか? 珍しいな」
興味津々というように目を見開いて、彼はすぐさまボクの鼻先にあぐらをかいた。
藤原の部屋と異なりボクの部屋は3畳だから藤原のでかい顔が目の先に迫った。
─続く─
誰も知らないということは、奥さんがばらしていないということだ。
そのまま日にちが過ぎるにしたがってボクは胸苦しくなっていき、深読みするようになった。
・・・あのことは、奥さんの計画的行動ではなかったのか。偶然のように見せかけて、他のものが出払ったタイミングに合わせて、ボクに照準を合わせてきたのだ・・・
ボクはあのときの奥さんが抱きついてきた感覚をまざまざと思い浮かべた。
日を追って真実を知りたい、誰かにしゃべってしまいたいという思いに駆られた。
夕食前、ボクが何も手がつかずそんな気持ちに浸っているとき、ドアが開かれ藤原が覗いた。
「夕食の後、連中が来るんだ。付き合ってくれないか? 8時ごろ・・・」
麻雀の誘いだ。
「うん,分かった」と無意識で返事すると同時にボクは言っていた。
「ちょっと、聞いてもらいたいんだけど・・・」
「なに? お前が相談ごとか? 珍しいな」
興味津々というように目を見開いて、彼はすぐさまボクの鼻先にあぐらをかいた。
藤原の部屋と異なりボクの部屋は3畳だから藤原のでかい顔が目の先に迫った。
─続く─
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